2000年 3月19日(日)常盤の海                  
   春爛漫、カレイ舞う海

                                              期待が膨らむ朝
シャコの攻撃
朝4時45分、まだ夜の世界だ。
ノビタの足音が、無遠慮に静謐の世界にこだまして行く。
前方に4〜5人の影法師が見えて来た。

彼等だろう。
「おはよう!かくべーさんいる?」
黒い影法師が一斉にゾロゾロと、ゾンビの様に近ずいて来る。
かくべーさん、GAMIさん、manabuさん、やじっちさん、NAKさん、うっちーさんだ。
もうすぐ潮が動く、ゾンビ達に挨拶もそこそこに、目的の場所に急いだ。

急速に夜が白み、目的の場所に着く頃には、ヘッドランプは不要になっていた。
釣り竿を4本並べたのが、午前5時半。
即、シャコの猛攻に遭う、今日は苦戦が予想される。
シャコが食べる前に、カレイに餌を食べさせなくてはいけない、至難の技だ。

午前6時半、GAMIさんが、NAKさんの座布団カレイ2枚ゲットの報告に来た。
”座布団カレイは天下の廻りもの”
お次はノビタだ、と期待が膨らんだが...魚信はシャコのあたりだけ。
今日も長期戦になるのか。

ノビタの本日第1号
午前10時、拓さんが来た。
拓さんは弟と2人で6時半頃来たが、ノビタと同じでまだカレイの顔を拝めない。
拓さんとほんの一言、二言しゃべっていた時、
「リリーン♪」
突然、竿に付けた鈴が鶴の一声。
拓さんも驚いて後ろを振り向く。
竿先が続けて1撃、2撃と投打を浴び、上下に30センチ、激しく振動した。

エンジン点火、全身フル回転!
一呼吸間をおき、竿を握り、大きく後ろにハネ上げる。
ズッシリとした手応えが返ってきた。
リールをギリギリ巻く。
ピーンと張った道糸から、ガタガタと敵の抵抗が伝わって来る。
竿がのされる度に、道糸よ切れるなよ!。
「拓さん、タモ入れお願い!」
「この暴れ具合はアナゴか?」

堤防から40メートルほどに近ずくと、急に抵抗感を失い、重量感も心もとない。
「.....?」
拓さんが不安気に、
「大丈夫ですか?」
「???」

堤防から20メートルほど、敵が急に反旗をかざし、海底深く潜水する。
磯5号、4.5メートルの柔軟性が心強い、大物の動きに順応してくれる。
敵が堤防に接近する毎に抵抗が強まってきた。
PEライン2.5号、ハリス3号、切れるなよ、頑張れよと念じながら、勝負に出る。
強引に、問答無用と、容赦なく、リールをガンガン巻き竿を煽る。
堤防先、10メートル、9メートル、8メートル、7メートル...まだ敵の姿が見えない。
まだか、まだか、まだ?
見えた!
黒く菱形の物体が、海中から円を描きながら浮上してきた。
アナゴではない、カレイだ! 
                                          
40センチだぞ〜〜!
拓さんが、慎重にタモ入れ。
堤防の上で、もがくカレイ、大きい!
早速、計測、40センチ、記録更新!
空高くファンファーレが鳴り響き、第9番合唱がこだまする。
「ノビタさん良かったですね!」
拓さんが、ニコニコしながら祝福してくれた。

ところが拓さん、この後自分の持ち場に戻り、竿を上げたところ、41センチのカレイが上がってきたという。
目出度し、目出度し。
これで、
「....うらみっこな〜しで〜別れましょう〜ね〜...♪」

NAKさんのダブルヒット
午後12時半、この時点で今日集まった13人の合計は、38cm〜43cmが8枚。
まだにしびーさん、うっちーさんには来ていない、竿頭はNAKさんの2枚だった。

皆さん、ワイワイ、ガヤガヤと底抜けに明るい。
これだけ、童心に戻り、陽気で、屈託なく、平和で、爽やかで、年齢に関係なく、職業に関係なく、社会的地位に関係なく、付き合えるスポーツをノビタは知らない。
此所は、社会の一線で戦う戦士の、一時の休息の場なのだ。
野球場や、サッカー場や、ゴルフ場だけがスポーツじゃない、釣りの大切さをもっと知るべし、国よ、地方自治体よ、どうにかしてよーーー!

ドッと後ろが騒がしくなった。
「どうした?」
振り向くと、NAKさんの竿が天高く弧を描き、側でかくべーさんがタモ入れをしている。
走って見に行くと、NAKさんの3枚目が、堤防の上でドタドタと暴れていた。
ところが、NAKさんの勢いはまだ続いた。
にしびーさんが、今釣れたNAKさんの隣りの竿を指して、
「この竿、あたってるよ!」
「ほんとですか?」
カレイの針外しをしていたNAKさんが、まさかと首をかしげながら、にしびーさんの指差す竿に飛びついた。

それは信じられない2連発だった。
またまた竿が大きく湾曲。
(うそー、うそだろ?、やめてくれー!!)
堤防に上がったのは、4枚目の座布団カレイだ。
ノビタも慌てて、自分の持ち場に走った。
時合だ!時合だ!座布団カレイは天下の廻りもの!

ノビタの本日第2号                                        本日活躍
自分の持ち場に戻り、すぐ新鮮な餌に付け替え、仕掛けを海に投入する。
午後1時半、60才近いおじさんが、
「どうですか〜」
と話かけてきた。

カレイが1枚、後はシャコの猛攻に遭って、苦戦中ですと答えていると、
「リリーン♪」
戦闘開始のベルが鳴る。
おじさんと2人で、ギョッとして竿の方を振り向くと、
「リリーン、リリーン、リリーン♪」
と竿が何度も連打される。

竿を握ると同時に、
「おじさん、タモお願い!」
「あいよ〜!タモ何処だ〜!」
「そこ、そこーー」
途中、何度も追撃を受けながら堤防下に寄せる。
おじさんが、素早くタモ入れ。
御見事!おじさん、見かけはヨレヨレ風なれど、ひょっとして達人?
早速、計測、38センチ、却下!。
記録更新ならず。

納竿
午後3時、納竿。
本日釣果は、マコカレイ40cm、38cm計2枚、シャコ6匹、イイダコ1杯と今年一番の釣果だったが、NAKさんの4枚を目撃した身では、
”目出度さも  ほどほどなり  ノビタの春” だった。(贅沢なり!)

南風が強くなり、海にはウサギが一杯飛び始めた。
この風で釣り人が去り、堤防にはほとんど人がいない。
かくべーさんと、にしびーさんは、まだ続けると言う。

午後3時半、彼等2人と別れをつげ、堤防を後にした。
「Gone with the Wind!(風と共に去りぬ)」。
(結局この日、ノビタが帰るまでに上がった座布団カレイは13枚。かくべーさん、にしびーさんのその後はどうなったんだろう?)


                   
本日ノビタの釣果











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