6月10日(土)日立港湾内                        

 
  タナゴと久々の再会


                                            
早朝は閑散としていた
ひっそりとした港内
午前5時半、空は一面厚い雲で覆われ、重く暗く地上を圧していた。
昨夜来の雨が、まだパラパラと降り止まない。
港内の曲りくねった路を、ドドドドガリガリガリと賑やかな音を立てながらオンボロバイクが行く。

漁港の道路脇は閑散としていた。
車は、ほんの数台しかない。
このような事はめずらしい。
普段の土曜日は、遊魚船の客の車、漁船の車、堤防で釣りをする人の車で、ごったがえしているのだが、この雨と、外洋の高波で、釣りも漁も控えたようだ。
ノビタには予想通りの展開だ。

目的の堤防には、投げ釣りをしている先客が一人、他にはいない。
灯台の足元に4〜5人の釣り人がいた、何故かその動きが忙しい、イカ釣りのようだ。
テトラ側で浮子釣りをする人が一人。
堤防全体が、靄に包まれ静謐の世界にある。
今日は旭村での石持をあきらめ、波のない穏やかな港内でタナゴを狙うことにした。

此所は、この時期、タナゴが群れる禁断の場所、ここ数年釣れた話を聞かなかったが、最近釣れていると言う。

     
灯台元はイカ釣りか?
タナゴはいた
雨に濡れながら、仕掛けの準備をする。
浮子は2Bを使用した。
針はチヌの2号、ハリス1.5号。
餌は青イソメ。

午前6時に釣りを開始、15分ほどして20センチほどのタナゴが1匹釣れた。
それからは全く釣れない。

釣れない理由は、タナゴを釣る方法に問題があったのだ。
此所でタナゴを狙う場合、このある事に気がつかないと、釣りにならない事が分かった。
おそらくこれに気がつかないと、1日粘って4〜5匹釣れるか釣れないかであろう。
その事に気がついたのは、釣りを初めてから30分ほど経過してからである。
自然保護の為、公開は控える。

海の隼
午前6時半、タナゴ釣りの戦法を変えた。
浮子もこの時点で、2Bから3Bに変える。
波に、浮き沈みする2Bより、浮力のある3Bで確かな魚信をとらえる為だ。

仕掛けを投入した。
浮子は潮の流れに添って、静かに水面を右から左、左から右へ漂っている。
突然、視覚に緊張が走る。
浮子に微妙な変化を見た。
煙りが、一瞬、僅かに揺れたような微かな変化だ。
「...?」
左側に竿先を、そっと振り、静かに聞き合せる。
その瞬間、ガクッ!竿先が一気に引き込まれ、浮子は海中に没した。
竿先が海面に突進する。
強烈なパンチだ。ふい打だ。
キタ!。

ハリスが切れるのか?と思いつつ竿をゆっくり持ち上げる。
おどおどしながら上げる力に、敵の力が僅かに勝った瞬間、敵が強烈にスパークした。
海中深く、さらに深く、そのまま沖ヘ。
磯2号5.3メートルの竿先が、グイグイと下へ、下へとのされる。
引に逆らい、ジワジワと竿を起す。リールを巻く。
敵は海中を、大きく輪を描きながら走り、衰えを知らない力で、さらに潜行する。
竿先がのされたまま停止した。

道糸が鋼のように真っ直ぐ、海に突き刺ったまま動かない。
釣り人と、敵が、堤防の上と下で、がっぷり4つに組んだ。
待つ。
相手の抵抗に変化が出るまで待つ。
竿は宙に、大きく弧を描いたまま静止している。
                                       
     天晴れな勇姿
偉い!
壮烈な戦いを挑むその小さな体。
つきるを知らぬ抵抗、その闘志。
頑張れ!、人間に負けるな!。

睨み合いは数秒、これ以上は待てない。
強引に竿を立てリールを巻く。
敵の抵抗を交わしつつ、ゆっくり敵を浮上させて来る。
水面でバシャ、バシャ、と暴れるタナゴ、その力は一気に落ちた。
竿先と水面の高さを調整し、竿を大きく湾曲させながら水面から引き抜いた。
堤防上に横たわるその勇姿、サイズ28センチ。
タナゴよ!よく闘った。

その駿発力、抵抗力、最後まで戦う闘志は、石持なんぞ足元にも及ばない。
とかく簡単に釣れ、軽んじられるタナゴだが、甘く見るなよ!。
その闘争心、体の割りの力は、黒鯛に匹敵する。
食味も一夜干にして食べると、絶品だ。
ただタナゴの子孫繁栄の為に、今はできる限り避けたい。

      
驚き茫然とした子供
タナゴはポイントそれとも餌?
午前7時半、雨も上がり明るさを増し、港の全景がしっかりと地上に現れた。
この時点で12匹ゲット、型は殆どが25〜30センチと大型である。
いつの間にか周囲には、タナゴ釣りが5人ほど集まっていた。
だが、ノビタの他は、誰も1匹も釣れていない。
ポイント?。

隣りに小学1年生くらいの男の子と、その父親がやって来た。
沖アミを餌に20分ほど、1匹も釣れない。

今日の目的を既にクリアし、そろそろ帰ろうと思っていたので、青イソメを1パック、彼らに上げた。
それから1〜2分、子供の叫び声が隣りから聞こえて来た。
振り向くと、3メートルほどの子供の竿が、大きく曲っている。
水面上でタナゴがバシャバシャ暴れていた。

「やはり餌か〜!」
親父さんが声を上げながらタモで掬い上げた。
サイズは27〜28センチ、子供には自分の身長の1/3ほどの大きさである。
魚をタモから取り出すのを、まだ夢を見ているような、キョトンとした表情で、子供が、じ〜っと見ている。
このタナゴは、いつまでも子供の記憶に残る様な気がした。

                                    
           本日釣果
親子に必殺釣法を伝授
ノビタの方は釣れ続く、親子にはその後が続かない。
8時、親父さんが子供の竿を上げた時に、仕掛けを拝見した。
これでは釣れない、釣れるのが不思議と、此所で釣る方法を伝授した。
その方法に切り替えて数分、又息子さんに25センチほどのタナゴが来た。

タナゴは釣れ続いていたが、午前8時半に納竿。
ノビタの仕掛けを、親父さんに進呈すると、
「この仕掛けを自分で作ったのですか?」
感心していたが、決して驚く仕掛けではない。
ただこの仕掛けが、必殺釣法の残りを伝授したことになる。
堤防の上から水面を見ていて気がついた仕掛けなので、気がつく人もいるかもしれない。
たかが海タナゴ、されど海タナゴである。

本日の釣果
  海タナゴ
     25〜30センチ−−−12匹
     20〜24センチ−−− 6匹

 
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