2000年 7月29日(土)〜30日(日)常盤の海            

 
  
大アジ、大アナゴ、エトセトラが舞った!


                                
         黄昏て行く太平洋!
静かな堤防
堤防に着いたのは、午後6時。
青く透明な空に、でっかい希望の雲が湧く。
今夜はどんなドラマが展開するのか?。
むっとするような南東の風が体にまとわり、体を舐めまわして行った。

太平洋に船無し、視界は全て風に騒ぐ小波の広野だ。
湾内は凪、僅かなうねりが不規則に走っている。
カモメが、聖域に侵入して来た人間達に、
「バカヤローー!」
と一鳴き、捨てセリフを残し、飛び去った。

はちきれそうな夢に捕り付かれた8人が、思い々の場所に荷を降ろす。
何処が釣れるか誰も分からない。
内湾か、外洋か、先端か、中央か、手前か。
全て適当、全て感、全てアバウト、結局、集団心理で、全員外洋側の中央から手前を選んだ。


海戦開幕!
ノビタは、一番南側に荷物を降ろした。
始めにマウスを、湾内に3投、続けて外洋に3投、反応無し。

全員釣りを開始した直後、
「ソイだーー!」
「カサゴだーー!」
「メバルだーー!」
の叫びが連発、俄かに北側が騒がしくなった。

慌ててノビタもルアーを止め、餌釣りに変更。
ハリス2号2メートル、チヌ針に冷凍の豆アジをつけ、重り7号で堤防の足元に落とす。
アジ仕掛けを準備中に、突然、今ぶっ込んでおいた豆アジ仕掛けの磯5号、4.5メートルの竿先が、騒ぎ始めた。

    黄昏れる空と、陸と、海と!
「キターーーー!」
海から嬉しい使者が来た。
どんな頼りを運んで来た?。
竿を持ち、リールを捲く、ズッシリとした重量感。
これは只者じゃない。

お頭から電流が走る、心臓第2エンジン点火、爆発、エンジンフル回転。
「アジさんタモ、タモーー!」
アジさんが慌てて、タモの組み立てを始める。
「ハリス2号頑張れーーー!、切れるなよーー!」
”やせハリス、負けるな、ノビタ、此所にあり”
余裕も必要なのさ。

ゆっくりポンピングしながらリールを捲いて来る。
ゴーン、ゴーンと敵の抵抗を食らう度に、南無八幡大菩薩、アーメンを繰り返し、リールを捲く手を小休止。
もうすぐ水面だ。
タモはまだ完成していない。
水面にはまだ浮かせられない、魚の抵抗に耐えながら、じっと待つ。
アジさんが、やっとタモを完成、長かったーー。
ゆっくりと、敵を水面に浮上させる。

黄昏の海に、黒い獲物が姿を現した。
アジさん、すかさずタモ入れ、堤防に抜き上げる。
黒と白の斑模様のソイが、無念そうに堤防の上でハネ廻っている。
測定、33cm、合格!。
本日の夜釣り戦は、狙い通りの獲物で開幕した。

                                          
いよいよ戦闘開始!
中アジ爆釣
午後7時、闇が広がる海に、
「アジだーー!!」
「これはデカイ、30cmオーバーだーー」
フクチャンの歓声が、こだまする。
次々と間断なく、誰かの歓声が上がる。
カミチャンが持参した発電機付き200Wの電球が、アジを呼び寄せたのだ。

反応の消えた目の前の海、聞こえて来る歓声。
ノビタも我慢が出来ず、魚が光りに吸い寄せられる様に、アジ釣りの竿を持参して、発電機の前に移動した。
フクチャンと、カミチャンの間に、お邪魔虫。
電気浮子に、アミコマセ籠、その下にハリス2号、針9号6本針のアジサビキ仕掛け。

「針に沖アミを付けると大アジが来るみたい」
の、フクチャンのアドバイスに従う。
浮子下は竿2本、すなわち10メートル。
暗い海に赤い電気浮子を投入した。
フクチャンの垂らし仕掛けと、カミチャンの電気浮子仕掛けに近ずかないように、位置を調整しながら電気浮子を流す。

電気浮子が海面にスパッと消えた。
電光石火、合せる。
反動が海底から届く、竿が引き込まれる。
問答無用なり、強引に竿を立て、リールを捲く。
途中、何度も引き込みが入るが、それを交わしながら、引き抜いた。
27cmの良形のアジが、堤防上でピチピチと跳ね回っている。
ヤッタゼ、ベイビーー!。
1年ぶりの再会だ。
去年よりさらにサイズアップして戻って来た。
感動と、感激と、興奮の1匹だった。
本日3匹目の釣果である、2匹目はドンコだったが。

この後も、フクチャン、カミチャン、こぐま、ノビタと交互に釣れ続く。
どのアジも26cm〜30cmと良形だ。
「25cm以下はリリースだぞーー!」
と、アジさんが、怒鳴っている。
皆さん柳に風だが、実際、25cm以下が釣れるのはまれであった。

こぐまとヒラチャンは、大アナゴとの対決が主たる目的のようだ。
大アナゴも入れ食いだったが、上がらない。
その度に、奇声と、怒声と、歓声と、落胆の声が、湧き上がり、その一角は騒々しい。
ハリス5号や、ハリス6号では歯が立たないのだ。

   
大アナゴ114cmGet!
大アナゴとの格闘
「ウンリャーーーー!」
闇の中から獣のような雄叫びが上がった。
判別出来ない黒い人影が、堤防の上に腰を降ろし、竿を両手に持ち、海に向かって、綱引きをしている。
暗い堤防に、執念の焔(ほむら)が、ムラムラと立ち登る。
今度で、何度目の挑戦をアナゴから受けたのか。

バラシた位置は、海底から水面までの範囲でバラバラだったが、いつもハリス切れだった。
そしてまた、竿が中央から直角に曲り、暗い水面を指している。
投げ用の剛竿、その先につけたケミホタルが、ガクン、ガクンと飛び跳ねる。
ど迫力の怪力である。
男と大アナゴの、炎の闘いだ。

「頑張れーー!」
廻りにいるギャラリーの声がする。
「勝負だーーーーー!」
格闘しているのはヒラチャン。
声を上げているのは、ギャラリー。

「ファイトーーーー!」
「慌てるなーー!」
「耐えろーー、粘れーー、バラスなよーー!」
ヒラチャンは、体を後ろに倒し、敵の痛打にジッと耐えている。
「コンニャローーー!」
敵の攻撃が緩んだ隙に、ポンピングをしながら、リールを一捲、二捲、三捲。

                                   
            朝に3匹目Get!
敵の追撃で、リールを捲く手を停止、また耐える。
戦う事、5分。
200Wの電球に照らされた海面に、怪物が浮上して来た。
こぐまがタモ入れ、60cmのタモになかなか入らない。
これまでに2回、この段階でバラシている。
今度は入った。

こぐまが、持てる怪力を総動員して、堤防の上に引き上げた。
デカイ!、測定114cm、ノビタの腕の2倍の太さはある。
この後、ヒラチャンと、こぐまで、さらに2本を追加した。
これは持ち返り、勝利の宴に添えるのだと言う。
さぞかし美味いに違いない。

大アナゴ釣りに思う
大アナゴ釣りに戦略も、駆け引きも、技術も無い。
冷凍のイワシや、アジや、サンマの切り身を針に付け、足元にぶっ込むだけで、食らいつく。
同じ場所に群れをなしているのか、いくらでも釣れる。
必要なのは、ワイヤーの様な丈夫なハリスと、太い道糸、物干竿のように強い竿、それに強烈な引きに耐えられる腕力と精神力だ。
この敵と相対すると、嫌がおうでも男は奮い立つ。
最近めっきり元気を失ってきている紳士には、持って来いの回春剤かもしれない。

  
朝陽のフイッシャーマン
大アナゴと勝負して、海に引き摺り込まれる事だってありうるのだ。
釣り師から見ると、どん百姓の釣りかもしれない、決してインテリジェンスな釣りとは言えない。
この釣りは、勇壮でもあり、滑稽でもあり、それに男を燃焼させるドラマがあり、それらをミックスしたような雰囲気がある。

大アナゴの食味だが、多くの人はまずいと言う。
ところが、この釣りに燃えた男達は、大アナゴは食べても美味しいと言う。
おそらくその闘争の中で、大アナゴに対し特別な愛着が湧き、情感が味覚を制したのだと思う。
”汝の敵を愛せよ”その肉だけでなく、骨まで愛せよだ。

飽食の世界に生まれたひ弱な人間達、単に食味だけで魚を分別する単純な人間達には分かるまいが...。
美味しいと言う釣り師の背景にあるドラマや、感動を見る事が出来ないようでは、まだまだ釣りを知らないビギナーかもしれない。

                                    
       ヒラメの夢が....
大アナゴ釣りは、毎日、毎日、鉄板で焼かれる鯛焼みたいな生活に疲れた我々にも、特効薬かもしれない。
大アナゴが上役や、部下に見えてくるかも。

敵もしたたかだ、何度も何度も、竿をへし折る様な猛烈な攻撃をしかけて来る。
相手に、不足のない敵なのだ。
そのパワーは並みじゃない。
そのしぶとさには感服する。

敵ながら天晴れであるが、それを制した時の喜びも感激ものなのだ。
皆さん、1度大アナゴ釣りに挑戦して見ませんか?。
ハリスは、ワイヤーか、PEライン6号以上がお薦めです。

そして夜明け
大半の人が、朝の4時まで仮眠した。
夜が白むと同時に、釣りを再会。
アジは切れ目なく釣れる、大アジだが、さすがに飽きが来た。
狙いを変えて、カンパチにトライ。
夜明の海にマウスを投げる。

来てくれ〜〜〜!と、第1投。
どうしたの?と、第2投。
これでもか〜〜〜と、第3投。
南無八幡大菩薩ーー!と、第4投。
海は応えてくれない。

 
石持とシャコの一荷
ルアーをあきらめ、またアジ釣り、全く節操がなくなって来た。
朝になると、アジが小振りとなり、カンパチやヒラメの餌に丁度良いサイズが掛かる。
ヒラメ釣り屋に、餌として進呈。
多くが、生餌のアジで、ヒラメとカンパチ狙いになった。
Kさんにヒラメらしき大物がヒット、海底と堤防上での抗争5分、とうとうハリスを切られてしまった。

この後、フクチャンにヒット、空に大きく弧を描いた竿が、ビシ、ビシ、ビシと3〜4回お辞儀をしたかと思うと、竿が弾け、天を真っ直ぐ指して停止した。
茫然自失、落胆のフクチャン、自分自身を取り戻すまで、しばらく時間を要した。

午前7時、焼けつくような太陽が、青空を制して行く。
もう耐えられない、全員竿を仕舞、堤防から脱出した。

久々に輝き、充実した一夜が終わった。
体はボロボロだが、心は満足(みた)された。
完全なる円が完成したのだ。

帰る道すがら、喜びの影、反動が、次第に心を侵略して来た。
目の前に、憂鬱な現実の世界がせまって来る。
逃げられない、またしばらくは耐えるだけの世界だ...。

                                     
       徹夜の戦果


ノビタの戦果
  ソイ−−−33cm1匹
  アジ−−−26〜30cm 38匹
         17〜22cm 7匹
  海タナゴ−−27cm2匹
  ドンコ−−−1匹

仲間の戦果
  大アナゴ−−104cm〜114cm 3本
          ハリス切れでバラシた数は
          10本以上。
  メバル−−−24〜28cm 10匹以上
  ソイ、カサゴ、アジ、石持、エトセトラ・・・・

 
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