2000年 8月20日(日)東海某堤防                  

 
    カンサンが釣れた日


                               
          日の出と釣り人の群れ
車、車、車...
午前4時。
地上は闇、空は雲に覆われ、星なく、月なし。
ボーッと黄色い街灯に照らされた路上に、駐車場からはみ出した車が、累々と並んでいる。
満腹状態の駐車場を、奥へ、奥へと進み、街灯の下にリードを止めた。

ノビタの脇を、車から吐き出された釣り人が、次々と暗い海へ消えて行く。
シアターの開演に遅れまいと、その足は早い。
このシアターは、観客一人一人が、全て異なるドラマを見られる。
それも仮想劇ではなく、あくまで自分が主役の実体験ドラマだ。

港は多種多様の人工の光りが交差し、不夜城の如く闇に浮かんでいた。
薄暗い堤防を、先を行く釣り人達の後からモクモクと歩いて行く。
秋風が体に触れる、夏も終わりが近い。

堤防は人、人、人
堤防は、陸から沖に、直線上に1km以上伸びている。
その堤防に、隙間なく人影と、ヘットランプが続く。
ヌキさんや、マツさんをこの中から探せと言われた。
半ばあきらめムードで、闇に包まれた堤防を歩いて行く。
しだいに東の空が、薄く白みかけて来た。

 
今年は赤いバケツが流行?
困難な餌釣り
どれほど進んだであろう、覚えの有る黒いシルエット発見!。
間違い無い、
「餌釣れた?」
ヌキさんとマツさんが、驚いた表情で振り返った。

他にもう一人仲間がいて3人、徹夜で餌釣りをして、まだ餌が釣れていないと言う。
絶望的な展開、予想外の展開だ。
”だいじょうぶだ〜、なんとかなるさ”
と、つぶやいていると、ヌキさんや、マツさんらの竿が急に騒ぎだした。

時合だ、小アジがパタ、パタと釣れだす。
でも、6本針に一匹と、寂しい。
夜がすっかり白んだ午前5時、ピタリと食いが止った。
3人合わせて10匹程の釣果だ。
昨夜から徹夜で、餌を釣りにきた人達の殆どが、同じような運命だったようだ。
アジさんも来た。
ともかく今釣れた貴重な餌で、全員、カンパチ釣りを始める。

本日のカンパチ釣り
浮子釣り。
竿は磯2号5.4メートル。
仕掛けは、3Bの飛ばし浮子、その下2ヒロ(3メートル)の所にガン玉、ガン玉の下にヨリモドシ、そこから1ヒロのハリス、針はチヌ針3号。
ヌキさんから5〜6cmの元気の良い子メバルをもらい、ピチャ、ピチャ跳ねる子メバルの背中に針を付けた。

                                   
      こちらにも赤いバケツが
頑張れ餌!
午前5時半。
堤防から5〜6メートル沖に仕掛けを投入、餌は水面に着水すると、白いお腹を上向きにし、仮死状態となってしまった。
重りが軽いので、仮死状態はなかなか沈まない。
(オーーーイ、早く沈んでくれ〜〜)
ゆっくりと、仮死状態が水面下に沈んで行く。

「息を吹き返せ〜コメバル!、ガンバレ〜コメバル!
南無阿弥陀仏」
仕掛けが沈むと、水面上で横倒しになっていた浮子がシャキッと直立。
微かにコメバルの泳ぎが浮子に伝わり、揺れている。
どうやら息を吹き返したらしい。

感動の戦い
浮子が直立してから2〜3分、怪しい動きを始めた。
「........?」(どうした?)
「?!!!!」(もしかして?)
浮子がピク、ピク、ピクともがき、竿先が震えている。

前アタリだ。
これを期待していた。
これを待っていた。
もっと騒げ。
もっと振れろ。
食いつけ。呑み込め。

浮子がゆっくり沈み、竿先が緩やかに弧を描き沈んで行く。
竿を掴む。
まだだ、慌てるな、我慢しろ、1、2、3、4、.......8。
浮子が海中深く没し、竿先が水面下にグィッと突っ込んだ。
決定的瞬間、今だ。
「キタ〜〜〜!」
のけぞり、大きく合せた。

竿先が、強引に海中へ引き戻される。
竿を立て直したが、また海面へ。
魚が直下方向から、水平方向に向を変えた。
堤防際添いに先端に向かって走る。
子供とは言え、海のスプリンター、カンパチ。
つきない剛力、炎の闘志、惜しまぬ命の浪費。
その迫力に圧倒される。

糸切れを回避する為、ドラグを緩める。
周囲を見ると大勢の観客、されど誰もタモを用意していない。
皆さん陶然と見とれている(?)。
「タモ〜〜〜!」(目を覚ませ〜〜)

     
縮んだカンパチ34cm
ヌキさんが、自分のタモを組み立て始める。
慎重なヌキさんの組み立ては、時間がかかる、もどかしい。
堤防の先端側に向った魚が、Uターンして陸側に向かう。
竿は左から右へ、大きく斜めに弧を描く。
このまま引かれて、パシッと糸切れ?。
胆玉が、ノミサイズのノビタには、粒粒辛苦。
近くにいた人が、ヌキさんより早くタモを準備し、タモ入れをしてくれた。

堤防に上がったのは、即実測35cm。
〆て、大分経ってから計測すると33.5cm、この違いは何だ?。
ともかく今年2匹目のカンパチなり、目出度し!。
この周辺で、この時間帯にカンパチに恵まれたのは、ノビタだけ。
漁船による乱獲で、数がどんどん減っているようだ。

納竿
この後、6時半まで粘るも魚信なく納竿。
今日は日立沖堤の黒鯛釣り師伊藤さんと、坂本さんもカンパチ釣りに来ていた。
帰る途中、2人の釣り人がカンパチとやりとりをしていたが、そのうちの一人に見覚えがあった。
帰り道、考えていると思い出した。
彼は”日立の釣り志”さんだったのではと。

午前7時半。
家に帰ると末娘のアキが、玄関に出て来た。
カミさんが家に居ないので、アキがカミさん役をしている。
このアキ、カミさん以上のカカア天下、
「米にする?」
(朝食はご飯なのか、パンなのかの意味)

カミさんが遠くから電話をかけてきて、アキに様子を聞く、
「.....?」(カミさん)
「ちゃんと与えているよ」(アキ)
(父に食事を出しているの意味だが、動物扱い)
昨夜、
「明日釣り?明日の夕方おかずないよ!」
(夕方のおかずを釣って来いの意味)
カンパチ釣れて良かった。

 
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