2000年 8月26日(土)常盤の海                    
 
            カンサン狂いの日々


                               
         靄のカーテン越しに日が昇る
Gakuさんときむさんがいた!
午前4時。
暗い堤防に、既に何人もの釣り人のシルエットがある。
ノビタの釣る場所はあるのだろうか?
ヘッドランプで堤防の縁を照らしながら、お邪魔出来そうな場所を探していた。

何とか隣りに迷惑をかけなくても済みそうな場所を見つけ、荷物を置き、もう少し先端よりに空いている所がないかと探してみる。

闇の中に比較的広いスペースを見つけ、両間隔の幅を確かめていると、
「ノビタさん!」
ノビタのヘッドランプが照らした先に、Gakuさんの顔が浮かび上がった。

       
Gakuさんがいる
その隣りには、きむさんもいる。
早速、気になる餌アジを確認すると、Gakuさんも、きむさんもまだ釣れていないの返事、しかも午前0時から粘ってだ。
今日も、カンパチ釣りが出来るか否か、からスタートだ。
ともかく餌が釣れないと始まらない。

トリックサビキにアミコマセを付けて、セッセ、セッセと餌釣りを始めた。
朝拙めがカンパチ釣りの好機だが、餌が釣れないとそれが始められない。
時間の進むスピードが、非常に早く感じる一時である。

顔は穏やかでも、お頭はあせりで湯が沸騰し、ピーピーガタガタと大混乱している。

S君の活躍
落ち着け、落ち着け、と言いながら、トリックにコマセを付け替えていると、
「ノビタさ〜ん!」
闇の中からS君の顔がクローズアップされた。
一瞬、びっくりこいてキョトン、何で彼が此所にいるの?。
理由はどうであれ、相手にせず豆アジ、豆アジ...。
放っておいたS君、釣ってくれました、豆アジ!。
「釣れましたーーー!」
「オーー、チョーーダイ!」
(人にものをせびる時の声は、女だけの特権ではない)

                                    
        きむさんもいる
この時刻、此の場所では、ダイヤモンドより貴重な豆アジ、それをS君から頂いた。
というよりは、強制的に取り上げてしまった。
”風林火山”である、”掠めること火の如く”。
これは基本的にルール違反なので、お薦め出来ない。

S君は、餌を釣っても横取りされるのではと、餌釣りをあきらめ、マウスを白みかかった海に投げ始めた。
S君は根性で、マウスを投げ続け、1勝2敗の成績で、ワカシをGet!。

実測38cm、S君、感激!。
「これはワカシじゃない!!、イナダですよね?」
ノビタが、ロダンの”考える人”風に首を傾け、
「このクラスはイナダだな」
と断定すると、S君満面ニコニコ饅頭となり、目が顔から消えた。

クーラーボックスを持って来なかったS君が、クーラーボックスに入れさせて欲しいと言う。
ノビタがニコニコしながらOKすると、急に不安そうな顔になった。
彼の心は手に取るように分かる。
今度は獲物まで掠められるのではないかと、心配しているのだ。

 
O君がマウスで仕留めたイナダ?38cm
今度は子メバルに苦戦
ノビタも釣れない餌釣りに”秋の空”となり、餌釣りを中断してS君と一緒にマウスを3回投げたが空振り。

これもあきてしまい、タバコを吸っていると、Gakuさんが、子メバルを反対側から釣り上げて来た。
これを見て、ノビタのエンジンに火がついた。
ノビタも、トリックサビキの竿を海から引き上げ、Gakuさんが釣っていた場所にダッシュ。
その場所で、Gakuさんは1度に4点掛けをご披露してくれるのだが...。

      
餌の、豆アジ
きむさんも来た、きむさんもGakuさんと同じペースで釣っている。
ところが、ノビタの竿は全く関係無い、沈黙したままなのだ!。
ノビタはGive UP!。
「Gakuさん、きむさん、僕の分も一杯釣って下さい!」
と言いながら、それでも何とかノビタも豆アジ1匹と、子メバル2匹、天の憐れみを授かった。

                 
餌の、子メバル





乱暴なカンパチ釣り
カンパチ釣りを開始したのは、午前5時半を廻っていた。
ノビタの隣りが、きむさん、その隣りがGakuさん、と並ぶ。
まいったかカンパチ、の陣構えである。
突然、ノビタの隣りの、持ち主不明の置き竿が、ガンガンお辞儀を始めた。

竿尻は自転車に結わえてあるのだが、自転車ごと海に引き摺られそうな勢いだ。
竿の持ち主は何処だ〜?。
堤防の適当な方向に向かって、
「アタッテマスヨ〜〜」
何処からか伯父さんが走って登場し、自転車に結わえていた紐をはずし、石持竿のような剛竿をしゃくり、ガンガンリールを捲いて来る。
そのままゴボウ抜きしながら堤防にひっくりかえった。

35センチほどのカンパチだった。
この後またすぐに、同様な釣り方で、同じサイズのカンパチを釣り上げた。
このような釣り方は、カンパチに失礼な感じがして抵抗を感じる。
マタイ伝第..章”汝の敵を愛せよ”。
カンパチのあの死闘に、もっと敬意を表した釣り方をしてもらいたいものだ。

                                    
      龍翔丸も苦戦中か?

カンサンが来た
ノビタの浮子の隣りでプカ、プカ浮いているきむさんの浮子が騒ぎ始めた。
「きむさん、前あたりだ〜!」
きむさんが近ずき、
「ノビタさんの方に、きてますよ!」
堤防下の海面を見ると、ノビタの浮子が海面から消え、きむさんの浮子は静かに浮いている。
ノビタの柔らかい磯2号の竿先が、ゆっくり上下に揺れている。
「キターーーー!」

どうやらカンパチは、きむさんの餌より、ノビタの餌の方が気にいったようだ。
これから後の格闘は先週と同じなので、省略する。
海面上で、尚も逃げようとするカンパチを、Gakuさんが、慣れた手つきでタモ入れしてくれた。
それにしてもこのカンパチの強い引きには、いつも感動させられる。
帝国劇場の入場料が2万円なら、こちらのドラマは10万円くらいの値打がある。

脱線の章
話が脱線するので、此所から先は読み飛ばしましょう。
先週釣れたカンパチは、子メバルで釣れた、今回は豆アジに来た。
この後、餌を子メバルに替えてみたが、どういう分けか来ない。
此所の海は、飽食の海か。

  
ハマさんがいた!
現代は飽食の時代、ネコさえ人間の残飯なんぞ見向きもしない、魚もマグロの赤身ではなく、中トロを食べさせないと餓死すると言う?。
現代のネコは、鼠が出ると、慌てて逃げると言う。

日本の現代人もネコのように、やたら好き嫌いが激しい。
現代人は、まず美観、次に味で料理を選ぶ。
テレビで毎日、美しいフランス料理なんか見ていると、味噌汁に菜っ葉、タクアンの漬物は、確かに見劣りしてしまう。
それに、チョコレートやケーキ、ポテトチップ、カップヌードル、アイスクリームばっかり食べている現代人、彼等の味覚で選ぶ料理とは何なのか?。
現代人は、ペットと同じようにひ弱になリ、女を見ると慌てて逃げる男がいると言う。
どうなるニッポーン!。

カンパチ釣りの難しさ
本来、カンパチは、豆アジ、子メジナ、子メバルなど生き餌なら何でも食べるはずだが、此所の海では、子メバルはゲテモノ扱いらしく完全に無視された。
きむさんは、ワカシとカンパチをそれぞれ1匹ずつ釣り上げたが、Gakuさんは子メバルでカンパチを釣り上げると頑張るも、今日は徹底して振られてしまった。

堤防周囲に何度もナブラが立ったが、そのナブラは一瞬の間に消えては立つの繰り返し、その都度、竿を持って走ったが、いつもタイミングをはずしてしまった。

                                
       丸々と太った34cmカンサン

午前8時頃、はるか沖、1kmくらいの所に、龍翔丸が停泊した。
おそらく青物を狙っていたのだろうが、美味しい豆アジを食しているカンパチやイナダを相手に、冷凍イワシやタコベイトでは無理かもな〜と、眺めていた。
龍翔丸もいつの間にか沖から消えてしまった。

10時頃になると、空にあった靄が消え、真夏の太陽が顔を出す。
南風が、清風となり快い。
堤防もいつの間にか閑散となった。
自転車で帰って来る3人の中から、一人が抜けてノビタの所に来た。

ハマさんである。
ハマさんとは昨年1度お会いしてから、ほぼ1年ぶりだ。
ルアー専門で、今日はワカシ3匹を仕留めたとのこと。
ノビタもGakuさんや、きむさんに分かれの挨拶をして、10時半に堤防を後にした。

注)カンサンとは、30cm台のカンパチのことを言います、すなわち40cm台はカンヨンと言う分けで・・・。

 
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