2000年 11月18日(土)旭村方面堤防                

     
砕ける波と、テトラと、石持と!


                                      
日の出前の海、大荒れでした!
旭村へ
今週は、Oの誘う東海某堤防を振り切り、単独で石持に臨むことにした。
Oに笑われないよう、どうしても2桁は成果を上げなくては。
それと、長〜い貧果で、心が炎上していた。
打倒貧果、江戸の敵は長崎で討つ、常陸の敵は旭村で討つ。

午前0時半、走行距離30,000キロメートルを越えた老兵ホンダ・リードに跨り、我が家を出発。
この老兵、最近、速力が落ちてきた、時速54キロメートルを越えなくなったのだ。
昔は、時速60キロメートルを軽く突破していたのに、悲しいかな、機械も人間と同じ様に年を取り衰退して行く。

柔らかい西風
国道245号に入る交差点で停車。
直進すると常陸那珂港、右折すると那珂湊方面、斜め前方にセブンイレブン、右に”ひたちなか特産物直販センタ”がある。
直販センタの黄色い幟(のぼり)が数本。

旗が、ソヨソヨとか、フリフリとか、クネクネとか、何となく艶ぽく揺れている。
森 進一の唄ではないけれど、何処からか、
「ホッ.....」と、女の溜め息や、吐息が聞こえてきそうだ。

風が柔らかい、それに西風ときた、今日は風が味方だ。
「Ready! Go!」
心は、どんどん先を行く。

     
立ち入り禁止
此所も立ち入り禁止
旭村に入り、国道51号から村道に入ると、いつもの、どすぐろい暗黒の世界に突入する。
ぼんやりと、道を照らすバイクの灯りを頼りに、時速30キロメートルで進み、途中で脇道に入る。

海岸へ下る坂道を行くと、突然、ボーッと白い物が目に飛び込んで来た。
一瞬ドキリ、立て看板だった。
バイクを停車して読むと、工事中立ち入り禁止の注意が書かれている。
何処もかしこも立ち入り禁止となって行く、釣り人悲し。
闇をよく見透かしたが、それらしき柵はなかった。
そのまま海岸へ突き進んだ。

誰もいない堤防
沖で砕ける波が、海を一面、白い泡のグランドにしていた。
昨日までの雨で、水溜まりが続く泥んこ道を、用心しながら進む。
車もない、灯りもない、人もない、とんでもない、闇だ。
潮騒の轟きが闇に響き渡り、音だけは騒々しい。

いつもの堤防の前に、バイクを止めた。
石持フィーバーで沸き立った堤防も、今は全く人気が無い。
ゴールドラッシュで沸いたアラスカ半島のノームの町が、たちまち廃屋の町になったかのような雰囲気だ。
そんな人気の無い堤防には、雪山賛歌がふさわしい、
「おれた〜ちゃ〜 町には住めないからに♪」
と、今日もはるばる来た。
つきを取り戻せるのは、此所しかないと。

                                       
この波が魚と仕掛けを...あぁ
出足不調
堤防先端まで行き、波で地響するブロックの上で、準備を始めた。
竿2本を海に並べたのは、午前2時。
1本の竿の仕掛けは、胴突き2本針にサンマの身餌、他方は青イソメ餌の胴突き仕掛けとした。
潮の流れは谷川を流れる急流の様に激しく、仕掛けはあっという間に、南から北へ50メートルほど流されてしまう。

電気浮子仕掛けも出したが、浮子が海に立ったと思ったら、滑り台を滑るが如く勢いで突堤まで流れ、テトラに呑まれそうになる。
ダメだこりゃ♪。
浮子釣りは、2回投げてあきらめた。

アタリ無し
夜空を覆っていた雲は、しだいに消えていき、雲間から半月が顔を出したかと思うと、それに続いて、次々と星が現われ、夜空はいつか宮沢賢治の銀河鉄道の世界だ。

竿先につけたケミホタルは、波に引っ張られ、突き放され、大きく揺れているが。
アタリはない。
竿先が大きく揺れていても、アタリはテレビの画面にノイズが走る様に、明確に分かるのだが。
1時間経過、全くアタリ無し。
何度か餌も確認した、餌は始めに付けた時と変わっていない。
魚はいないのだろうか。

 
     波の下に海の幸がある
始めの1匹
突然、突堤の北側に投げていた竿先に、反応が出た。
ビビビビビッーーと、竿先が細かに震えている。
足元に注意しながら竿を掴み、後ろにノケぞった。
反応無し。バレた!。
合わせが早すぎたのだ。
そのまま竿を放置しておく。

30分くらいしてからまた来た。
一寸、間を置き。
ノケぞった。
ズッシーン!、手応え有り!、続いてグイグイグイと、魚の抵抗が道糸から伝わって来る。
間違いなし、おもわず笑いが♪。

波が砕けるテトラの際が、クライシスポイント。
此所で、仕掛けと魚を失う確率は高い。
南無八幡大菩薩とうなりながら、白く泡立つ波の中から、一気に魚を引っこ抜くと。
白い魚体が、足元に転がった。
22〜23センチの石持だった。
釣りを開始してから1時間30分経過していた。
この時点で、反応のないサンマ餌を止めた。

この後も4回ほどヒットしたが、途中、大波に巻き込まれてバラシたり、仕掛けごとテトラに呑み込まれたりと、苦戦が続く。
竿2本は扱いにくいので、1本にした。

地元の釣り師が一人
午前3時、暗い堤防を月灯りの下、人影が近ずいて来た。
ノビタの近くまで来て、
「どうし
てーー....?」
波の音に声がさらわれ、聞きとりにくい。
                                          
海は泥んこだった
「やっと3匹!、やっと3ひきーー!」
「昨日は2時〜5時で、40匹の入れ食いだったんだけどなーー」
「何処から、きなすったーー?」
古風な聞き方だ。
「とーかい」

「...?」
「とーーかい!」
「あそこにあったバイクで来なすったか?」
・・・・・・・。
「よくま〜、はるばると」
すっかり感心されてしまった。
午前5時、小父さんは、
「今日は駄目だ」
と、2匹上げただけで、帰って行った。

入れ食いタイム
午前6時までに、やっと8匹ゲット。
午前6時から入れ食い。
特定のポイントに投げると、仕掛けが底に着くか着かないかのうちに、クククククーーッと、アタリが手元に届く。
一呼吸置き。
わずかに竿を引く、聞き合せだ。
すると、ググッ、ググッ、ググッーーと、魚の慌てる様子が手元に伝わってくる。
ここでノケぞる、ズシーーン!、ストライク♪。
何とか無事に魚を取り込み、仕掛けに餌を補充し、泥んこの海に戻す。

仕掛けが底を突くと、すぐにコツ、コツ、コツ、と餌が突つかれる。
食え、もっと食え、咥えろ!まだか?。
聞き合わせる、グググッーーーーと、竿先が引かれる。
ノケぞる、ストライク!。
問題はこの後だ。
魔のテトラ際、引き抜く弾みで仕掛けがテトラを直撃し、ガーンと仕掛けが衝突した瞬間に、魚が針からはずれるか。
仕掛けもろとも波に粉砕され、そのままテトラに呑み込まれ根掛かりする。
今回は、仕掛けごとテトラに呑み込まれ、仕掛けごと海の藻くずとなった。

気を取り直し、また仕掛けを付け直し、海に返す、そしてまたググッーー。
テトラと、波と、飛沫の中から、魚を引き抜く。
これが休みなく繰り返される。
誰もいない海で、エンヤドット、エンヤドットと、魚も人間も狂ったのだ。
ドラマもいつか終わりが来る。
このドラマも8時までだった。
8時を過ぎると、パッタリとアタリが消えた。

引き退(ど)き
午前8時過ぎに、格好からして熟練者風の、地元の釣り師がやって来た。
話を聞くと、サンマの切り身で、ヒラメと石持の2また狙いだそうな。
この大荒れの海では、ヒラメはまず期待出来そうもないと見たが、時々、神のいたずらで予想外のことが起こるのだから、馬鹿にはできない。

午前9時までに1匹を追加したが、あきらめが肝心と竿を納める。
そこに、また一人、地元の人が来た。
この人は、極普通の釣り師風、すなわちノビタ風だった。
石持には、太過ぎた青イソメを進呈すると、その太さなら那珂川でフッコが狙えると、喜んでいた。

午前1時半から午前9時までの、充実した釣りは終った。
体中に、満足感が充満している。
明日は風が吹いても、吹かなくてもいい。
雨が降っても、晴れてもいい。
寒かろうが、暖かろうが、どうでもいい。
祭りは終ったのだ。

本日の纏め
                                   
       本日の釣果
1、午前2時釣り開始〜午前6時
   8匹ゲット、バラシ3回、このうち2回はテトラの際で仕掛けごとバラシ。

2、午前6時〜午前8時
  入れ食いとなり18匹追加、バラシ多数、このうち3回はテトラの際で仕掛けごとバラシ。

3、午前9時、納竿。

4、釣果
  石持  20〜26センチ  26匹
  仕掛けをテトラでロスト 5個


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