2001年 5月5日(土)涸沼川〜旭村R堤防              
    チーズは何処に消えた!

                                    日の出から..
1年ぶりの涸沼川
涸沼川、午前4時半。
誰もいない。
浮子付き仕掛けを、10メートルほど離れた川の中央にポチャーーンと落下。
浮子は下流から上流に、ソロ、ソロ、ソロと3メートルほど流れて静止した。
10分ほど経過、浮子が下流に微かに動き始める。
何も起こらない。

午前5時、毎年この場所で、この時期に会うおじさんがやって来た。
1年ぶりだが、去年と変りなく元気そう。
彼も今年始めてのサヨリ釣りとのこと。
彼は、シジミ取りが”今年はまだ涸沼川でサヨリの姿を見ていない”話しをしてくれた。
サヨリが消えたのだ。

サヨリは何処に消えた?
暗鬱な気分に陥る。
サヨリと、ノビタとの距離はどれくらい離れたのか?。
此所から2km、10km。
ひょっとすると、宇宙の果てまでかも。
10年ほど前に、涸沼川からワカサギが絶滅した。
同じ様に護岸工事で子を育てる環境を破壊されたサヨリが、涸沼川に戻れない、それは何も不思議ではない。

”涸沼川のサヨリ、今は昔になりにけり”。
7時半に見切りをつけ、納竿。
さらばサヨリ。
さらばおじさん。
さらば涸沼川。
涸沼川に、明日はないのか。

   
  猛々しい海
水戸さん、埼玉(石岡)さんと再会
一旦家に帰り、旭村のR堤防(ヘッドランド)に来たのは午前11時。
堤防に砕ける波の轟音。
”天気晴朗なれど波高し”

堤防に6人ほどの釣り人がいる。
その中に、4月30日、雨の中で知りあった水戸さん、石岡さんもいた。
石岡さんは誤りで、今日分ったのだが、彼は埼玉の人だった。
埼玉の何処かも教えて頂いたが、初めて聞く地名なので忘れてしまう。
水戸さんも、埼玉さんも朝から来て、まだ1匹も釣れないと笑っている。

                                  
波に呑まれそうな埼玉さん
石持が消えた
石持よお前もか?。
半信半疑で釣りを開始した。
潮の流れが早い。
25号三角錐重りが、あっと言う間に左から右へ、北から南へ、100メートルも流される。
潮速は、時速20kmほどか。

魚信無し。
釣れない。
仕掛けを回収すると餌はそのまま残っている。
1時間、2時間、3時間、4時間....。
堤防全体に、活気無し。
この間に埼玉さんが、25センチほどのカレイを1匹釣っただけ。
いつか、釣り人は水戸さん、埼玉さん、ノビタの3人になってしまった。

余生は海の別荘で
暇なので3人でよく話す。
埼玉さんは4年前に、釣りへの狂熱が極まり、この地に別荘を購入。
近い将来、退職したならばこの地に永住し、釣り三昧で死ぬまでの時を、やり過ごすのだそうな。
一見、うらやましい人生だが、それほど価値のある海なのか。
陸はデフレ(供給過多)で、倒産、倒産、倒産のラッシュ。
海はインフレ(需要過多)で、釣り場は釣り人のラッシュ。
港の殆どは立ち入り禁止、極限られた場所に人が殺到する。
開発を名文とした自然破壊が、海のインフレを加速しているのだ。

この旭村だって、
”この海は昔 石持が入食いだったんだ”
と、一生懸命弁解せにゃならない日が、すぐにでも来そうな気がする。
露と落ち 露と消えゆく 我が身かな
浪花の事は 夢のまた夢
            (秀吉)
埼玉さん、釣りも夢で魚を追うだけの余生とならなければよいのだが。

  波で揺れる竿に水戸さん?
この先どうなる?
午後5時、6時間粘って1回だけ魚信。

川のサヨリが消えた理由は、汚染や環境破壊に敏感に反応した結果であると確信するが。
海は川に比べれば、はるかに浄化作用があると、安心していて良いのか。
海も川から流れる滋養で、多くの魚が育まれている。
川からの滋養がなくなれば、魚は当然陸から、日本列島から去る時が来る。
その時は、決して遠くないのかも。

午後5時半、水戸さん、埼玉さんに別れを告げて、旭村を後にした。
日の出から、日の暮れまで釣りをして完全に坊主、いと哀し。


                                    
日が暮れるまで
蛇足(ぼやき)
日本は終わりなき環境破壊で、田んぼや川から虫の声が消え、トンボが消え、鮒も、泥鰌も、鯰も消えた。
海も生態系が壊れ、フグが異常に蔓延している。
それを頭ではなく、肌で感じている人は極僅か、かつ弱者である。

税金で砂浜をコンクリートで固め、巨大な港湾を建設し、蛇行している川を直線にし、川岸をコンクリートで固めた、そのしっぺ返しが釣り人にはねかえる。
その港湾は私物化され、我々納税者は立ち入り禁止だ。
我々は、自分の首を締めるために税金を納めているのか、滑稽なり、情けない。

何処かの県知事は、ダム建設を凍結した。
おそらく凄まじい圧力が加わったのでは。
彼の勇気に拍手。
現代は、現実の重さと未来を考えるのではなく、エゴの論理が優先される。
自然を破壊する論理に正しい論理があるはずはない。
諫早湾、長良川河口堰だけではない。
全国いたる所にある川、海、砂浜、島、山が、開発の大義名分の元にどんどん破壊されていく。

この間、NHKが北方四島の自然を、テレビで紹介していた。
目から鱗がおちる思いをした。
あの番組を作成した深い意味は、ノビタが受けた衝撃を期待したのではと、思いたくなる。
おそらくノビタと同じ思いをした人が結構いたと思う。
北方四島の日本返還が叫ばれて久しい。
この北方四島にゆかりのある日本人にとって、それは悲願である。
ノビタもこのテレビを見るまでは、北方四島返還を強く望んでいた。
でも今は、日本に北方四島を返還してはいけない、と心の中で叫んでいる。

現在の四島は、自然環境が大切に保護され。
小高い山、平野、川、砂浜、海、そこには人の手垢や、足跡で汚されていない自然があった。
日本人があの島に渡ったら10年も経たずに、島から森が消え、代って白いコンクリートのビルが林立する。
地面はいたる所コンクリートで覆われ、草木生を絶たれる。
土地が開墾され、その農薬や化学肥料で、あっと言う間に川は生物の墓場と化す。
巨大な港が建設され、砂浜が消え、魚介類が絶滅し、鳥も羽根を休めない無機質の島に化す。
傲慢な人間の、神を恐れぬ振る舞いを阻止するには。
北方四島を日本に返却してはいけない。

 
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