2001年 6月23日(土)旭村N堤防石持釣り             
    石持釣りの極意とは
                                空と、海と、太陽と、釣り馬鹿と
蒸し暑い夜
「私は宿命的に放浪者である。...」
             (林 芙美子「放浪記」より)
爺さんも、親父も、3度の飯より釣りが好きだった。
親父はとうとう釣りで命を落とす。
2人は既にこの世に存在しないが、その血を濃く受け継いだ。
ノビタは宿命的に釣り馬鹿である。

午前0時半、闇の中をヘッドランプを頭に付けて堤防に向かった。
雲に覆われた夜空、その切れ間から微かに瞬く星が1個。
風は僅かに北東から吹いてくる、気温高く蒸し暑い。

既に竿の林が
先端付近で、複数の青い灯りがチラチラ揺れ動いていた。
青い灯りは文明の力、ケミホタル。
近ずくと、それを付けた投げ竿が、垣根の如く林立していた。
先客は5〜6人、先端は蟻の入り込む隙間も無い。

黒々とした高波が、獣の様に背を盛り上げて海を走り。
轟音を上げて堤防で砕け、そのまま白い牙を向き出して海岸に突進して行く。
とても浮子釣りは無理だ。
投げ釣りでいくしかない。
落胆少なからず。

  
目玉を竿から離せない埼玉さん
始めの1匹
予報ではべた凪、間違いなく浮子釣りが出来ると思っていた。
だから浮子釣り用の竿は3本、万が一を考え投げ竿も1本用意したのだが。
”備えあれば憂い無し”、”転ばぬ先の杖”、”後悔先に立たず”これらはノビタには耳が痛い格言である。

今回は身につまされた。
この投げ竿が無かったらと、ゾッとする。
普通の人はやらないが、ノビタは人間魚雷的な釣りをするので、よくこの手の失敗をする。

過密地帯から離れて、釣りを開始したのは午前1時。
第一投、竿を堤防のブロックに立て掛け様としたらアタリ!。
竿先が、鋼の線が振動する様にビビーーンと震えながら御辞儀を2〜3回繰り返した。
竿を掴み、大きく合せる。

勝負有り!手応えはある、が小さい。
闇に沈む波打ち際のテトラゾーンを、ヒヤヒヤしながら仕掛けを一気に引き抜くと。
1匹は1匹と、励ますしかないサイズの石持が上がってきた。
この後、何度もアタリがあったが空振りばかり。
周囲を見ると、皆ノビタと似たりよったりだ。
釣れるのは先端にいる一人だけ、彼はコンスタントに次々と良形の石持を上げていた。

                                       
女性も参加
久しぶりの埼玉さん
午前3時、先端付近にいた釣り人が、いつの間にか消えた。
そちらに移動して。
投げる、アタリ、良形ゲット!。
続けてもう1匹。

午前3時半、薄暗がりから、
「どうですか」
と声をかけられ、全然駄目ですと答えると。
気落ちしたように、そうですか〜と、ノビタの隣りに道具を下ろした人がいる。

薄暗がりを通して顔を合せると、互いにアッ!。
5月始めにH堤であった埼玉から来るおじさんだった。
話しをすると。
埼玉さんも最近はH堤を止め、N堤が多いらしい。

   
ダブルヒット?お祭り?
秘技を知る
この後も。
ノビタの方はほとんど入れ食いとなったが、空振りが多く、数を伸ばせない。
それでも午前4時半までに8匹確保。
埼玉さんはこの間、全くアタリ無し、僅か1匹。

ところがところがどうして、この後の埼玉さんの猛追は凄かった。
というより魚の群れが、ノビタのポイントから沖合いで、10メートルほど離れた埼玉さんの方へ移動したらしい。

埼玉さんは、2本の竿で交互に良形の石持を釣り上げて行く。
それもアタリがあれば確実に”狙った獲物は逃がさない”のだ。
ノビタの方にも、たまにおこぼれが来るが空振りばかり。
それを見かねた埼玉さん、自分の仕掛けを見せながら釣法をノビタに伝授。
その釣法での武勇伝も聞かされたが。
目の前でその実績を見せつけられると、100%の説得力がある。
恐れ入りやの鬼子母神。

                                
  サァーワァーが点々と
この後、ノビタも埼玉さん流に仕掛けを替えてみた。
すると、アタリが確実に釣果に結びつく。
”ざまぁ見ろ石持め、まいったか”である。

(この秘技を公開すると、埼玉さんの武勇伝が聞けなくなるので秘密です、但しノビタと会った人が盗技する分にはかまいません)

踏ん切りがつかない撤退
いつからか、周囲はまた竿の林ができてしまった。
釣り人の中に、若い女性も混じる。
殺風景な男の世界が急に華やぎ。
その黄色い声、笑い声、それに応える男性の声、俄かに堤防全体が弾んできた。
やはりこの世は、すべからく男と女がいて成り立つものらしい。

         
本日釣果
ただ、釣れるのは埼玉さんを中心にした3人だけ。
午前7時、帰ろうかと思ったら埼玉さんが又良形を上げる。
午前8時、帰ろうかと思ったらまた埼玉さんが...。
これでは帰りたくても帰れない。
この状態が、グズグズと続く。

既に埼玉さんは、この時点で30匹近い釣果、時速6匹のペースだ。
埼玉さんのアタリが遠のいたので、今度こそ撤収と海から仕掛けを回収すると、また埼玉さんが良形を。

どうする?また迷う。
これではきりがない、埼玉さんが引き止めるのを振り切り、英断を決して午前9時撤退。

  本日釣果
   石持  18〜26cm  16匹

 
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