２００１年 ９月７日（金）久慈川河口  |
| 静かな釣り♪ 久々の久慈川河口．．．  宛名の無い手紙一筆啓上 「釣りは情熱！」に、隙間風が吹くこの頃。 常盤の海や、東海某堤防も、日増しに銀座並みの喧騒と也。 ”娑婆の喧騒から逃避する目的”が、此所も娑婆かと落胆少なからず。 漁船の乱獲もあり、草木も生えぬ砂漠の海に魚影も霞み。 僅かに生存する魚族の回遊に縋り、ささやかな釣果に一喜一憂も空しく。 執着や、未練を断つ潮時かと。 傷つき汚れた常盤の海におさらばし。 しばらく転戦に出る有、まずは御挨拶まで。 頓首 気合の入らない出発 鼻っから期待していない釣行だった。 ゆっくり起き、ゆっくり飯を食べ、ゆっくり茶をし、ゆっくりトイレを済まし。 今日も、なるようになれと家を出た。 「やっぱり年ね〜止めたら」 とカミさん。 「チチ、ガンバレ」 とアキに見送られる。 足が重い。 心は弾まない。 いつもの、 ”血湧き肉踊り、ノビタ舞い上がる” の情熱は何処に消えた？。 足元で騒ぐ波  久慈川河口午前８時半、久々の久慈川河口。 馴染みの場所に、人影無し。 堤防先端付近に、かげろうの如き人影が一つ。 ひょっとして浦島太郎か。 聞こえる音は、堤防や砂浜に砕ける潮騒だけ。 時を遡り、遥か悠久の昔に戻ったような錯覚に陥る。 空は一面薄雲に覆われ、微かに東風が吹いていた。 荒れた海から河口に入った余波が、足元の川岸でザブン、ザブンと牙を向く。 スズキはいた ４．５メートルと、３．３メートルの磯竿計２本を出す。 仕掛けは常盤の海で使用し、既に錆びが混じる９〜１０号のサビキ針、それを３本針にして、青イソメを付ける。 重りは、それぞれ８号と１０号をぶら下げた。 第一投、根掛かり。 仕掛けは海の藻くずと消えた。 飛び入りで参加パート１  柔らかい磯竿に、アジサビキの胴突き仕掛け、アタリは明るく確かだった。ビビビビーと、竿先を震わせながら外人の歌が、 「コンチチワ〜 コンチチワ〜 世界ノ国カラ〜♪」 と、大きく竿が御辞儀を繰り返す。 始めにコンチチワと水面から体を現した客は、狙い通りのスズキ。 次のお客もスズキ。 時速３匹ペースである。 飛び入りの客 今度の引きは、何だろう？。 飛び入りで参加パート２  磯３号の柔らかい竿の先が、カタッ、カタッと踊っている。リールを巻いて来ると。 波打ち際に異物が近ずいて来た。 水面から板切れが覗く。 「何だゴミか」 ザブザブザブと泡立つ岸から、ゴミを引こ抜くと。 足元に転んだ板切れが、ヘタヘタと体を波打った。 舌平目じゃ！。 予定外の飛び入りのお客だ。 愛します、骨まで愛します。 すぐこの後に、黒鯛様（チンチン）が。 貴方も、愛します、骨まで愛します。 小さい秋見つけた♪  遥か昔にタイムスリップお昼までスズキがポツリ、ポツリと釣れ続いた。 あまりの静かさに、時の過ぎるのを忘れた頃。 トンボがくるりと輪をかいて、竿にすがった。 そのまま竿にボンドで貼っ付いた様に静止している。 カモメが、 「コンチワ〜」 と草むらに舞い降りた。 草むらから目玉をキョロキョロ動かし、身動きもせず観戦している。 その目が優しい。 「メスかな？」 最近は女より、男の方が女ぽくなって来たからオスかも。 近ずくと、不器用な格好で、チョコ、チョコと後退る。 キツネや、タヌキや、鹿まで、 「コンチチワ〜」 と、草むらから頭をかきかき顔を出すような、そんなのどかさだ。 コンチワ〜と鳥が  ノビタのぼやき現代の様に、人間が進化という病毒を持たなかった頃、人は自然の摂理の範囲で、全生物と共存し共栄していた。 木の皮を細く切った糸に、魚の骨を針として釣りをしていた頃だ。 そのころの人間は、生き物にとって、狼や、熊や、キツネ程度の脅威でしかなかった。 今は違う。 人間は万物の生殺与奪の力を持ち、支配者となった。 夏の夜空から蛍の灯りが消え、川から鮒や、泥鰌や、鯰の跳ねる水音が消え、野や山からウサギやイタチの足跡が消えて幾久しい。 トンボも、カモメも、この人間のもたらした大過から逃れる事が出来ず、いつか消えて行くのか。 本日釣果  納竿潮がどんどん満ちて来て、海に足場を占領されて行く。 アタリもほとんど無くなった。 黄昏色も濃くなって来た頃、帰る支度を始め。 現場を撤退。 時計を見ると午後５時だった。 本日の釣果 スズキ １２本 舌平目 １枚 黒鯛 １枚 （アジサビキで釣れるサイズです、チャン、チャン♪） |
