川は朝靄につつまれ、物音1つしない。誰もいない。
鏡のように真平らな川だが、流れは早い。
仕掛けをポチャンと落として2流しめ、浮きが静かに水中に消えて行く。
きたー、強烈な引き、40cmオーバーか?
同時にアジさんにもきた。
悲鳴のようなアジさんの声、
「何だこりゃ−、コハダ(コノシロ)だ、何でこんなものが釣れるの?」
自分のサヨリも上がった。
「それは38cmだよ」とアジさん。
巻尺で測ると、ピッタリ38cm。
脱帽しましたアジさん。
それから20分、流れ早く魚信なし。
急に流れが緩くなる、今までの経験から時合いがきたことを察する。
「アジさん最高の流れだ!」
「これはくるぞ!」
2人の緊張感は、一気に駆け上がる。
目は浮き1点に、集中。
「仕事もこれくらい真剣にやれたらな〜」アジさんのつぶやき声がせつない。
1〜2分経過、口火を切ったのはアジさんだ。
「きたー」、「アジさん写真を撮るぞー!」
カメラを袋から取り出し振り向いた瞬間に、アジさん痛恨のバラシ。
アジさん気をとりなおし、再挑戦、間もなく2度目の魚信。
今度は無事、写真も撮れ、39cmのサヨリも上がった。
すぐ自分にも魚信、バラスことなく35cmのサヨリ。
その後もポツリポツリと切れ目なく魚信あり、バラシ多く、釣る数の2倍程バラシたような気がする。
アジさん8時までに7匹上げる。自分は4匹。
アジさんは、会社に行かねばならぬと8時半に帰った。
9時頃、おじいさんが2人、隣りに釣りにきた。
無口でもくもくと釣りに集中する2人。
少ないながら話す言葉から察するに、人の良いおじいさん達だ。
川の流れは8時半、上流から下流に流れが変わり、次第に流れが早くなってきた。
9時から10時までに34cm〜36cm2匹と、1番最後におまけで24cmが1匹追加。
流れも急となり、釣りにならないと判断し、10時半納竿。
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