1999年 6月19日(土)日立沖堤&東海某堤防           
完膚なき敗北を期した日
                                     
        朝5時、第5埠頭
第1ラウンド日立沖堤
朝4時、外はシトシトピッチャンだ。
50CCのバイクを走らせ、日立フイッシングセンターに着くと小雨に変わっていた。

日立フイッシングセンターのお姉さん
お店に入ると、おねえさんが一人でぼんやり佇んでいる、既に第一便の船が出た後だったので、船が戻って来るまで、店でおねえさんと話しをした。
おねえさんはフイッシングセンターの看板娘、もう10年以上もこの店の番をしている。
余計なお世話だが、感心してしまう。

休日は午前2時頃起きて3時には店を開く。
最近は休日の前の晩から若い男子店員が来るようになり、昼間はパートのおばさんに変わってもらい、お買い物や昼寝が出来ると、嬉しそうだ。
”身も心も、全てお店に捧げて来ました”と言ったらオーバーか。
彼女と話しているうちに船が戻って来る時間になった、外に出ると空は厚い雲に覆われ霧雨の世界。
でもノビタの気分は「雨に唄えば」だ。(アメリカ映画の主題曲)

     
誰もいない堤防
日立沖堤は本日10人
第2便は、ノビタ一人だけの渡船。
船頭さんの話しではノビタが今日の10人目とのこと、さすがに今日は少ない。
中央付近にカレイ狙いが7人、ノビタがやろうとした場所には、先客2人が投げ釣りをしていた。
その隣りで釣りを始める。

始めに、海タナゴ用のサビキ仕掛けの竿、次にイカ狙いの竿2本、全て竿を出し終わったのが5時半だった。
全く魚信がない、海タナゴ狙いの竿には、フグしかかからない。
8時、先客の2人は、中央付近に場所を移動して行った。

赤潮の海
小雨混じりの北東の風、人気のない堤防はやけに寒々しい。
気分は井上陽水の「心模様」のトーンに支配されてきた。
外洋は海全体が赤潮で茶色ぽい。
                                             
茶色ぽい海
講談社の日本語大辞典で赤潮を見ると、
「海水または汽水中でプランクトンが爆発的に増殖し、水が塊状または帯状に赤褐色や桃色に色ずく現象。魚介類に大きな被害を与える」
と、あった。

何が原因で発生し、魚介類にどんな悪い影響を及ぼすのか、肝心の事は書かれていない。
知った所で、どうってことないのだが、これからの釣りが心配だ。
午前9時、この場所に見切りをつけ中央付近に移動した。
隣りで投げ釣りをしていたおじさんが、
「朝からあたりがな〜んもねぇ、釣れるのはヒトデとフグだけだ!!」
と、目に見えない何かに、やつ当りをしている。

内さん不機嫌
午前10時、お客に頼まれ、堤防まで餌を届けに来た船に飛び乗って、帰って来た。
家に帰ると内さん大不機嫌、
「なんで太刀魚を釣って来ないんですか!?」
内さんは、太刀魚大好き人間になってしまったのだ。
”湊 淳”さんは、太刀魚を南蛮漬けで食べるんだよ、と、教えると直ぐ南蛮漬けを作り、
「美味しい!」の連発。
どうにかせにゃならんな〜。

第2ラウンド東海某堤防
                     
                            チョコレート色の海
海はチョコレート色
午後3時半、内さんが玄関で、
「イカなんか要りませんからね、太刀魚釣って来て下さい!」
(女に男の気持ちが分かってたまるか〜)
イカを釣りたい一心で、東海某堤防に来た。
此所も赤潮の海、此所は内湾なので日立沖より汚れがひどく、茶色に近いチョコレート色だ。
足元を見ると、それは細かい粒子が帯状になって漂っているのが分かった。

イカは釣れていた
こんな海でイカが釣れるの?
10人程の人が小雨混じりの北風のなか、イカ釣りの浮子をじっと見つめている。
ノビタも、その隣りに道具を広げた。
餌は、”カドヤ”で買ってきた豆アジだ、この間買った時より1センチ程大きくなり、仕掛けのサイズにピッタリになった。
仕掛けはヤリイカ用1本仕掛け、フックの付いた1本の鋼の串を餌に通し、もう1本のフックを背中につけ、水中で水平になるようにバランスをとる仕掛けだ。
周囲は2段仕掛けの餌木に冷凍イワシを針金で固定する仕掛けが多い。
ノビタの隣りにいた若い人達は、3人で、大きくなっつたシリヤケイカを、10匹程釣っていた。

坊主のThe  End!
午後5時を過ぎる頃には、この雨と風の中、イカを釣る人は30人程に膨れていた。
浮子はプカプカと漂い、沈まず、倒れず、風と波に身をまかせているだけ。
周囲の釣り人も、座ったままじっと海を見つめている。
何の異変も起こらず、時が流れて行く。
午後5時半、納竿。

ノビタはいつか必ずこの場所に戻り、雪辱をはらすと心に誓う。
帰る途中、バイクを走らせていると、対向車線からプッ、プーと警笛を鳴らす車がある。
アジさんだ。
バイクを止めると、
「どうしたの?太刀魚やんないの?」
「今日はやんないよ〜!」
後ろから警笛を鳴らされたので、これだけの会話で別れた。
家に帰ると内さんに、また一杯嫌みを言われてしまった。

完膚なき敗北を期した1日が終わる。

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