今日もタモの出番はなかった
日の出
夜明けを待つ
朝4時、今日のポイントには誰もいない。
まだ空には一杯の星が輝いていた。
竿の準備をし、夜が明けるのを今か、今かと待つ。
東風が吹いている。
午前4時40分、東の空が明るいブルーに染まり、闇の中で混沌としていた天と地が明確に分離していく。
東の空から順に星が消え、いよいよ戦闘開始だ。
アジはいつも好調
午前5時までに3投、生体反応無し。
4投目、ルアーが海底に届いたことを確認し、竿を斜めにシャクリながらリールを巻く、
「キターー!」
ブレーキだ。
引き寄せる力と、抵抗する力が、巻いてくる途中で何度かぶつかる。
敵の抵抗から判断するに、小物か。
敵のあがらう力を軽くあしらい、堤防に引き上げた。
本日最初の獲物は、20センチ程のアジ2点掛け。
続けて同じポイントで、同サイズ1匹。
2度あることは3度なく、次は空振り。
ポイントを変え投げる、仕掛けが着底、リールを巻く、ブレーキ、「キタ!」。
同じポイントに魚はいない。
ポイントは目まぐるしく変わる。
空振りとヒットの繰り返しだ。
ノビタの足と太刀魚
太刀魚の代償はルアー
午前6時を廻った頃、60メートル程投げた仕掛けを海底スレスレにシャクリながら引いて来ると、堤防から10メートル程の所で、重厚なブレーキが手に加わる。
「?」
強烈な引き込み。
「!」
「何だ?」
敵の抵抗に逆らい、強引にリールを巻いてくる。
足元まで引き寄せたが、まだ正体が分からない。
そのままゴボウ抜き。
大きさ60センチオーバーの太刀魚が、サビキ仕掛けにグルグル巻きになって上がってきた。
「ルアーがない!」
「どうした?」
サビキを太刀魚からはずして点検、サルカンごとルアーが無くなっていた。
ルアーに食いついた太刀魚が、その鋭利な歯で幹糸からブチ切ったようだ。
ただ、運が悪く、逃げる際にサビキが体に巻きついたらしい。
良形アジの4点掛け
アジのポイントは刻々と変化
アジは早い速度で回遊している。
今、釣れたポイントは、あっと言う間に無魚化する。
盲滅法にポイントを変え、仕掛けをぶん投げるしかないのだ。
運が良ければ、アジの群れの頭上に仕掛けが落ち、ストライク!。
しばらく反応がなかったのに、突然、4点掛けも起こる。
アジは午前7時頃まで、ポツリ、ポツリと釣れ続いた。
午前7時の夏空
カンパチの群れ
堤防から200メートル程沖合で、激しいナブラ(大きい魚に追われた小魚が水面をバシャ、バシャさせること)
が立ち、何処からか鳥が近ずいてきた。
仕掛けはとても届く距離ではない。
仕掛けを70メートル程投げて、惰性的に仕掛けを引いていると、突然足元の水面下を30センチ前後のカンパチ30匹程が早い速度で移動していく。
あわててリールを巻いたが、仕掛けが手元に戻った時には、カンパチの群れは消えていた。
カンパチを追い、堤防の際を探るが何の反応もなし。
この後、カンパチの姿を見る事はなかった。
逃がした魚は大きかった
午前6時半過ぎ、仕掛けをゆっくり海底を引き摺るようにして引いて来ると、仕掛けが突然ピクリともしなくなる。
「根掛かりか?」
仕掛けが切れるのを覚悟で、竿を思いっきり引く。
出番の無かったタモ
「動いた!。」
「ヒラメ?。」
期待が一気に膨らみ、手も足もジットリと汗ばんで来る。
目は足元のタモを追う。
敵は覚悟をしたのか、以外と素直に、引かれて来る。
既に敵は底を切っていた。
堤防まで後、5メートル。
突然、謎の物体が反旗をひるがえし、ガツーンと竿先に1撃。
途端に重量感を失った竿が真っ直ぐ、天を仰ぐ。
「バラシだ〜!」
「ナンタルサンタルチア〜!」
回収した仕掛けを点検したが何の形跡もない、無傷だ。
何だったんだ、今のは?。
朝方の白昼夢か?
くやしい〜〜!
慌てて仕掛けを投げる、巻きとる。
投げては巻きとり、投げては巻きとり、を繰り返す。
堤防から10メートル以内の根掛かり地帯ギリギリまで、仕掛けを引いてくる。
仕掛けが底で停止。
「キタか?」
今度は根掛かり。
The
End!
本日の釣果
納竿
午前8時、太陽が勢いを増しどんどん暑くなり、アジのアタリも遠のいたので撤退。
カンパチ、ヒラメとの闘いは次回に持ち越された。
本日の釣果
17〜22センチのアジ19匹。
60センチオーバー太刀魚1匹。
本日のロスト
ルアー2個
サビキ3個
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