１９９９年 ９月２６日（日）久慈川河口  |
| 魚より、釣り師の方が多かった 朝５時１５分日の出前  大入りの堤防午前４時、暗い海辺の駐車場に、思いがけず車がズラリ。 此所は、あまり釣れないので、釣り師が寄り付かない場所だったのに．．．。 堤防にはケミ蛍の青い灯りが、点々と点在していた。 ５０ＣＣのポンコツバイクで砂浜を進み、一気に堤防に駆け上がり、そのまま先端まで突っ走る。 先端に５〜６人の先客、ほとんどのポイントに竿が並んでいる。 しばらく闇の中で先客の動きや、置かれた竿の位置を確認したところ、幸いかな先週フッコが釣れたポイントが空いていた。 先客の竿先が川下に傾いている、その川下でやることになるが、どうせノビタの仕掛けも流されるから大丈夫と、早速竿を出した。 流れの速い河口 今日の餌はサンマの身餌、１時間もすれば明るくなるのだが、竿先にケミ蛍も装着した。 暗闇の川に仕掛けを投げたが、何処に飛んで行ったのか検討がつかない。 間違いなく正面に飛んだろうと、置き竿にして魚信を待つ。 夜空は一面に鱗雲、西の空には丸い月が笑みを浮かべて雲間から顔を出し、東の空には雲の隙間から星が輝いていた。 満潮が午前４時、川は下流に向かって勢いよく流れている。 磯竿５号の竿先は道糸に引かれて弓のように曲り、河口で砕ける波に押し戻され、はじかれ、身震を繰り返す。 鱗雲に隠れるお日様  刑事コロンボと”おそ松君”どれくらい時間が経過したのだろう。 不連続で、連続的な動きをする竿先に、一瞬、異状な信号が伝わった。 直後、大きい波が河口で砕け、その衝撃で竿先がはね返り、異状な信号が消された。 この一瞬の異変を、刑事コロンボの目で見ていたノビタは、見逃さなかった。 釣り師は、あらゆる事象に目を配し、その１つ１つを瞬時に分析し、推理し、海面下のターゲットの針掛かりをイメージする。 重りを引きながら海底の凹凸を知り、魚が釣れたポイント、魚が釣れた針の位置、風向き、川の流速、濁り、波の砕ける位置、などなど全てが魚のいる場所を知る手掛かりなのだ。 残念ながら始めの異状を察知した後、ノビタの目は”おそ松君”の目となり、「竿先は川の流れに引かれ、波に揺れている」としか見えなかった。 実際は海底で発信された信号が、道糸を通して竿先のケミ蛍に、微妙に、繊細に、精緻に、密かに、伝わっていたのだが．．．．。 始めの２匹 竿を上げて確かめたかったが、まだ５時前で暗い、隣りの人の竿先も大分川の流れに引かれている、もし隣りの人とお祭りをすると（仕掛けが隣りの人とからむこと）、暗闇の中で難儀することを恐れ、明るくなるまで待つことにした。 大分白んできた午前５時、始めの異変から３０分経過後、今度は竿先が元気一杯に連続してお辞儀を繰り返す。 合わせた、勝負アリ〜！ 川の流れが速く、仕掛けはテトラを大きく迂回し、根掛かりゾーンに近ずく。 根掛かりを避ける為、ガン、ガン、リールを巻いた。 テトラに打ち寄せる波に乗せ、一気に引き上げると、何とダブル！ まだ薄暗い、水面上の２匹のうち、１匹の正体が分かりにくかったが、仕掛けを手にして、やっと石持（ニベ）と、舌べらめであることが分かった。 始めの異変はこの舌べらめの針掛かりで、この舌べらめがその後も引いたのだが、波と魚信との区別を、見分けことが出来なかった。 達人への道は遠い。 混雑する釣り場  混雑する釣り場５時過ぎ、どんどん釣り師がやって来て、狭い釣り場がどんどん過密化していく。 都会の騒然、混乱、荒廃した人間世界を逃避して、つかの間の自然児になりたく此所に来たのに、青山の六本木、新宿歌舞伎町、渋谷のハチ公前広場、の再現を見て、釣り師はまた深い溜め息をつく。 あまり関係ないけど昔こんな歌があったな〜、 「．．．．傷つき〜、汚れ〜た〜、わた〜し〜で〜も〜．．．♪」 人間は、いつの間にか純粋さを失い、傷つき、汚れて、腐って、老いて、枯れていく。 釣り師は、釣りに燃焼している時だけ、失いしものを取り戻しているのかも。 ずるずる８時半 隣りに来た釣り師、危険なテトラの上から第１投。（冒頭の日の出前の写真に写っている釣り師） 仕掛けが着水するかしないかの間に、２５ｃｍ程の石持をＧｅｔ。 続けて第２投、第３投、ひょい、ひょい、ひょい、と計４匹上げてしまった。 この後が続かない。 ノビタの方にもたまに魚信があるが、フグを１匹追釣しただけ。 午前８時、Ｇｉｖｅ Ｕｐ、と竿を仕舞った時に、隣りでダブル。 未練たらしく、またまた竿を出したが、結局、８時半まで全く魚信無し、納竿。 本日釣果  本日釣果２４センチ石持 １匹 ２８センチ舌ベラメ １匹 |
