穏やかな海、魚は何処だ?
寒い朝の海 日の出を遮る雲
日の出は間近。
薄明かりに黒々と港のシルエット。
冬将軍は北方に後退したはずなのに、まだ勢力は
衰えない。
地上は白い霜に覆われ、寒気が、露出した顔や手を
直撃してくる。
雲が太陽を遮り、暖かい太陽の来光は、まだ時間が
かかりそうだ。
風は南西の微風、海は信じられないほどのベタ凪
弱々しい波が、擦り寄るようにテトラで崩れていく。
海底が見える海 |
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隣りの先客
午前6時半、広い堤防に5人ほどの先客がいた。
釣れているのかいないのか。
隣りのおじさんに様子を訪ねると、来て30分ほどだが全く魚の気配がないという。
来た早々、期待薄のスタートとなった。
昨日の話だが、おじさんは20センチオーバー4匹と
30センチオーバー1匹のアイナメをGetし、群馬から
来た人は、座布団カレイ(50センチほど)を1枚Get
したという。
釣りにはまったおじさん |
いつもの昨日は良くて、今日は駄目のパターンになってきた。
昨日はこの堤防で、おじさんが一番釣ったんだと、喜んでいる。
60を越しているおじさんだが、嬉しそうな顔は7〜8才の幼児のようだ。
まだ釣りを始めて1年、すっかり釣りにはまり、冬の寒さも全く気にならないと言う。
浮世には誘惑が多い、1歩、道を誤ると奈落の底に堕ちて行く。 |
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おじさん、釣りは賢明な選択でしたよ。
パチンコや、酒や、女でなくて良かった、良かった。
釣りにはまっても家庭崩壊はないでしょう。
唯一恐いのは、命を失う危険があるということ。
これさえ胆に命じておけば、釣りは1生の楽しみです。
始めの1匹
内湾の堤防際に垂らしていた3.3メートル、重り負荷2〜5号の万能竿、その竿先が不自然な動きをした。
波気がないのでカクンとお辞儀をしたままだった竿先が、幾分上向きに持ち上っている。
続いて、カクンカクンと連続して上下運動を繰り返す。
カクンとお辞儀をして静止した。 やっと釣れた1匹 |
「....?」
間をおいて又、カクンカクンカクン。
魚信は、ドアを軽くノックする程度のもので、容易に魚のサイズが想像出来る。
竿を持ち、リールを巻いた。
サビキと重り、それにコマセ籠+?の重さを感じる。
動きは伝わってこない。
何んだ?
海底まで透ける海中から、円を描きながら魚が浮上してきた。 |
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堤防の上でパタパタ暴れているのは、沖ハゼだ。
海中も餌が少ないのか、やせ太郎になっている。
我が家では、あまり歓迎されない魚なので、写真を撮った後にリリース。
おじさんにアイナメ
太陽が雲間から顔を出すと、あっと言う間に雲は空から消えてしまい、堤防の上はポカポカと暖かくなってきた。
午前9時、堤防は眠ったように静かだ。
おじさんが偵察から戻って来た。
誰も釣れていないようだ。
突然、おじさんの竿が、元気一杯にお辞儀を始めた。
離れた所にいるおじさんを見ると、仕掛けをテトラの根際に落とし込んでいる最中だ。
28センチのアイナメ |
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「おじさ〜ん、アタッテル、アタッテル」
おじさんがニコニコしながら駆けて来た。
おじさんが竿を持ちリールを巻くと、竿先がググ−、ググググと途中何度ものされている。
「おじさんそれは大きいよ!」
おじさん満面に笑顔を浮かべ、
「大きそうだ〜!」 |
堤防に引き上げられたのは28センチほどのアイナメだった。
この後は続かなかった。
疲れた
午前11時に納竿。
今日は約4時間、サビキで海タナゴ、ブッ込みでアイナメ、浮子仕掛けを沖合い30メートルほど投げてサヨリを狙ったが、ことごとく駄目だった。
やはり冬の釣りは厳しいものがある。
家に戻ると、カミさんが車庫まで迎えに出て来た。
「海に何をしに行って来たんですか、今夜のおかず何もありませんよ!」 |
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