2002年1月26日(土)日立港内                       
     メロドは何処に?
                                       静かな堤防
寒い堤防
午前8時半。
日が昇ってから大分経っていたが、気温はまだ4度ほど。
堤防を舐めるように吹く冷たい北風が、弱い陽射しの熱を、全て奪い去って行く。

投げ釣りが3人と、先端で足元を狙う釣り人が一人。
この4人の中に、ノビタと同じ魚を狙っている人を期待したが、いなかった。
何せ相手は、まだ一度も釣ったことがないメロドだ。
作戦では、先客のまねをすれば良いと思っていたのだから、このショックは少なからず。

   対岸からぼやき...
海から応答無し
堤防の中央付近で磯竿を1本出し、コマセ籠と、その下にパニック仕掛けを付け、浮子釣りで試すことにした。
砕光を放つ海は幾分白く濁っていて、この様な日は...無理かな〜。

風にさらされながら、10分、20分、30分...、浮子は小波に揺れているだけ。
じわじわと寒さが身に沁みて来て、弱虫、小虫が何処かで泣き始めた。
頭の奥でメラメラ燃えていたメロドへの想いも、しだいに消えて行く。
釣歴25年、まだ見ぬ恋人メロド、あ〜ぁ。
2時間経過、「ローマは1日にして成らず」と撤退を決意する。

                                   
埼玉から来られた2人
この魚何ですか?
先端にいた2人が、大きいクーラーボックスを開き、中の水を捨てていた。
見に行くと、20〜30センチほどのドンコが7〜8匹、
それに37、8センチほどのアイナメが一匹。

60才ほどの年配のおじさんが、ドンコを指差し、名前を聞くので。
ドンコですよと教えると、笑顔でうなずいていたが...。
聞くと、埼玉から来たそうな。

自分の釣り場に戻ろうとすると、後からおじさんがついて来て、
「済みませんが魚の名前を、もう一度教えて頂けませんか」
「ド、ン、コです」
と一語、一語、区切りながら大きい声で応え。
ついでに、
「この辺では、各駅停車と言う人もいますよ」
(各駅停車と言ったのはOだけだが...)

   幾分白い濁りがあった
「えっ、もう一度お願いします」
「カ、ク、エ、キ、テ、イ、シャ」
「......?!、ほほ〜、なるほどーー」
ドアの隙間から陽が射したような笑顔で、大きくうなずいている。
その無邪気な驚きように、彼の人柄が透けて見えるようだった。
今日
(きょうび)、この様な人はめったにいない。
ノビタが求めているのは、このような率直と、稚さなのかも。


いつか我が手に
10時半に竿を片付け、現場を後にした。
帰り道、メロド、メロド、いつか釣ってやると考えながら...。
今年の歌会始で、大阪府の高校生、中迫 克公さんの、

  「トンネルの むかうにみえる僕の春
     かすかなれども いつか我が手に」

が披露された。
夢を追いつつ”けるのが釣り師、メロド、”かすかなれども いつか我が手に”。
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