2002年3月2日(土)常盤の海                     
      不毛の海

                                 本日始めの1匹はシャコ
静かな海
昼過ぎ、久々の常盤の海だ。
曇よりした空が裂けて、陽射しが地上に注がれてきた。
堤防にいる釣り人の数は僅か。
あの艶麗に豊満に微笑んだ海は、今はなく。
広がるのは希薄な生気、白く霞む茫漠、蜃気楼のように現実感に乏しい景色。
先客に漂う倦怠が、ノビタの戦意を一枚、一枚削いで行く。

  
沈黙したままの竿
ネット仲間と遭遇
しばらく行くと、前方にT.Fさんがいた。
手を振っている。
久々の再会だ。
朝から黒鯛を狙っていたようだが、まだ姿を見ていないと、くやしそう。

20メートルほど前方にかくべーさもいた。
T.Fさんの話しでは、かくべーさんは昨夜10時に来て、夜はメバルとアジと戯れ、朝方に黒鯛を2枚上げたとのこと。

かくべーさんの所に行き、海中からストリンガーに繋ながれた30センチ強の黒鯛2枚を見せてもらった。
かくべーさんは、
「毎週1〜3枚釣っています」
とさりげなく言うが、黒鯛に挑戦してからまだ1年足らず。
まだいわば初心者である。
それが、精悍かつ、老獪、賢明な海の兵を相手に互角に戦い、連戦連勝なのだ。
三嘆、四嘆である。
                            
    ザワワ、ザワワ♪

忍耐の釣り
さらに行くとOが、
「な〜んもいねぇ」
とぼやいていた。
チアユを探っていたようだが、影も形も見えないらしい。

投げ釣りように磯竿の5号を2本出し、それぞれカレイ仕掛けをセット。
チアユ狙いに磯1号の竿も1本用意し、パニック仕掛けを海中に垂らす。
竿を3本並べ終ったのは、午後12時半。

冷たい風が、強弱を繰り返しながら西から吹いていた。
風に起こされた小波が、波打つ草原のように眼前に広がり。
盲目の歌手、新垣勉さんが歌う「さとうきび畑」、
ザワワ、ザワワ、ザワワ、ザワワ・・・♪
が、お脳の中一杯に流れ、束の間、ノスタルジックな気分に包まれた。
   
  鉛筆アナゴが
ひたすら忍耐
2時間経過、竿先に付けた鈴が、忘れた頃に風に吹かれてチリッと泣くだけ。
海からは何の応答も無し。
乾いた砂が目の粗いザルからすり抜ける様に、浪費と空白の時間が流れて行く。

Oがノビタの竿を指し、
「師匠、この竿は何を狙ってるんですか、まさかカレイ?」
ノビタが、
「ノビタの専攻科目はカレイ、当然だ!、誰かの様に阿呆魚専攻じゃない」
と返す。
この後もOのぼやきと、冷やかしの相手をしながら待つのだが・・・。


海は不毛か
午後3時半頃、T.Fさんが帰りますと、挨拶に来た。
「この後の釣果報告、月曜日が楽しみです」
と、プレッシャーの一言を残し、帰って行った。
T.Fさんの話しでは、冷水塊が沖合いに来て、海水温が急激に下がったそうな、それで魚が一斉に姿をくらましたのでは・・・だった。
                               
  冷たい黄昏
海にも地上と同じ様に、不況の波が押しよせたらしい、底深い不毛の海、まだ海も春は遠いようだ。

午後5時半納竿、鉛筆アナゴ1匹、シャコ2匹、たったこれだけ。
アナゴはリリース。
ノビタもチアユを試したが、最後の最後まで、その姿を見ることは無かった。

Oと、かくべーさんと3人、薄ら冷たい黄昏の中を帰って来た。

帰り道
荒涼とした堤防には、4〜5人の釣り人が未練と、執着と、期待の就縛から開放されずにまだ残っていた。
  
シャコ2匹、アナゴ1匹
Oは寡黙になりがちだった、時々ぼそぼそと話すのだが、ホースの口からドボドボと水がこぼれ落ちる様に勢いがない。

それに比しかくべーさん、昨日の夜10時から現在午後6時まで、おにぎり数個の体なのに。
勝者と敗者の違いはあるが、あの元気。

ゴムホースの口から勢いよく放出される水の様に話しが弾み、笑い声が大きく響き渡る。
かくべーさんに比べれば、ソニーのAIBOや、ホンダのASIMOが何ぼのもんじゃい。
人間のコストパーフォーマンス(超高効率)の偉大さを見よだ。

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