２００３年１月１１日（土）日立沖釣り

ヒラメは何処だ？ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　不夜城の港 また夢破れる 三流の釣り場が駄目なら、日立沖があるさと。 ヒラメには何の恨みもないけれど、一人で勝手に敵意を燃やし、Ｏも道連れに龍翔丸に飛び乗ったのだが。 見事に玉砕してしまった。 ｎｉｎａさんに会う 午前５時、日立フイッシングセンターサウス店の前にバイクを止めて、荷を下ろしていると。 暗闇の中から��ぢおはようございます��ぢと、七福神の”ほていさま”のような顔をしてｎｉｎａさんがやって来た。 今日は、ｋｕｍａさんが先日上げた４６．５センチのマコカレイに刺激され、東京からブッ飛んで来たと言う。 その顔は、既に座布団カレイをゲットしたかの様に、目も鼻も口も踊っていた。 彼の戦場は日立沖堤防だが、水温が６．７度と低く苦戦が予想される、ガンバレョ！。 　鷲が翼を広げたように Ｏ早し ｎｉｎａさんと別れて店に入ると、Ｅ−子さんからＯは先に船に乗ったと告げられ。 急いで桟橋に向かった。 まだ闇が支配する夜明け前、何艘もの船の青や、赤や、黄色のライトが煌々と照り、桟橋はそこだけ不夜城の如く明るく輝いていた。 龍翔丸に近ずくと、熊の様な黒いシルエットが、こちらに右手を振っている。 Ｏである。 彼は右舷の大トモに陣取っていた。 ノビタは、その隣の左舷の大トモに荷を下ろす。 総勢１１人 周囲を見回すと、左舷側に６人、右舷側に５人、総勢１１人。 �"丁か半か���錫鮠 ����　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今か今かと・・・ のやくざな世界に賭ける御同類達だ。 皆さん、屁もこかず、コホッと咳もせず、無表情に黙々と釣りの準備をしている。 ”栄光の日立沖”で、”栄光のルマン”のスティーブ・マックインーンとなるのは誰か。 見果てぬ夢を追う釣り馬鹿同士よ、お互いガンバロウぜ！。 Ｆｉｓｈｅｒさんに会う ノビタも早速、船釣りの準備を開始した。 準備を終わり、ホッとして隣のＯと話をしていると、桟橋にＦｉｓｈｅｒさんが現れ、 �"今年も宜しく御願いしま〜す���錫鮠 ����と満面、笑顔で挨拶に来た。 今日は、日立沖堤で黒鯛を狙うそうな。 間違ってもヒラメだけは釣らないで、と言ったが聞こえなかったようだ。 　　　壮絶な死 出港 生き餌のイワシは、大洗漁港からトラックで輸送されるが、その到着が遅れた為、定刻より１０分ほど遅れて龍翔丸は第５埠頭を出航した。 �"牛に引かれて善光寺��ぢなら��ぢヒラメに魅かれて太平洋��ぢである。 後ろから赤い灯や、青い灯を付けた漁船群が、大名行列の様に何艘も続く。 さらば俗世界 龍翔丸は、大鷲が翼を広げた様な白い波を引きながらひた走った。 娑婆での、あれやこれやの暗雲は全て雲散霧消し、今はヒラメちゃんへの一途な想いだけ。 さらば日本列島よ、さらば娑婆の世界よ、もう決して戻らないぞーー。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　オーーィ釣れてるか 頑張れイワシ 航行２０分、始めの魚場に着いた。 空一面が雲に覆われていたせいか、まだ海上は暗い。 開始のベルが鳴り響く。 それっ！と、元気なイワシを針に付け、 �"イワシちゃん元気に泳いでくれよ���錫鮠 ������ぢヒラメに食べられてくれよ���錫鮠 ������ぢ君の死は決して無駄にしないぞ���錫鮠 ������ぢ南無阿弥陀仏���錫鮠 ����とイワシを付けた錘６０号の仕掛けを海に投入した。 水深は３０メートル、イワシは錐もみ状態で落ちて行く。 �"イワシよ、目を回すな、気を失うな、もうすぐ着地だ、頑張れョ！���錫鮠 ����錘が海底に、ドーンと着地した。 そして何ごともなく時は過ぎて行く。 　　オーィ釣れてるか いつも元気なイワシ 船のエンジン音以外、何も聞こえない。 皆さん、直立不動で竿を握り、ジッと海を睨んでいるのだが。 やがて船長の合図で仕掛けを回収すると。 餌のイワシが、ピチピチと元気に生還して来た。 危険な任務から生還した兵士との再会ならば、感動ものだが・・・。 イワシちゃんの元気な姿に、落胆のため息しか出ない。 イワシの体にヒラメの歯形がないかと点検し、無傷である事にまた落胆。 龍翔丸は、次々と場所を変え転戦して行くが、状況は変わらない。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　果報は寝て待て 夢の中へ やがて頭上にあった雲が消え、太陽の陽射しが燦燦と船上に降り注いで来た。 船は波のうねりで揺れ、まるでハンモックに乗っているように心地良い。 待てば海路の日和有りと、朗報をひたすら待ったが。 いつか神経のゴムが伸び切って、睡魔が襲って来る。 隣のＯを見ると、既に竿を持ったまま夢の中に。 　��ぢ　探しものは何ですか 　　まだまだ探す気ですか 　　夢の中へ　夢の中へ 　　行ってみたいと思いませんか？ 　　ウーウー・・・♪　��ぢ　ｂｙ井上揚水　��ぢ夢の中へ���錫鮠 ����錫鮠 ����Ｏは、夢の中で１メートルを越すヒラメでも釣っているのか。 　　オーィ釣れてるか イワシ様ご臨終 重い錘に繋がれて３時間経過、あれほど元気だったイワシちゃんも、 とうとう力つき、バケツの底に横たわり、パクパクと虫の息だ。 そして、とうとう息絶えた。 安らかに眠りたもうれと、ご冥福をお祈りし。 また元気凛々の新たなイワシちゃんに交代して頂く。 船集まる いつの間にか、我々が乗っている龍翔丸の周りに、六艘の遊漁船が集結した。 �"我ときて　遊べや　釣れない同士たち���錫鮠 ����船の上の釣り人が、黒い豆粒の大きさに見える。 そして１時間、どの船も魚を掬うタモに動きはない。 釣り人も、武田信玄の様に、��ぢ動かざること山の如し��ぢだ。 何時か集結した船は、三々五々に別天地を求めて別れて行った。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　オーィ釣れてるかい ラストの一流し 龍翔丸も、その場所に見切りをつけ、新たな場所に移動した。 そして、とうとうラストの一流しとなる。 全員が仕掛けを投入して間もなく、急に船上が騒がしくなり。 何だ、何だと周囲を見渡すと、左舷ミヨシで釣り人の竿が満月に。 そして、とうとう６０センチほどのヒラメちゃんが上がった。 彼に続けとばかりに、全員俄かに元気になったが、その後は何も起こらない。 明日があるさ 午後１時、無常にも引き上げの合図が流れた。 一環の終わりである。 胸の中を木枯らしが吹き抜け。 夢破れた釣り狂は、屠殺場に連れて行かれる豚の様に、 嫌だ、嫌だと悲鳴を上げながら娑婆の世界に引きずられて行く。 禍福は糾（あざな）える縄の如し、いつまでも不運が続くわけが無いぞ。 明日こそは・・・。 以下省略。

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