2003年3月21日(金)湊寄りの堤防

    また玉砕


                       不純物の無い空に
禁断症状
まだ水温は6度ほど。
海中は、真冬だ。
しばらく不毛の戦いを避けていたが。
娑婆を生き抜くための、命の泉が枯渇して来た。

「人には、負けるとわかっていても、どうしても戦わなければならない時がある」(バイロン)。
これだ。

ロシナンテ起きず
3週間、出番がなかった老馬ロシナンテは。
車庫の中でスヤスヤと”春眠暁ヲ覚エズ”状態。
これを起こすのは大変やっかい。

  
  菜葉濁り
まずスイッチをOFFにしたまま、キックを10回ほど踏み。
そしてスイッチをON。
「起きろーーー!」
と叫びながら、全体重をかけてキックを一蹴り。

すると。
「クシュ」と、ガスが抜けたような情けない応え。
まだロシナンテは冥界をさ迷っているのだ。

もう一度スイッチをOFFにして、始めからやり直し。
また「クシュ」だ。
しばらく「クシュ」を繰り返しているうちに。
「クシュ」が「ドシュ」に変り、そして「ドドシュ」になり。
そして、とうとうオンボロの老体に火がついた。
「ドシュ、ドシュ、ドシュ、ドドドドドドド・・・・・・・・・・・・・・、ガタ、ガタ、ガタ、バリバリバリ、ドドドド・・・♪」

いつものことながら。
エンジン音とバイクの振動音が共鳴し、さながらワーグナーの「ワールキューレ」を演奏しているようである。
この瞬間、ノビタとロシナンテは一心同体となって、この出陣の讃歌に酔うのだが。
でもしんどい。
ノビタ、大いに汗を流し、「ハフハフハフ」と全身で息をしている。

まだ冬                黒い藻をつけたヒトデ
午後12時半。
不純物の無い青く透明な空の下。
三流の釣り場に向かって歩いて行く。

春の陽光が、燦々と大地に降り注ぐのだが。
冷たい東風(こち)が、その熱を全て奪い去って行く。
乾ききった広大無辺の虚無の中で。
景の汚点の様に、釣り人が一人蠢いていた。

あれは、釣り歴35年の大先輩SAKさんだろう。
駐車場に、SAKさんの、ピカピカに手入れさたバイクがあった。

風はアゲンスト
いつものポイントに、投げ竿を3本並べたのは午後1時。
向かい風で、仕掛の投入距離は延びなかった。
1時間経過。
竿に付けた鈴は、寡黙な未亡人の如く、沈黙したままだ。
ま、こういうもんだろう。

午後2時、SAKさんの様子を見に行く。
朝の7時から竿5本出して、カレイ様をお待ちしているのだが・・・と、さすがに疲れた様子。
ノビタの投げたポイントは、海底に藻があるよと教えて頂いたが。
その点をよく考えなかった愚かなノビタ。
結局それが故に、5時間の時間を浪費してしまったのだ。

  
午後5時半撤退
枯れた脳味噌の音
仕掛を回収すると。
糸状の黒い藻に覆われたヒトデが上がって来た。
不覚にも、今度もよく考えなかった。

午後5時。
竿3本の仕掛を回収すると、全て黒い糸状の藻が付いている。
「ガーン!」
海底は黒い藻の絨毯で覆われていたのだ。
そんな所に仕掛を落としても、釣れる分けないじゃないですか。

カミさんが、
「お父さんの頭の中で、乾燥した脳味噌がカラカラ転がる音する」
と言っていたが・・・。もう手遅れなのか。

撤退
午後5時半、夕陽が山に隠れ。
藍色の空が淡麗な残照に染まり、大地は墨色に塗られて行く。
冷たい風が、形の無い虚、嘆、愁を運んで来た。
混沌とした浮世の世界に戻り、松山千春の”大空と大地の中で”のようにまた頑張るしかないね。

  「生きる事が つらいとか
   苦しいだとか いう前に
   野に育つ 花ならば
   カの限り生きてやれ 」 

メロデーと詩は、
こちら

The End
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