2003年9月5日(土)久慈漁港
   午後7時〜7時40分          

    復帰第一戦はボーズ


危難から                      月と港の灯り
「危難というものは両刃の剣である。
危難に殺されるか、危難を新生面にかえるかである」(宮城谷昌光「太公望」より)

5月8日に事故に遭遇し右足を骨折。
際どい事故だったが、殺されることも、それを新生面にかえることもなかった。
新生面は、強烈な何かへの思いがあって拓かれるものか。
尺メバルへの泡のような思いでは・・・・・・。

まだ未完成の足
あれから4ケ月経過。
1本の杖をささえに歩き始めた。
少し長く歩くと疼痛が全身に鳴り響き、その度に足を休め、又足を運ぶ。
これもリハビリと、油汗を地に散布しながら歩いている。

病は気から、気を腐らせたくなかったので。
潮廻りも悪く、敗北が目に見えていたけど。
むずかる次女のミーを道連れに久慈漁港に出撃した。

「男は、負けると分かっていても、戦わねばならない時がある」
これは、誰のセリフだったかしらん。

   
海面を照らす灯り
ミーの車で
ミーの車で現場に着いたのは、午後7時。
港内には先客がポツン、ポツンと2人いた。釣れないのか、その影はじっと動かない。

海面に、赤い人工光線が棒状に揺らぎ。
頭上には、半月が白く輝く。
赤、青、黄の光線が舞い、港内はまるで豪華なステージのようだった。

北風が地を這うように吹いている。
車から降りたミーが、
「何か臭いゾー」
とわめいた。
風に、魚の臭いが縞のように混じっているのだ。

                            
 空に飛ぶ港の灯り
三本足で、ヒョコヒョコとミーの後について行った。
心地よい北風も、障害者には手強い。
風に押されて、そのままヨロヨロ、ポチャーーン♪と海に落ちそうである。
後ろを振り返ったミーが、
「何を考えてんだか」
と憐れんでいるのか、迷惑なのか、軽蔑しているのか、ぼやいている。

男のような
釣りの準備をしていると、
「オーーッ!これはムリだーー!」
ミーが、ロープ付きバケツで海水を汲もうとしたのだが、バケツに海水が入り過ぎたようだ。

「オットー!(父上)、あきらめるしかないな!」
ノビタが応えると。
「絶対無理!、あきらめなよオットー!(父上)、ロープ切るゾー!」
ノビタが叫ぶと。
「ウンリャリャリャーーーー!、ワーーッ!、ヤッターー!、ツメテェーー!、ボケッ!」
ミーが、必死らこいてバケツを引き上げ。
「コノヤローー、マイッタカ!、ボケッ!」

とバケツに八つ当たりしている。
覗いてみると、バケツの底に1センチほどしか海水が入っていない。
・・・・・・・・と言うと。
「ワッタ、オットー(父上)!、もう一度ヤッテヤル!」
これが、年頃の娘の言う言葉かしらん。

江戸時代ならば「父上(ちちうえ)」と呼ぶところ、現代娘は動物か何かを呼ぶように「オットー」である。
彼女は娑婆で、どのように猫をかぶっているのであろう。

 
電気浮子に反応無し
すぐあきる
狙いは小メバル。
アジサビキに青イソメを付け、電気浮子をつけて海に落とした。
浮子は小波に揺れているだけだった。

じっとしてられないミーは、すぐコンビニに食べ物を買いに行った。
今夕はベタ潮、食欲を失った野獣のような海である。
いくら目の前に美味しい餌があっても、決して食らいつかないのだ。

ミーが戻ったところで、撤退を宣言した。
正味、30分ほどのショート、ショートの戦い?だった。
「エーーッもう帰んの?、バカみたい、オットー(父上)、もうつきあわんぞ!」
来週は、つきあってくれるのだろうか。
急に、風が身に沁みてきた。

The End
SEO [PR] @[r AEx@o^C ^T[o[ SEO