2003年11月21日(金)三流の釣り場
   午後9時半〜午前0時        

     不完全燃焼の夜


曽根崎心中                      人形浄瑠璃
午後9時過ぎ、黒い布に覆われたような港内を、天真爛漫我が世の春を行くカミさんと、対象的に寡黙なノビタが歩いていた。
夜空には、白く輝く無数の星と、千切れた白い綿雲が3つ、4つ。

砂浜の方から、ザバーーン・ザザザザーーーッと轟く潮騒の音。
北西の風がわずかに吹いている。
めずらしく暖かい夜だ。
草木も眠る夜の道行き。
お初と徳兵衛の死出の旅立ちのように、我々2人、見えるかも。

元禄16年(1703)4月7日、大阪の曽根崎・露(つゆ)天神の森で、添い遂げられぬと知った堂島新地の遊女・お初と醤油屋の手代・徳兵衛が心中した。
それを聞いた天才、近松門左衛門が、その事件を浄瑠璃に仕上げ、1ケ月後に大阪で上演すると大ヒットする。

 
近松門左エ門
 「曽根崎心中」の冒頭の名文。

「この世の名残(なごり)。 夜も名残。
死にに行く身をたとふれば あだしが原の道の霜。
一足づつに消えて行く 夢の夢こそあはれなれ。

あれ数ふれば暁の 七つの時が六つ鳴り。
残る一つが今生の 鐘の響きの聞き納め。
寂滅為楽(じゃくめつ いらく)と響くなり。」
    注)寂滅為楽=死ぬことによって安楽が得られますよ

毎度の事ながら、魚が釣れない日は脱線して横道に。
「曽根崎心中」は、本日の日誌とは全く関係ない。

先客が場所を占領
堤防の道は、雨水が溜り歩きにくかった。
ヘッドランプを頼りに、白く光る水溜まりを避けて行く。
目的の場所に近ずくと、微かな灯りが2箇所でチラついていた。
先客だ。
先客が居る場所は、今夜のメバル狙いの予定地だった、頭の中で落胆しきり。

しかたがないので、先客2人の中間ですることに。
釣りを開始したのは、午後9時半。
アジ釣り仕掛の竿はカミさんに、ノビタはメバル仕掛で。
開始から1時間応答無し。

先客の一人が、場所を離れた。
失地回復チャンス到来と、そこへ移動すると。
カミさんが追いかけて来て、
「アジよりメバルよ!」
と竿を奪われてしまった。
後悔先に立たず、とんだ足手まといだ。

カミさんがメバルを
しかたが無いので、ノビタはアジを。
カミさんとノビタの距離は、20メートルほど離れる。
午後10時半過ぎ。
突然、カミさんの悲鳴に近い声が。
「大きい、重い、タイヘンダーーー!」
何だ?。
飛んで行くと腹ボテメバルが、堤防の上で、ドテ、ドテ、ドテと苦悶煩悶しているではないか。

呆然、唖然、憮然。
一瞬の内にノビタの頭の中は、脳の空き樽になってしまった。
これは凄い!と、声を漏らすと。
カミさんが、欣喜雀躍(きんきじゃくやく)、
「これを海から上げるのは、大変だったんだから〜」
とにわかに天下を取ったような顔に。

カミさん悔しがる
呑まれた針が外れない。
「ハヤク、ハヤク、ハヤク、魚が逃げちゃうよー」
とカミさんがせっつくので、ますます針が外せない。

この後、またカミさんが大騒ぎ、今度は上がらないと喚いている。
竿を奪い持ち上げると、ピクリともしない。根掛かりだ。
おそらくメバルに根に引き込まれ、アウトになったようだ。
強く引くと、ハリスが切れて仕掛が上がった。

この後、またカミさんが同じ事を繰り返した。
カミさんは、カッカ、カッカきているが、メバル釣りの難しさである。
午前0時、納竿。

                             
超腹ボテ
また今日もノビタは宮沢賢治となる。
「雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昨日ハ 大漁ダッタトニッコリシ
今日ハ ボーズダッタト涙ヲナガス」

本日釣果
カミさん メバル 25センチ  1匹

The End
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