２００４年１月１７日（土）阿字ケ浦堤防 　　　午後５時半〜午後７時半

辛うじて２匹 とかくこの世は・・ とかくこの世は住みにくいと、ため息がこぼれる。 今も昔も変わらないようだ。 聖ベルナーレがボヤく。 �"生まれたのは偶然 　生きるのは苦痛 　死ぬのはやっかい���錫鮠 ����錫鮠 ����夏目漱石がボヤく。 �"智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。 意地を通せば窮屈だ。兎角にこの世は住みにくい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。 矢張り向こう三軒両隣りにちらちらする唯（ただ）の人である。��ぢ（『草枕』） 　　　　　　　　　　おうい 中国唐代の詩人王維は人の世を避け、孤独に浸る心境を詩にたくす。 　ひとりゆうこうのうちにざし　 　きんをだんじてまたちょうしょうす 「　独坐幽篁裏　　　　　弾琴復長嘯 　　しんりんひとしらず 　　　　　　めいげつきたりてあいてらす 　　深林人不知　　　　　明月来相照　」 （奥深く静かな竹林（幽篁）のなかに独りすわって、琴をひいたり、詩を吟じる。この竹林を訪れて清興をさまたげる者もなく、ただ明るい月のみが照り入る）（『竹里館』の一節） 住みにくいこの世をどう生きるのか、フランスの文学者ラ・ロシュフコーは前向きに。 �"希望はずいぶんと嘘つきではあるけれど、とにかく私たちを楽しい小径をへて、人生の終わりまで連れて行ってくれる��ぢとつぶやく。 さてノビタは？。 釣り竿を片手に住みにくい浮世を逃亡し、束の間だけど魚と戯れ、全てを忘れるのさ。 世を憂いている間に、どんどん時は過ぎて行く。 若い頃はリンゴのようなお尻も、今では梅干しのようなお尻と嘆く前に。恋せよ乙女。 真冬の天候 「俺はあんたにうらまれる筋あいはない。勝手に仇呼ばわりせんとくれ。この世に生を受けたのは、あんたに食われるためじゃねぇ」 と尺メバルがボヤくのだが。 ノビタはまるで聞く耳無く。 ”思い込んだら一途な道を、行くが男の生きる道”と、ひたすら尺メバルを追い続ける。 空は厚い雲に覆われ、いつ雪が降って来てもおかしくない様相をしていた。 不機嫌そうな空から、冷たい北風が吹き降ろしてくる。 まるで馬鹿だ、気狂いだ、と呼ばれることに、拍車をかけるような天候だ。 薄暮の堤防に、ノビタと御同様のケモノ篇の先客が２人。 彼等も来たばかりなのか、せっせと準備に余念がない。 アタリ遠く 釣りを開始したのは、午後５時半だった。 闇に覆われて行く海は、幾重にも連なる黒い小波が立ち、波はテトラ際でバシャバシャと騒いでいる。 電気浮子の黄色い灯りが、波に往復ビンタを喰らい、あっちにヨロヨロ、こっちにヨロヨロと、波間に漂っている。 一瞬、闇に閃光が走り浮子が消えた。 竿を振り上げ、合わせる、ナッシング、思いっきり空振り。 またカチカチカチと、時だけが過ぎて行く。 背中に貼ったホッカイロが、北風の攻撃を和らげてくれるのが、せめてもの慰めか。 午後６時、まだノーヒット・ノーラン、戦いは膠着状態だった。 この後、２０分に１回ほどのアタリをものにして、小メバル２匹。 午後７時半、百年河清と竿をたたんだ。 　　　注）百年河清：中国の黄河が澄むのを百年待つということ。 　　　　　　　　　　　　いつまで待っても無駄であるの意。 本日　釣果　　　小メバル２匹 Ｔｈｅ　Ｅｎｄ

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