2004年2月6日(金)何処かの海
   午後7時半〜午後9時

      毎度・・・・


孤独な股旅                     満月の夜だった
月夜の枯れ野を、ひょうひょうと凛烈の風が吹き抜け。
風に倒され、起こされる枯れ草が、ザーッ、ザーッとわめいていた。

枯れ野の中を、後ろ姿に荒寥とした憂鬱を引き摺りながら木枯紋次郎が行く。
三度笠を手で抑え、爪楊枝を口に、風にバタバタと縞の合羽をなびかせながら。

風に向かって、
「まともに明日を待っている者に限って、今日をおろそかに生きている。俺には明日はない。だから俺は今日1日を一生懸命生きなければならないのだ」
と吐き捨てるようにつぶやいた。

無人
枯れ野を過ぎると、コンクリートで固めた堤防が伸びていた。
月の光りに照らされた荒涼とした堤防、人影は無い。
空のペットボトルが、カラカラと足元を転がって行く。
風に混じって微かに聞こえてくる車の騒音と。
テトラ際で小さく砕ける波の音。
此所ほど落ち着ける場所が、他にあろうか。

  
街の灯が遠い
名竿「乃比汰」
愛用の名竿「乃比汰」を、竿ケースから取り出し、夜空に真っ直ぐ引き伸ばしてみた。
全長5.3メートルのガイド付き磯竿1号だ。
先端が風にしなやかに揺れている。

竿の先端は針金ほどの細さで、一見心細いが、3キロ級の大魚でさえ、その力を吸収し強靭に足元に引き寄せてくれる。
惚れ惚れする磯竿だ。
俺には、お前という強い味方がついているんだ。
何でも来い!。
                            
 電気浮子の黄色い灯
久々の・・
釣りを開始したのは午後7時半を廻っていた。
電気浮子の黄色い灯りが、黒い水面に貼りつき、ナメクジが這う速さで左に流れて行く。
左に流れ切った所で、投げ直す。
これを繰り替えしていた。

開始してから30分ほど経過したか。
浮子が、黒い海にぼんやりと光りの輪を滲ませながら沈んで行く。
竿を握る手に力が。

浮子を見ながら、合せるタイミングを計っていると。
浮子は10cmほど沈み、そこでUターン、そのまま水面に浮上して来た。
どうやら餌を口から離したらしい。
張り詰めた神経が瞬時に崩壊し、落胆も小さくなかったが、久々の反応に元気が沸いてきて、すぐ投げ直した。

この後、同じようなアタリを2度ほど味わったけど。
結局、それだけだった。
午後9時、撤退。

The End
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