ただいま連敗中 月光の下で 日が沈む 「梅一輪一輪ほどの暖かさ」(嵐雪)。 春の足音が、少しずつ大きくなって来るような気がする。 でもノビタの釣りはまだ真冬。 レモンの半片を、夜空に貼り付けたような月の下で。 冷たい東風(こち)にさらされながら、鼻水を垂らし、電気浮子をジッと眺めていた。 煩悩塵芥に生きる迷いが、妄念を呼び起こし。 あれやこれや、頭の中が騒々しくなって来る。 妄念を払おうと、 わくそうおうなんく りんぎょうよくじゅしゅう ねんぴかんのんりき とうじんだんだんね 「或遭王難苦。臨刑欲寿終。念彼観音力。刀尋段段壊。・・・・」 チ〜〜〜〜ン♪。 処せん仏性でないものの念仏なり。 何の御利益があるもんか。 この寒中、釣りをすることこそ精進苦行、とひたすらその時を待ち続ける。 最後の輝き 月明かりで、白くボーッと広がる堤防の端に、黒い影法師が一つ。 ノビタと同じように、精進苦行?をしている釣り人がいる。 時々、電気浮子の赤い灯りが踊った。 釣れているのだろうか。 気になるが、面倒なので聞きに行くのは止めた。 変化が無い 車の中でカミさんに、 「釣れない所で、釣れない魚を狙うとは、変化がないぞ!」 と注意を促された。 そう言えばダーウインも進化論で、 「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは変化できる者だ」 と強調していたな〜。 でもノビタは、ノビタ流の釣りしか出来ない。 ノビタが変化せずとも、そのうち海にも春が訪れ、魚が浮かれてノビタにも釣れるよになるのさ、ケ、セラ、セラ〜〜♪だ。 そして消えた 午後6時半ころ。 波間に見え隠れしていた電気浮子が、光芒一閃、真っ黒い海に消えた。 その一瞬、居合い抜きのように竿をハネ上げたがカルカッターー!。 その後も2度、同じようなアタリがあったが、針掛かりせず。 矢つき、刀折れ、力つき、というより辛抱の緒が切れる。 「男子たる者は絶対にへこたれてはならん。銃があれば銃で戦い、刀が折れたら素手で戦い、腕を失ったら歯で戦い、生命をとられたら魂で戦うのだ」(西郷隆盛と共に西南戦争で戦死した薩摩藩士 桐野利秋の言葉) 脆弱な精神の持ち主であるノビタは、午後7時、ギブアップ。 本日もボーズ。 The End |