尺*1/2メバルは敗戦? 今日も釣り日和 ハーフサイズなり まるで密閉された空間の中にいるようだ。 人声が聞こえたような気がして見渡すと、向かいの堤防に。 ヘッドランプと思しき灯りが3つ、右に左に交差しながら忙しそうに動いている。 この不気味な静謐の中に仲間がいた、ホッ。 「人類みな兄弟」。 今夜もガンバローぜ。 ピンポイントを攻める まるで彼等が、夜をひきつれてきたかのように、周囲が急速に暗くなって来た。 波が、ザザーーッとテトラに摺り寄る音が、単調に繰り返される。 海は、鋭い刃物で表面をスパッと切ったかのように真平らだ。 少しうねりがある程度の方が良かったのだが・・・。 まだ明るさが、わずかに残っている。 メバルは用心深く、暗さを好むので、テトラが林立する水際の暗窟を狙うことにした。 ポイントまでの距離は、ノビタの立っている位置から20メートルほど、周囲には視認できる沈み根が多くあり、狭く黒々とした淵がテトラの奥に切り込んでいる。 その漆黒の亀裂に仕掛を投げ込むのだ。 その技は、半径10cmの的に、20メートルほど離れた位置から、矢を射る困難さに匹敵する。 難易度100パーセントの玄人向きポイントなのさ。 「腕に覚え有り!」とばかりに第一投、わずかに上にそれ、浮子がカチーンとテトラに激突、そのまま海に落下した。 瞬時の入食い 落ちた電気浮子が、海面でポコポコと3〜4度上下運動を繰り返した後、ズボッと海中に潜りそのま浮上せず。 ピシッ!と竿を起こすと、グングン竿先が引っ張られる。 問答無用、情け容赦無用、油断禁物、とばかりにリールを巻く。 何せその周囲は、噂に名高い根掛かり地帯なのだ。 根に潜られては、ジ・エンドである。 敵も命を燃焼させ、命を悔いることなく浪費して反撃してくる。 その引きの強さに、さては大物かと思ったのだが。 上陸したのは、毎度お馴染みの15〜16cmのメバルだった。 午後7時から30分ほど入食いとなったが、以後はパッタリと食いが止まり、遠投して誘いをかける方法で、数回に一度、やっと1匹釣れる程度となる。 本日釣果 2時間の攻防で、尺メバルのハーフサイズを15匹。 今夜も本来の目的である尺メバルを得る事は出来なかった。 「戦勝攻取してその功を修めざるは凶なり」。(孫子) 城や敵兵を攻め落としても、目的を達成していない戦いは、失敗である。 すなわち今夜も負け戦だったのだ。 そろそろ尺メバルを狙うなどと、大それた夢から目を覚ますべき時期なのか。 午後9時、前方に見える3つのヘッドランプが、 「さあ帰ろう。ふる里に帰るんだ」 とばかりに帰途につくのを見て、ノビタも納竿にした。 本日釣果 メバル 14〜16cm 15匹 The End |