2004年7月31日(土)三流の釣り場
             午前1時〜午前4時

        嬉しい外道が釣れた日

第三希望のポイント                        夜明だ
午前0時半。
始めに、第一希望のポイントに行ったが、既に先客が。
第二希望も、やはり先客が。
いずれも昼間、イメージトレーニングし、作戦を固めた所だったので、ガックリ。
しかたが無いので、期待出来そうもない第三希望へ。
第三希望には誰もいなかった、ホッ。

じょくしょ
溽暑の夜だった。
体中から滝のように汗が流れ、止まらない。
夜空は、今にも下しそうな厚い雲に覆われていた。
予報は東風だったが、風は無い。

アイザック・ウォルトンは、
「東風吹けば食いは最低、西は釣れ盛り、北は魚を寄せ、南は餌を口に送りこむ」
と”釣り魚大全”に著わしている。
天は少し、我に味方したようだ。

狙うは大型ムラソイ
今日も竿1本、針1本で勝負する。
狙いは、大型ムラソイ。
いるのか、いないのか、当ての無い三流の釣り場での大物狙いにしては、心もとない道具立てである。
本来ならば、最低3本は用意すべきものかもしれない。
でも究極の楽しさとは、条件の厳しさがあってこそ。
それに、いちかばちかの賭け勝負ほどドラマチックなのさ。

道糸3号、ハリス2号と大物に耐える仕掛にした。
餌は沖アミ。
浮子下は、針が海底スレスレにある状態に調整。
コマセの準備が終わり、釣りを開始したのは午前1時。

ムラソイは何処だ
外防波堤で咆哮する波の音が、ドドーン、ドドーンと大気を震わしている。
三流の釣り場は湾奥だ。
あまり外海の影響を受けないが、今日は此所も、うねりが入り。
足元の岸辺を、ザザーーーッ、ザザーーッと洗っている。

波間で右に、左に揺れている電気浮子が、時々、スパッと海中に消えた。
三流の釣り場定番の小メバルだ。
おそらく今日も、この小メバルだけが成果であろうとキープする。

ダラダラと、山も無ければ谷も無い時が過ぎて行く。
そして毎度お馴染みの、「北の宿から」(都はるみ)のムードに。
 「あなたアタリは無いですか
  日ごと暑さがつのります
  来てはもらえぬ ムラソイを
  汗を流して待ってます
  おさかな釣りの未練でしょうか
  アタリ恋しい  日立の海♪」

釣り仲間2人が
午前2時、突然、後ろに、ヘッドランプを付けた影法師が2人。
「釣れてますか?」
その声はISだ。その隣りにSIも。
久し振りの再会だが、全くそんな気がしなかった。

彼等は、ルアーでのメバル釣り。
30分ほどして帰って行った。
まるでカラスの行水だ。
「もっと真面目にやれ。それでは浮世の垢にまみれた精神は、きれいに浄化されないぞ!」
と帰る後ろ姿に言ってやったが、聞こえたか?。

夜空を見上げると。
砕けたガラスのような星屑が、雲間に無数に輝いていた。
でも次々と煙りのように湧いてくる雲に、あっと言う間にかき消され。
いつか夜空は、また厚薄の斑模様の雲に全て覆われてしまった。

正体不明との戦い
電気浮子の灯りが、時々黒い海面に消へ、すぐまた浮かんで来る。
餌取りが餌にじゃれているのだろう。
そろそろ餌が無くなったのでは?。

午前3時10分。
餌を付け替えようと、竿を持ち上げると。
一瞬、大魔人の手で、グイッと竿を引き戻されたような怪力を感じた。
「なんダーーーーッ!?」
心臓が、ドドドドドーーーと轟音を上げ。
ムラソイ見参?と期待が。
ハリスを2号にしていて良かったと思いつつ、テキの抵抗に耐えながら竿をジワジワと起こし。
リールを1巻き、2巻き・・・。

テキが逃げる。逃げる。
竿が弓の如くそり、道糸が蒼暗の闇に線を引き、海面をナイフで切るが如く沖に向かって走って行く。
それを強引に引き戻し、またリールを巻く。
テキが海面にバシャバシャバシャと跳躍した。

何度も竿をなぎ倒されながら。
なんとかテキを岸辺に寄せ、
「どうだまいったか」
とヘッドランプでその姿を照らすと。
「ウオーッ・・・・!」
岸辺に横たわっているのは、38cmもある黒鯛だった。
針が掛かった場所は、上唇にチョコンと掛かっていただけ。
危機一髪、冷汗三斗。

納竿
すぐに餌を付け替へ、仕掛を投入して5〜6分。
竿先を動かして誘いをかけると、ガツン!。
また怪力の手応え。
リールを巻く、テキ右へ走る、瞬間、フッと重量感が消えてしまった。
バラシだ。
これが最後だった。
この後、アタリがなくなり、コマセも無くなったので、午前3時40分、納竿。

午前5時、家で缶ビールを飲んでいると。
カミさんが冷蔵庫に収めた黒鯛を見て。
「この間よりも大きいのかな〜?」
この間釣った黒鯛より、8cmも大きいんだぞ!と言ってやったけど、
「そうなの」
と顔に微かに風を受けたような表情をしただけ。
うちのカミさんは、人一倍、熱しやすく、冷めやすい。
だから時々、ノビタと波長が合わなくなる。
その都度、ノビタは胸の中に木枯らしが吹き、人間は処せん孤独である事を思い知らされる。

本日の釣果
  黒鯛  38cm 1匹
  小メバル   15〜18cm 5匹

























The End。
SEO [PR] @[r AEx@o^C ^T[o[ SEO