2004年9月30日(木)湊寄りの堤防
            午後6時〜午後7時半
 

          夢のようなほぼ尺!



不気味な堤防                        ほぼ尺のメバル
「この道や 行く人なしに 秋の暮れ」
                    (芭蕉)
堤防に人影なく。
堤防には、荒寥とした寂寥の世界が広がっていた。
急速に黄昏が濃くなり、すでに堤防の先は晦冥の闇である。

東天の裾に、黒い雲が帯状に伸び。
その縁が黄金色に輝き、漏れる月光が、天に向かって光彩を放っている。
まるで燦然と輝く黄金の山が、雲の影に隠れているかのように。
マルコポーロも、東方の雲間からこぼれる月の光りを見て、”ジパング”を、黄金の島と錯覚したのか。

西風がビュービューと吹き、ノビタは風に吹かれるボロ切れのように、竿にしがみついていた。
港内の四方から投射される光線が、黒い海上をギラギラと滑リ。
湾内に沸き立つ三角波を、まるで幾千万匹ものヘビが、ウニョウニョと蠢いているように演出していた。

食い気充分なり
釣りを開始したのは午後6時。
仕掛は、市販の船釣り用胴突ハリス2号30cm付きメバル10号3本針、全長2.4メートル。
浮子から仕掛最下段の錘まで、3.5メールにセッテイング。
餌は青イソメ。

2点灯式の赤い電気浮子は、波になぐられ、張り倒され、蹴飛ばされ、七転八倒していた。
釣りを開始して1分ほど待ったか、待たなかったか。
ズボッ!と浮子が海中に没する。
初の1匹は、20cmほどのメバル。
すっかり針を呑まれていた。

目ん玉を浮子に集中し、僅かな異変も見落とさないよう見つめていたが。
波に振り回される浮子のアタリを見分けるのは難しい。
アタリが分からず、釣れたメバルは、全て針を呑まれていた。
午後7時20分頃までに、18〜22cmのメバルを7匹ゲット、バラシが4回。
切れ目なくアタリが続いていた。

そしてとうとう
風雲急を告げる。
東天の下で横になっていた雲が、しだいに勢力を広げ、何時か空は雲に覆われ。
月も星も、すべて夜空から消えた。
風、ますます強くなり。
里心が大きくなってきた、その時。

2点灯式の、下段の赤い灯りが波間に沈み、そして浮かんだ。
それを2〜3度繰り返す。
「なんだ・・・・・・?」
そして。
浮子全体が静かに沈んだ。アタリだ!。
浮子の赤い灯りが、真っ黒い海にユラユラと溶けて行く。そして消えた。
リールを巻きピシッ!と合わせた。
動かない、と思ったら鈍い動きが・・・。
そしてゴーーッ!とうなり声を上げて海底に潜った。
「始メハ処女ノ如く、後ニハ脱兎ノ如ク」
                   (孫子)

大きい!。
原始の感覚が、よみがえるような興奮が。
テキ艦は、威風堂々と海中を移動して行く。
ギリギリとリールを巻、ジワジワと岸に引き寄せ。
浮上させようとした途端、テキが反撃に。
磯2号5.3メートルの竿が、一撃、ニ撃、三撃と痛打を浴び、大きく湾曲する。

しばらくその抵抗に耐え。
グイーーンと抜き上げる、重〜い!。
竿が折れるほどの重量感が。
地面に上がったのは、コンビニのビニール袋。
「ウソダロ?」
キツネに馬鹿された思いで、ビニール袋を退けると。
その下から尺メバルが・・・、苦しそうにドタドタと跳ねた。
一番上の針に掛かっていた。浮子下約1.5メートルの所だ。

尺メバル1匹値千金!。
なんと言う僥倖!。しばし呆然となる。
まさに苦節3年と6ケ月の戦い。その答えが今出たのだ。
正しくは尺に1cm足りなかったけど・・・・。

美味かった
尺に近いメバルを釣り上げたのは、午後7時半。
今日はもうこれで良い、と竿を納めた。
誰もいない暗い堤防だったが、まるで男の花道を行くように明るいではないか。

小笠原で。
アカハタを釣った。荒磯ハタも釣った。バラハタも釣った。ウメイロモドキも釣った。
それを全て食べた。
島民は、ヒラマサや、カンパチは、不味いので食べないと言う。
「アカハタを食べずして、ケッコウと言うなかれ」
それが小笠原で得た教訓だったが。

砂糖と醤油で煮込んだ尺に近いメバルの味は、小笠原で食べたハタ類の味を彷彿とさせ。
年代ものの熟成したワインのような、豊潤で高貴な芳香を漂わせる魚肉の味は、
「生きていて良かった」
を思わず叫びたいほどだった。
魚の半分を賞味しているカミサンも目を細めて、
「ウマイ、ウマイ」
を連発していた。

本日釣果
  メバル  18〜22cm 7匹、29cm 1匹
































The End。
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