２００６年４月６日（木）　三流の釣り場 　　　　　　　　　　　　　午後６時半〜午後８時半

やっとメバル２匹 はじめに 今日の日誌は随分と長くなってしまった。 長くなったのは、ノビタが読んだ本や、ＣＤで聞いた朗読で、良かったと思った物を紹介しているから。 読んで損をすることは書いていないつもり、ひょっとすると得をするかもしれないので、お付き合い願いたく。 男の教養講座 今さらだけど、”男をみがく”足しにしたいと、池波正太郎の��ぢ男の作法��ぢ（新潮社の文庫本）を読んでみた。 これは、池波正太郎が世事万端の事柄について、エッセイ風に彼の一家言が書かれている。 読んで得する話しの集大成と言っても過言ではないかもしれない。 特に２０代〜３０代の若い人は読んで、”男をみがく”足しにしてはどうだろう。 本の中に書かれている事を抜粋してみた。 ＜鮨＞ �"お刺し身を食べるときに、たいていの人はわさびを取ってお醤油で溶いちゃうだろう。 あれはつまらないよ。刺し身の上にわさびをちょっと乗せて、それにお醤油をちょっとつけて食べればいいんだ。 そうしないとわさびの香りが抜けちゃう。醤油も濁って新鮮でなくなるしね���錫鮠 ����錫鮠 ����寿司屋で、客が通ぶって��ぢシャリ（飯）��ぢとか��ぢガリ（生姜）��ぢとか��ぢムラサキ（醤油）��ぢとか��ぢアガリ（お茶）��ぢと言うが、これは鮨屋仲間の隠語なので客が使う言葉ではない。 客は普通に��ぢお茶を下さい��ぢと言えば良い。寿司屋だけでなく万事”知ったかぶり”が多い。 ＜そば＞ �"そばのつゆにしても、ちょっと先だけつけてスーッとやるのが本当だと言うけど、・・・・・・・・・・つゆが薄い場合はどっぷりつけていいんだよ。 ・・・だいたい唐辛子をおつゆの中に入れちゃう。あれはおかしい。 唐辛子はそばそのものの上に、食べる前に少しずつ振っておく。そうすれば唐辛子の香りが残ることになる���錫鮠 ����錫鮠 ����鹿齡鳫鈑昭�闔�惹闔�竢跫鮟■鍵旭篤�皷�就刈昭齡鳫鈑�ぢ＜ビール＞ �"ビールというのはね、・・・・・・・まだコップに残っているうちに注ぎ足すのは、愚の骨頂で、一番ビールをまずくする飲み方なんだよ。 ・・・・・・・・コップになみなみ注がないで、三分の一ぐらい注いで、それを飲みほしては入れ、飲みほしては入れして飲むのがビールの本当のうまい飲み方なんですよ���錫鮠 ����錫鮠 ����鹿齡鳫鈑昭�闔�惹闔�竢跫鮟■鍵旭篤�皷�就刈昭齡鳫鈑�ぢ＜女の見分け方＞ �"・・・・・たとえば、本屋なんか行って、店頭で本を見ている女を見ればね、どの程度の女かわかっちゃうもんだよ。男もそだけどね。 こうやって、紙が破れるようなページのめくりかたをしている女がいる。こういうのを女房にもらったら絶対、男の運が落ちちゃう。いや、こういうのは男でもいるよ。 ・・・・戦前の小津安二郎の映画なんか観てごらんなさい。自分の親に対してのことば遣い、きれいですよ本当に。 『お母さま、もっと早く帰ろうと思ったんですけど、お食事に誘われましたので・・・遅くなって申しわけございません』 こうだからね。いまはどこの娘でもそんなこと言いやしないやね。 ・・・・・・・・・・・地下鉄に乗ってると、中学生の女の子がいっぱい入って来るんだよ。 聞いていると、 『おい、朝めし食ったか』 『食った』 なんてやってるんだから、当然、女は乱暴になるよね。 『ばばあ、何を食わした』 なんて言ってるんだよ。ばばあというのはおっかさんのことなんだ。 ・・・・・親に対してもそうなんだからね、結婚した日にはもう・・・考えただけでぼくなんか恐ろしくなるねえ���錫鮠 ����錫鮠 ����鹿齡鳫鈑昭�闔�惹闔�竢跫鮟■鍵旭篤�皷�就刈昭齡鳫鈑�ぢ＜結婚＞ 池波正太郎が、九州での講演旅行に飛行機に乗った時の話し。 ちょうど結婚式のシーズンだったので、周囲はみんな新婚だったようだ。 飛行機が飛び立つと同時に、チュッチュッ、チュッチュッというキッスの音が充満し。 ひどいのになると、女のおっぱいを出してさわっている奴もいたらしい。 �"・・・・・『行きはチューチュー、帰りはグーグー』これが新婚旅行なんだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ とにかく��ぢ結婚式��ぢが最大の人生目標なんだね。 新婚旅行から帰るまでがすべてなんだ。 それから後はもう、家のローンも払わなきゃならない、子どもを生まなきゃならない、楽しむこともお互いそんなに出来ない、何年たてば係長になって、何歳でうまく行ったら部長になって、こうこう・・・・と、もうわかっちゃってる感じで、結婚式と新婚旅行だけがもう最大に楽しむものというか何というか、そこで人生のハイライトはおしまいになる。 これではまさに、��ぢ結婚式は人生の墓場・・・・・��ぢということになっちゃう。 ・・・・・ 昔は結婚したときから本当の人生が始まったのだが、今は結婚が出発点じゃなくて終着駅なんだ���錫鮠 ����錫鮠 ����鹿齡鳫鈑昭�闔�惹闔�竢跫鮟■鍵旭篤�皷�就刈昭齡鳫鈑�ぢ＜池波正太郎の哲学より＞ 終わりの解説より引用。 �"人間とか人生とかの味わいというものは、理屈では決められない中間色にあるんだ。つまり白と黒の間の取りなしに。その最も肝心な部分をそっくり捨てちゃって、白か黒かだけですべてを決めてしまう時代だからね、いまは��ぢ（池波正太郎） この言葉は、彼の時代小説に何度も使われているらしい。人間というのは、善いことをしながら、悪事をなし、悪いことをしながら善事をなす、不思議な生き物だという認識が生まれてくる。 �"立ち入り禁止��ぢ区域だから釣りをするな、小さい魚はリリースしろと、テレビでも時々そのようなことを説いているが。��ぢ杓子定規のことをやるならロボットにやらしておけ��ぢと言ったのは田辺聖子。ノビタも、なんでも白と黒だけで物事を判断する風潮は、底の浅い人間の考えと思っている。 ＜終わりに＞ �"男の作法��ぢのほんの一部を紹介したが、上記の他に”男の身だしなみ”、”浮気”、”慰謝料”、”年賀状”、”人事”、”組織”、”男の顔”、”勝負”・・・・・など４６項目について、その判断の指針なることがエッセイ風に、読みやすく、おもしろく書かれている。 もっと若いころに読んだら、ノビタももう少しましな人生がおくれたかもと残念に思った。 ４月６日釣り日誌 釣りを開始したのは、闇が大分濃くなってきた午後６時半。 曇りガラスを通して見るような天上に。 三日月が白くボーッと浮かび。霞の向こうに星も幾つか瞬いていた。 波のチャポチャポと囁く音だけが、音の全てだった。 港は、まさに深山にある湖畔のような静謐の中にあった。 〔１〕森鴎外の「高瀬舟」 最近、購入したｉＰｏｄを取り出しイヤホーンを耳にあてて、江守徹が朗読する森鴎外の��ぢ高瀬舟��ぢを。 電気浮子を見ながら聞いていた。 今日、ＣＤを図書館から借りてきて、予めｉＰｏｄにダウンロードしていたものだ。 この話しは、大概の人が知っている名作である。 今夜のような、満目蕭条の海で聞く話しとしては出来過ぎだ。 まだ読んでいない人に、その概要を紹介したい。 この話しは江戸時代、京都で遠島を申しつけられた”きすけ”という罪人を、”しょうべい”という同心が小船に乗せて高瀬川を下り大阪まで運ぶ途中、”きすけ”から聞いた話しに同心が感動し、心が揺れ動く話しである。 この小説は、２つのテーマにつき語られている。 ＜一つ目は��ぢ足りる��ぢ＞ 遠島を申しつけられた罪人のほとんどは、悲嘆にくれながら舟に乗るのだが、月を見上げている”きすけ”のひたいは晴れやかで、その眼には輝きさえあった。 同心は不思議に思い、その訳をたずねると。 牢に入る前は働いても働いても、明日食べる物の心配をしていたが、牢に入ってからは食べる心配はいらなくなり。 遠島を申しつけられると、奉行所から２００文の長目を頂いた。 生まれてから２００文なんて大金を見たこともない、これ以上の幸せがありましょうか。 と言う”きすけ”を見て、同心は”きすけ”の頭から後光が射してているように見えた。 同心はその時、��ぢ足りる��ぢという人間の顔を見たのだ。 人は身に病があると、この病がなかったらと思い。 人はその日、その日の職が無いと、食っていけたらと思い。 人は蓄えがないと、蓄えがあったらと思い。 人は蓄えがあっても、もっとあったらと思い。 人はどこまで行ったら踏み止まれるのかわからないというのに、この”きすけ”は��ぢ足りる��ぢを知り、満足しているのだと同心は深く感動する。 ノビタも本を読んで、何度も感動したところだ。 同心と同じように、”きすけ”にはなれない自分の不甲斐なさと、なれたらな〜という憧憬の気持ちからである。 　　　　　　　　　　　　　　　しょうよくちそく これは４字熟語の��ぢ少欲知足��ぢの教えを、小説にしたものかもしれない。 少欲知足＝��ぢ欲少なくして、足るを知る���錫鮠 ����錫鮠 ����鹿齡鳫鈑昭�闔�惹闔�竢跫鮟■旭鍵旭�皷�就刈昭齡鳫鈑�ぢ＜２つ目は��ぢ尊厳死��ぢ＞ 最近も、富山県射水市の射水市民病院で患者７人の人工呼吸器が外され、死亡したとされる問題が起ったが・・・・。 同心が、何故”きすけ”は弟を殺したのかと聞くと。 ”きすけ”と弟は幼いころ両親をなくし身寄りもない境遇のなか、お互い助けあって生きてきた。 ところが弟が病に倒れ寝たきりとなり、２人で働きやっと食べてきたのが、病人の薬代まで”きすけ”が一人で稼がなくてはいけなくなり、”きすけ”の苦労は倍加する。 それを見ていた弟が、兄にこれ以上負担をかけたくないと、”きすけ”が働きに行っている間に剃刀で首を切るが。 剃刀の刃が、首に刺さったまま抜けなくなり死にきれないでいた。 仕事を終えて帰ってきた”きすけ”に、弟は苦しいから剃刀を抜いて楽にしてくれと頼む。苦しむ弟を見ていられず”きすけ”は剃刀を抜いてやる。 そこに丁度、弟の面倒を頼んでいた近所のおばさんが家に入って来て、そのまま外に飛び出して行った。 同心は、これが果たして弟殺しというものだろうか、人殺しというものだろうか、と考えるのだが自分では判断できず、上の判断に従うしかないと思うのだが、いつまでもふに落ちなかった。 　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉＰｏｄ 〔２〕笑い話しを聞きながら ｉＰｏｄから、青木雨彦のエッセイ「しゃれた関係」を朗読する江守徹の声が流れてきた。 「・・・・・クラシックな笑話ですが。・・・店の扉を開けてアヒルを連れた女が入ってきた。 するとカウンターでウイスキーを飲んでいた男が、『オイ、店にブタを連れてくんなよ！』とどなった。 女は豆鉄砲を喰らった鳩のように目を丸くして『これはアヒルですけど・・・』。 男は『俺はアヒルに言ってんだよ』と女を憐れむように言った。・・・・・・」。 青木雨彦のエッセイが終わると、５代目柳家小さんの落語「棒だら」が始まった。 薄暗い港で堤防に腰を下ろし。 釣り糸を垂れながら一人で笑っている人間がいる。 それを見た他人は何と思うのであろう・・・時々そっと周囲を見渡す。 黒い海面に浮かんだ赤い電気浮子が、たまに沈むこともあるがすぐ元に戻ってしまう。 午後７時半ころ、やっと電気浮子が海面からしっかり消えてくれた。 小ぶりなメバルを１匹。 その後も、時々アタリはあるが針掛かりせず。 何とか午後８時過ぎに、もう１匹。 午後８時半、納竿。 本日釣果 メバル　１６〜１７cm　　２匹 　　　　　　　　　　　　 　　　本日釣果 Ｔｈｅ　ＥＮＤ

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