狙い外れてアジ5匹 鉛色の空の下で 潮の動き、天候もだが、この季節は寒さが一番の敵だ。 いつも朝駆けしようと思っているけど、フトンから抜け出せないでいる。 グズグズしていると、 「タナゴを釣ってきてよ!」 と、カミさんからハッパをかけられた。 先日、ノビタがタナゴを釣った時、カミさんがスリミにしてくれた。 それを、味噌汁や、おでんに入れたところ、その美味さに家族全員がハマったのである。 始めの1匹 日が翳るとまだ昼だというのに、黄昏のように暗くなった。 冷たい風が、南から吹いていた。 10人ほどいた先客が、一人、また一人と竿を納めて帰って行く。 釣りを開始したのは、午後2時半。 30分ほど過ぎた時、水面に漂っていた浮子が海中にズブッ!と沈んだ。 ーキタ〜〜〜。 初めの1匹は、18センチのアジだった。 酔ったおっさん 「ナニを狙ってんですか?」 と顔を赤くしたおっさんが、ボーフラのように揺れながら近ずいて来た。 話しを聞くと、昨夜、宇都宮から仲間と釣りに来てズーーッとやっているらしい。 30センチほどのカレイ1匹と、アジを20匹ほどと、アナゴを3本釣ったようだ。 内側から暖を取ろうと、アルコールをひっかけたと言う。 アルコールが入っているので、やけに元気が良い。 「年は俺より5つ上だけど、社長なんて恐くない。止めろと言われても、ヘッ!。俺は先代の社長から仲良しなんだ、馬鹿にすんなっての」 そして今度は、 「最近の若い奴は馬鹿だらけ。昔はみんな頭が良くて物覚えが良かったのに。この頃の若い奴の物覚えの悪いったらないね。毎日、怒鳴りぱっなしだよ」と笑っている。 ナンカ嬉しそうだ。 17〜18センチ 「ナニ狙ってんだ?」 さっきの酔っ払いがいなくなったと思ったら、またさっきと同じくらいの年のおっさんが近ずいて来た。 やけに薄汚い、まるでドブねずみのようなおっさんだ。 顔中、雑草のように不精髭がはびこり、ジャンパーも、ズボンも真っ黒に汚れている。 アジが2匹釣れたと答えると、ギョロリとこちらを睨んで、デッカイのか?と聞く。 小さいと答えると、まるで興味を失ったような顔をして去って行った。 ナンカ侮辱されたような、後味の悪い思い。 孤独な釣り人 午後4時、空からポツポツと雨が落ちてきたので、納竿。 誰もいない堤防を帰って来た。 港は急速に、闇に溶けていく。 途中、雨の中で竿を1本持ち、クラーボックスに腰をかけ、じっと海を見ているおっさんがいた。 雨カッパも着ていない。 まるで、”氷雨に打たれて、このまま死んでしまいたい”ような光景だった。 彼の後ろを、黙って通り過ぎる。 雨は、パチパチと音を立てて降ってきた。 本日釣果 アジ 17〜18センチ 5匹 本日の釣果 The END |