2007年5月29日(火) 久慈川河口の石持釣り
             午後6時50分〜午後23時20分
ノビタの釣り天国


     やっと釣れた日
   
                          
               雲の裏に
憂鬱な天気
空一面が灰色の雲に覆われていた。
風に吹かれて、庭に咲く白やピンクの小さい花が、寄り添いながら揺れている。
ー海は風がもっと強いかも?

夏が行きつ戻りつしていた、今日は夏の陽気から一転してうそ寒い日だった。
戦意がどんどん消えていく。
ー止めようか?

でも明日は雨の予報、今日より条件が悪い。
行くなら今日しかない。
今夜の潮は変化が小さく、あまり良い条件ではない。
行くだけ無駄かもしれない。
ーやっぱり止めようか?

競馬界の馬の話しだが。
頭の良過ぎる馬は駄目だと言われる、必死にならないから。
戦況を勝手に自分で判断し、今日はどう頑張ったって無理だと感じると、レースを途中で投げてしまうらしい。
ー馬のように勝負を投げ、笑われても良いのか?
ノビタは、まだグズるノミの心臓を張り倒し、外に飛び出したのである。

「釣れないよ!」
水門から先のテトラ地帯は昼間の人気ポイント、でも夕闇が這うこの時間は人影がない。
テトラ地帯を抜け、真っ直ぐ沖に伸びる堤防側に曲がった。
と・・・。
街灯に照らされ黄色く染まった人、人、人・・・・・・の列が目に飛び込んできた。
そこは蟻の這い出る隙間も無いほどの混雑だった。
なんとか一人分のスペースを発見し、荷物をロシュナンテから下ろそうとしていると。

隣りで釣りをしていたおっさんが近ずいて来て、
「釣れないから、やるだけ無駄だよ。俺だけじゃ無いこの辺誰も釣っていないよ」
と声をかけられた。
それはアドバイスなのだろうか、釣るスペースが狭くなるための牽制なのだろうか。
”汝、隣人を愛せよ!”(キリスト)
むやみに人を疑うなかれだ、善意に解し、暗くなるのでこれから釣れるでしょうと応えて仲間に入れてもらった。

準備をしていると、アドバイスしてくれた隣りの人が、
「釣れた!」
と大声を上げた。
見ると、20センチほどの石持を竿にぶら下げ、仲間に見せていた。
ーな〜んだ、釣れるじゃないか。
と準備を急いだ。

沈黙の海
午後6時50分。釣り開始。
夕闇が、どんどん夜の暗さに変化して行った。
冷たい風が東から吹いてくる、寒さが身に沁みた。
海は、ゆるくふくらみ河口で白波を起てていたが、いつか穏やかになり白波も消えた。

10分、20分、30分・・・・・・1時間経過、竿が鋼鉄のようにピクリとも振れない。
仕掛けを回収すると、餌はなく針だけになっていた。
仕掛けを投げる度にフグに餌を取られ、”オール・アウト”。
ひたすら消耗戦である。
隣りの人も、石持を1匹釣った後は、フグを2匹釣っただけだ。
ーあの1匹は、奇跡だったのだろうか?
と思えるほど反応がない。

・・・と。
「今晩は!」
と声をかけられた。
見ると先日、32センチの石持を釣った滑川在住の若い釣り師だった。
聞くと6匹釣ったという、それは凄いと応えたら、朝の2時から今まで(午後8時半)やった結果だという。
恐れ入りやの鬼子母神、その根気に脱帽。
まるで、かくべーさんの後を追っているような人である。
疲れた風も見せず、帰って行った。

そして
”時の流れに身をまかせ”。
2時間、3時間・・・・・・、竿先の鈴は沈黙したままだ。
一人去り、二人去り、三人去り・・・いつか堤防に残っているのは、10人ほどとなった。
風も弱まり、寒さも緩くなって来たのだが。
堤防には、陰々とした静けさが漂ってきた。
雲の裏にある月が、雲をそこだけ白く浮き立たせている。
百年河清、これ以上の戦いは意味がないのか。

午後10時半過ぎ。
「およばぬことと あきらめました
 だけど恋しい 石持よ
 ままになるなら いま一度
 ひと目だけでも 逢いたいの♪」(『雨に咲く花』関種子)
と忍耐の許容量が、そろそろ限界に近ずいて来た時だった。

突然、
「リリン、リリン、リリン・・・♪」
と鈴が周囲の静けさを破った。
竿が頭を上下に振っている。
瞬間、心臓が大きくバウンドした。。
竿を掴み仰け反った。
ドーン!と確かな手応え。
やっと報われたのだ。
はじめの1匹は22センチだった。
破顔一笑の1匹である。

納竿
好機到来と、大急ぎで餌を付け替え仕掛けを海に戻すと。
その直後に、またリリーン、リリーン♪と鈴が景気よく鳴ったけど一度鳴っただけ、針掛かりしなかった。
胴突き仕掛けは天秤式より掛かりが悪い、海が凪ている時は天秤式が良いのだが、今さらと思い仕掛けの交換はしなかった。
午後10時40分、初めと同サイズを追釣。
このあと石持の気配が、海から忽然と消えてしまう。
待った割りには、石持を釣る悦楽はほんの一瞬だった。
今夜も不完全燃焼のまま午後11時20分、納竿。

「たわむれに 釣果背負いて
  そのあまりの軽さに 三歩歩まず」
         (石川啄木の替え歌)
本日釣果
  石持  22センチ  2匹

            
    本日の釣果















The END
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