2007年6月23日(土) 湊寄りの堤防
            午後6時〜午後9時
ノビタの釣り天国


        狙いは逸れたけど♪
   
                          
              この直後に!
出撃!
ミーがピアノの椅子に座って、気の抜けたコーラのようにボーッとしている。
さきほどまで、汗を吹き吹き洗濯物にアイロンをかけていたが、疲れたのか。
その前で出かける準備をしていると、
「どこに行くんだい!」
と突っ込まれた。
ードキリ!
文字で表すと男のようだが、ミーは、れっきとした女である、セニョリータである。
この辺が悩みの種なのだが・・・。

「釣りだよ」
「やめとき、どうせ釣れないんだから」
とカミさんと同じような口をきく。
「海が俺を呼んでるんだ」
と応えると。
「うそこけ!」
と一蹴された。
ア〜ァ、凡人の哀しさよ。
この天の声が、おぬしには聞こえぬのか?

ー聞けや人々
 ・・・・・・
 空にさえずる鳥の声
 峰より落つる滝の音
 大波小波とうとうと
 響き絶えせぬ海の音ー
     (『美しき天然』作詞 武島羽衣より)

空に薄雲が伸びて陽が陰ると、暑熱が少し納まったように感じる。
ーよし行くぞ!
と家を飛び出した。
今日の狙いはアジだ。
・・・と確かに初めの狙いはアジだった。
                                                   
仕掛
悔しい1匹
午後6時、釣り開始。
堤防には10人ほどの釣り侍が点在していた。
強烈な陽射しは、空に広がった白い雲に遮られ弱まっていたが。
脂っこい南風が体にまとわりつき、汗がジットリと滲み出てくる。
竿は1本だけ出し様子を見ることにした。

右図のサビキ仕掛けに沖アミを付け、その上にコマセ籠を付けた浮子釣り。
ノビタは、馬鹿の一つ覚えで陸からのサビキ釣りはこれしか使わない。
仕掛けを投入して待った。
10分、20分、30分・・・、浮子は波間にプカプカ浮いているだけ。
堤防下も狙ってみようと、もう1本竿を出し。
上記と同じ仕掛けを、浮子を付けず錘が海底から30センチほど上にくるようにして足元に垂らしておいた。
これが今夜の当たり竿になる。

    
波間に漂っていた浮子が
「アタリだ!」
と隣りで釣りをしていた人が、ノビタの竿を指差している。
見ると、海上に浮子が無い。
ー今年初のアジか?
と一瞬、心臓が跳ねたのだが・・・。
リールを巻き竿を振り上げる。
と・・・。
ー動かない!
そのまま竿を引っ張ると、ドドドッ、ドドドッ、ドドドッ・・・と、野獣の心臓音のような信号が手元に届いた。
獲物は根に潜ったのだ。
何度も穴から引き出そうとしたが、結局、仕掛けが切れて、チロリーン!。
ーあれは大物だった。
としばらくクヨクヨ。
                                    
   18〜19センチ
入れ食い
午後7時10分。
堤防がやっと夜の闇に溶けて来た時だった。
堤防下狙いの竿の鈴が、
「チリチリチリ・・・・・(緊急事態発生!)」
と竿先を上下させながら叫んでいる。
ー待ち人来たり!
と竿に飛びつき、リールを問答無用とばかりにガンガン巻いた。
堤防上に転がったのは、予想外の18〜19センチのメバルちゃん。

アジにこだわるほど強固な意志は持っていないので。
いつもの何でもホイホイで、メバルちゃんを歓迎。
すぐ餌を付け替え、仕掛けをドボーン!と海に戻す。
と同時に、竿先がお辞儀を繰り返し鈴がリンリン泣き叫ぶ。
しばらく入れ食が続き。
この間に、同サイズのメバルを6匹ゲットする。

今夜は最高♪
入れ食いは僅か15分。
この後、ピタリと鈴が泣き止んだ。
と・・・。
それまで気ずかなかった音楽が、隣りの釣り人のラジオから流れてきて耳の穴を占有した。
ラジオは今、茨城放送のデスク・ジョッキーの案内で、1969年度のヒット曲を流していた。
この年はアポロ11号が、月面着陸した年である。
「時には母の無い子のように」、「フィーリング」、「四つのお願い」、「長崎は今日も雨だった」エトセトラ・・・。
が切れ目なく流れてくる。
まるで、1969年にタイムスリップしたかのようなムードが堤防に満ち満ちていた。

午後7時40分。
初めの場所にアタリがなくなったので、そこから20メートルほど離れた所に移動してみた。
これが良かった。
ポツリ、ポツリとサイズは先ほどと同じだが、メバルが切れ目なく釣れ続き。
音楽に醸しだされたノスタルジックなムードが体に染み透り、まさに雲の上を浮遊している気分だった。

ピーター,ポール&マリーが歌う『500マイル』が流れてきた。
ノビタの好きな歌だ。
この歌は、浅田次郎の名作『天国までの100マイル』に、効果的に引用されている。

 if you miss the train I’m on
 You will know that I am gone
 You can hear the whistle
 blow
 A hundred mile
 A hundred mile,A hundred mile
 A hundred mile,A hundred mile
 ・・・・・・・・・
 もしもあなたが汽車に乗り遅れたら
 私は行ってしまったと思って
 汽笛が聞こえるでしょう
 百マイルの彼方から
 百マイル 百マイル
 百マイル 百マイル
 ・・・・・・・・・
      (『天国までの100マイル』から引用)
この歌を聞きながらメバルを釣るなんて、もう気分は最高。

納竿
午後9時、コマセも沖アミもなくなり、アタリも遠くなったところで納竿。
声を出さずに、
ーエイ、エイ、オー
 エイ、エイ、オー
 エイ、エイ、オー
と勝ち鬨の声を上げ釣り場を後にした。
尺メバルと対決する日も、決して遠くないのかも・・・。

群青の夜空に白い半月が輝き、その周囲にいくつかの星が瞬いている。
月の光に薄められた闇に、ぼんやりと道があった。
風も無く、静かな波の反復が港の静寂を深くしていた。

「今日いちにちの
     おだやかに落ちる日」
         (山頭火)
本日釣果
  メバル  18〜19センチ  15匹























The END
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