2007年8月14日(火) 湊寄りの堤防
               午後5時〜午後9時
ノビタの釣り天国



    尺メバルはいなかったけど・・・
   

                          
           ムシムシする暑さ
Oの誘いは断れない
ー暑い!
まだ外は西日が猛り、全てを干物にする勢い。
釣りに行くなんて気違い沙汰である。
でも、
「尺メバルを釣りに行こう!」
とノビタを誘った奴がいる、Oだ。
あてはなかったが、やつの誘いは断れない。

ノビタとOの関係は師弟の関係だが、この弟、師をないがしろにし勝手にノビタを好敵手、ライバルと思っている。
誘いを断ると逃げたと笑う、だから断れない。
ステテコにランニングシャツ1枚の涼しげなモードから、釣り行きモードに変えた途端にドッと汗が噴出し、思わず気力がタジタジ。
ーでも行くしかない。
と気力をムチうち、出かけようとすると。

恐妻のぼやき
畳みの上にブタのように転がり、汗を流しハアハア息をしていた生き物が叫んだ。
「ごくろうさん、死なずに帰還するんだよ」
それだけではすまない。
「魚を釣ってくるのはユー(あなた)の勝手でしょうが、誰も喜びませんからね。
みんな夏バテで食欲不振、もう魚にはうんざり。
ご近所でも魚は迷惑なんですよ!。
ドウー・ユー・アンダスターンド?」

さらに言う。
「松阪牛とは言いませんが、たまには肉を釣ってきたらどうですか?。
釣りの餌代を考えたら決して無理な注文とは思いませんけど」
そして、
「当然ですが、遅くなったら(帰宅が)面倒みませんよ。
でもミー(わたし)がいないと思って(先に寝ている)、洋酒天国バンザ〜イ!なんて、馬鹿みたいなことやってんじゃないですからね。
酒を飲んで命を縮めるのはユーの勝手でしょうけれど、瀕死の状態で生き続けられ面倒みさせられるのはミーですからね。
でもミーはユーのように丈夫な体でありませんから、ユーより先に逝くでしょう、決してあてにしないで下さい。
ドウー・ユー・アンダスターンド?」
と”ドウー・ユー・アンダスターンド?”が際限なく続く雰囲気。
このボヤキに耐えるより、灼熱地獄の方がましと家を飛び出した。

「女性は自己反省型ではなく他罰的である」
       (『老人よ、花と散れ』より by 三浦朱門)

死んだはずのMYさん
青々とした空に、白い綿雲が数朶浮かんでいる。
雑木林から降ってくるせみしぐれの騒音が道に溢れていた。
西陽を受け、木々や電柱の黒い影が道に長々と伸び。
白い陽光がギラギラ照りつけ、陽炎が揺れる路上。
暑さが極まる時間帯だ。
でも、風を切って走るロシュナンテの背上は心地よいほどだった。

駐車場に着くと、MYさんと彼の息子小学生2人に遭遇、一緒に釣り場に向かった。
彼とは、彼が4年前に病院で肺癌と診断されたと聞いていらい会っていず、死んだと思っていたのだが。
先日、偶然にも日立FCSで再会したのである。
彼の話しでは、診断のあと癌の摘出手術をし、どうやら賽の河原でUターン、無事生還したらしい。

そんなまだ病み上がりの彼が、流汗淋漓(りゅうかんりんり)の暑さをものともせず、釣りにくる執念とは?。
おそらく子供にせがまれ、病み上がりの体にムチを打ったのであろう。
死の淵を覗いてきた彼の思いは、彼にしか分からない。

 「他人に好かれて  いい子になって
 落ちて行くときゃ  独りじゃないか
 おれの墓場は  おいらがさがす
 そうだその気で  ゆこうじゃないか」
     (『出世街道』作詞 星野哲郎)

悲しき片想い
途中、MYさん親子と別れ、さらに先に行く。
遠くに、竿を上下に降っている釣り人が見えた。
ーOだ。
堤防際にいる魚を攻めている。
振り子の永久運動のように、竿を上下に振り続けていた。
身のほど知らずにも、カンパチを狙っているのだろう。

近づき様子を聞くと、
ーいるいる(カンパチが)、でも駄目だ(釣れない)。
と、それでも空中に汗を散布しながら、夢中になって竿を振っている。
Oには届かぬ高嶺の花、しょせん『悲しき片想い』(by ヘレン・シャピロ)なのに・・・。

午後5時。
明るいうちは釣りにならないと思いつつ竿を出した。
今日の仕掛けは胴突き3本針、餌は青イソメ。
メバル1本勝負だ。
南風がパタパタ吹いている、なんとか炎熱地獄には耐えられそうだ。
クラーボックスから冷たいお茶の入ったペットボトルを出して飲んだ、途端に汗がドバッと噴出しおぞましさが全身を走った。
斜光が海面で砕け、浮子が光の渦に隠れて見えにくい。
この時間は射幸心だけの釣り、時の過ぎ去るのをひたすら待った。
Oはあきもせず、竿を振り続けている。

        
浮子の動きに・・・
夏は夜
午後6時20分。
波間を漂っていた浮子がヒョッコリもち上がり、左右にヨロけた。
直後に、ズボッ!と浮子が海中に没し。
そのまま浮子は浮かんで来ない。
道糸のたるみを取り、竿を振り上げる。
期待はズシーン!だったが、実際はグッ!の手応え。
リールを巻いてくる途中、ググ、ググ、ググと反撃があったが、さほどではない。
ー相手にとって不足あり。
堤防の上に転がったのは、やはり20センチと尺には遠い、でも本命のメバルなので良しとしよう。
このあと、海はまた沈黙。

いつか空に無数の星が。
午後7時過ぎ、やっと時合いがきた。
電気浮子の赤い灯りが、真っ黒い海にズボッ、ズボッ・・・と消える。
たまに本命のメバルが混じるが、釣れるのはアジばかり。
はるか遠く、地平線上に指の輪ほどの花火が上がった。

清少納言の『枕草子』をまねると、
「夏は夜。月のころはさらなり、やみもなほ、海に浮かぶ電気浮子の灯り。
また、ただ一つ二つなど、墨色の海を赤く染めて消えて行くもをかし。
夜空に無数に輝く星、地平線上に咲く花火もをかし。・・・」

納竿
午後8時以降は、プッツリとアタリが消えた。
風も止み、脂こい空気が体にまとわりつく。
この時間になると、一人、2人と、夜釣りを楽しむ人達が後を断たない。
家に帰るのも面倒になり、遠くに咲く花火をボーッと眺めていた。
午後9時納竿。

家に帰ると、恐妻は既に寝たあとだった。
冷蔵庫から500ミリリットルの発泡酒を出し、だれにも気がねなく一息に飲む。
たまらなく美味い。ああ。
テーブルの上には、ザルソバが茹でてあった。
それを食べながら、ウイスキーのロック割り。
たまらなく美味い。ああ。

 「わたしは今日まで生きてみました
  時にはだれかの力をかりて 
  時にはだれかにしがみついて

  わたしは今日まで生きてみました
  そして今 わたしは思っています
  明日からも
  こうして 生きて行くだろうと♪」
     (『今日までそして明日から』by 作詞・作曲:吉田拓郎)

本日釣果
メバル   18〜20センチ  3匹
アジ     20センチ前後  12匹
太刀魚   40センチ  1匹(Oから貰う)






















The END
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