2007年8月26日(日) 日立沖のスルメイカ釣り
               午後6時50分〜午後10時半
ノビタの釣り天国



    花に嵐の釣り、でも大漁♪
   

                          
            イカ釣りロボット3号
出航
午後4時半。
日立港第5埠頭に着き、停泊中の龍翔丸に乗船した。
西日の逆光を受け、黒い影だけのカモメが一羽、
「クェー(暑い!)」
と叫びながら、久慈川の方に飛んで行った。

多湿な空気のせいか、太陽がおぼろに霞んでいる。
パタパタと吹いてくる南風が、焦熱地獄から救ってくれた。
乗船する釣り侍は子供一人を含む12人と聞いていたが、まだ乗船している客はノビタも含めて5人。
今日はノビタの定席が空いていたので、迷うことなく右舷ミヨシ側、操舵室の前に陣取り早速イカ釣りの準備を。
錘負荷50〜100号、全長3メートルのインターラインの船竿に道糸を通し、船縁にはロッドキーパーを固定した。

東海村の佐藤さんが、
ーこれを写真に撮って本(記事)にしなよ。
と指差した。(東海村の佐藤さんは最近、ノビタのネタを探してくれる)
そこには直径40センチほどの赤い鉄製の円盤を3個組み合わせたマシーンが、デデーン!とこれ見よがしに置いてあった。
ミタ船長曰く、
「イカ釣りロボット3号機だ!」
と、さも自分が作ったように言うのだが、作成者はノビタの左側にいる釣り侍である。
どうやら1号機、2号機が失敗で、今日は3度目の正直の3号機の試運転らしい。
どうなることやらと思いつつ、写真をパチリ!

はじめ海は波があった
午後5時35分。
遅れてきた乗客が乗船したと同時に龍翔丸は、
「ドドドド・・・・・」
と周囲を圧する轟音を発しながら第五埠頭を離岸した。
ノビタはキャビン室の中で横になっていた。

海原は波打っていた。
その波を割りながら驀進する龍翔丸。
船は右に左に傾き、飛沫が窓を滝のように流れていた。
沖に向かって疾走すること1時間。
午後6時半、米国寄りの漁場に到着した。
キャビン室から外に出ると、ダップン、ダップンとみるからに腹具合が悪そうな海。
立っているのも辛そうな、今夜はちとしんどい釣りになるのでは・・・。

電動リール故障と始めの3杯
海にアンカーを浮かべて、
「プップー」
の汽笛を合図に釣りを開始したのは、午後6時50分。
うす闇が押し寄せてきて、すでに空も海も闇色に溶けていた。
ー一振り入魂!
と錘80号を付けた仕掛けを、ドボーン!と海に投入した。

水深メターが80メートルのところで仕掛けを停止させ、
ーブオン・ジョルノ(イタリア語で”こんにちは”)
と竿を一シャクリ。ー応答なし。
仕掛けを1メートル上昇させて、
ーコモ・エスタ?(スペイン語で”お元気ですか”)
と竿を一シャクリ。ー応答なし。

問答無用と仕掛けを2度ほど大きくシャクルと、仕掛けが水中で停止した。
直後にググーン、ググーン・・・と強い引きが竿を持つ手に。
ーキター!
竿をソーーッと持ち上げる、さらに強い引き。
竿が”へ”の字から”の”字に折り曲がり、漬物石を乗せたように重くなる。
ー今だ!
と電動リールのスイッチをオン!
ーオー・マイ・ガッ!。無いと思うな運と災難!

なんと電動リールが死んでいた。
竿先が水面に潜るほど折り曲がっている。
止む無し、とキーコ、キーコ泣くリールをなだめつつ手動でリールを巻いてきた。
やっとの思いで船上に引き上げた獲物は、”天もご照覧あれ!”の40センチ級スルメイカのトリプルだった。
思わずノビタの顔に、波のような笑いが。
それにしても”花に嵐、月にむら雲”、電動リールが故障とは。
でも”災い転じて幸いとなす”さ、と逆境にめげず気分を一転し臨んだのだが。
ーこれが良かった!

  
使用した仕掛
入れ食い
ー時合である、大潮である!
このあと最後まで、ほとんど入れ食い。
リールが手動式になったので、巻き上げる辛さを考え、水深40〜50メートルにポイントを絞った。
仕掛けが水深40〜50メートルまで落ちたところで、竿を大きく1振り、2振り、3振り。
ー・・・と。
竿を持つ手から一瞬、錘80号の重量感が消えて。
ピーンと張っていた道糸が弛む。

ーキター!
ソーッと竿先を持ち上げると。
ググッ、ググッ、ググッと竿先が引き込まれ、竿が大きい石をぶら下げたように重くなり。
この瞬間がたまらない。
何度味わってもたまらない、至福の時だ!
そしてまた、キーコ、キーコ、キーコ・・・と、リールを手で巻いてくる。
引き上げる時間は、2〜3分か。
船上に転がったのは、40センチ級のダブル。
ほとんどこの連続、ヒット・エンド・ランだった。

今夜、サバの伏兵に襲われたのは一度だけ。
サイズは35センチほど。
ーこんなものイラン!
と即リリース。
伏兵は、これだけだった。

にぎやかなイカ釣り
午後8時を過ぎると、海は湖のよに平らになる。
空に星なく、海も空も区別がつかない闇の世界。
龍翔丸の漁火が闇に放つ光線の中を、十数羽の白い鳥の群れが横切っていく。
漁火のライトに照らされたベビーブルーの海上を、1メートルほどのシーラが矢のように走る。
イカは間断なく釣れ続き、船上は湯気が立つような熱気に満ちていた。

                                      
 小学生頑張る!
ノビタの右隣りに、ミタ船長がサポートする小学4年生の男の子がいた。
船でのイカ釣りは初めてらしく、
「かかった、かかった。重い重い重いようーー」
とイカが針掛かりするたびに、爆発的喜びよう。
顔を真っ赤にし、目を輝かし、汗を撒き散らしながら、エンヤードット、エンヤードット♪と夢中になってリールを巻いていた。

左隣りにいる釣り侍が、イカ釣りロボット3号機の威力を試そうとしている。
自信がなかったのか、午後9時ころまでは竿釣りをしていたのだが、とうとうやる気になったらしい。
イカスッテが26本も付いている仕掛けを海に投入した。
1度目空振り。
2度目空振り。
3度目、イカが1杯だけ上がってきた。
ここでイカ釣りロボット3号機の試釣は終了。
わずか10分の試釣、なんか致命傷的欠陥があったのだろうか。
側で見学していたミタ船長も、気の毒そうで声もかけられない様子。
イカ釣りロボット3号機は、アッと言う間に片付けられてしまった。

沖上がり
午後10時半。
「疲れた馬もムチ打ちゃ走る!」
と心身を叱咤し、キーコ、キーコとイカが掛かるたびに必死になってリールを手で巻いていると。
「今夜は大漁につき早上がり!」
とミタ船長の宣言が。
まだまだ釣れていた。
ーこれっきり、これっきりですか〜♪
と未練心が歌になる。

今夜も帰宅したあと、スルメイカの刺身を、
ーいただきま〜す。貴方の命を私の命に活かさせてもらいます。
と抓みながら、冷たい発泡酒500ミリリットルを一息に呑み乾す。ああ。

 『大漁』
  朝やけ小やけだ
  大漁だ
  イカの大漁だ。

  はまは祭りの
  ようだけど
  海のなかでは
  何万の
  イカのとむらい
  するだろう。
     by金子みすヾ
注)原文は”イカ”ではなく、”大ばいわし”である。

本日釣果
スルメイカ  25センチ〜40センチ  92杯













The END
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