条件は悪かったがタコはいた 最悪の海 海の色が・・・ 残暑の陽射しが堤防に降り注いでいた。 海岸線上に延びる濃緑色の松林、その中に立つ白い建物が眩しい。 頭上は薄い雲に覆われ。 その天蓋の端に、青々とした空が広がっていた。 海から爽やかな風が吹いてきて、暑さを感じない。 海には低いうねりがあったが、問題は海の色だった。 2〜3日前の大雨で氾濫した河川が大量の泥を海に吐き出し、海が茶色に染まっていたのだ。 濁りを嫌うタコを狙うには最悪の条件だった。 手応えなし 堤防には4人の釣り侍がいたが、タコを狙っている人はいなかった。 そのうちの一人に聞いてみると、1ケ月ほど前の大雨以来、タコは消えたという。 ーガックリ! 今日はタコ1本勝負で来たので、他の魚を狙う準備はして来なかった。 ーままよ。 「Go to brake!(あたって砕けろ!)」 である。 投げ竿を3本用意した。 仕掛けは、 「あなた好みの あなた好みの・・・♪」 タコが狂喜する秘太刀『タコ驚倒』である。 その仕掛けを薄茶色に濁った海にドボーン!と投入して待つこと1時間、2時間、 まるで手応えなし。 ああ、運命! 北島三郎の『帰ろかな』の歌声が、だんだん大きくなってきた。 「淋しくて 言うんじゃないが 帰ろうかな 帰るのよそうかな♪」 秘太刀『タコ驚倒』 右端の竿を持ち、リールを巻いて仕掛けを少し手前に移動しようとすると、 ー動かない! さらに竿を持ち上げると、動いた! 「フイッシュ・オン!」 慎重に、慎重に、 ースロー、スロー、クイック、クイック、クイック。 そしてとうとう海面に、待望の茶色の傘が漂い。 周囲を見渡したけど、タモ入れを頼むべきギャラリーはいない。 ーままよ。 と堤防下6メートルの海面から、 「エーイ!」 とゴボウ抜き。 と・・・。 途中でタコが外れて海にボチャーン!。 瞬間、 「ああ!」 と悲鳴に近い叫び声を上げたね。 そして、オルフの『おお、運命よ!』(テレビの劇的シーンのBGMによく使用される)の合唱が、 ーおお、運命よ ・・・・・・ 恐ろしい 空ろな運命よ 汝はめぐる車のようだ 汝は悪しき状態のもとに すこやかなるものを悩まし 思うがままに砕きさるー (訳:石井 歓) 天高く鳴り響いたね。 ー天は我を見捨てたもうた! と、すっかりやる気をなくしてしまう。 土壇場で それでも帰るのも面倒で、惰性的に1時間海でボーッとしていた。 時計を見ると、午後4時半だった。 「およばぬことと あきらめました だけど恋しい あのタコ(人)よ♪」 と納竿にしようとリールを巻きながら竿を持ち上げると、動ない! 「・・・!?」 これはタコだろう。 道糸を緩め、しばらくその竿を放置することにし、他の竿を片付けた。 するとなんと、 −重い! そのまま一気にリールを巻いてくる。 堤防下を見るとタコが海面に。 20メートルほど向こうに、ギャラリーがいる。 「お頼みモース!」 と大声で呼ぶと、タモを片手にピョン、ピョン飛んで来た。 そして無事、1キログラムほどのタコを御用!。 そのままギャラリーが帰ろうとするので、 「またれよ!、ついでにもう1杯、お頼みモース」 ギャラリー、一瞬、ハトが豆鉄砲を食らったような顔を。 おもむろに先ほど、ピクリともしなかった竿の道糸の弛みを取り、竿先を海面近くまで下ろし、 「エーイッ!」 と掛け声を上げて、竿を持ち上げると。 期待通り、ズッシリとした手応えが。 堤防に上がったのは、先ほどより大きい1.5キロほどのタコだった。 納竿 午後4時40分。 海の色が最悪のなか、狙ったタコが釣れたので、もう充分と納竿。 今日も”日々是好日”。 本日釣果 真タコ 1キロ 1ハイ、1.5キロ 1ハイ The END |
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