2007年10月8日(月) 湊寄り
                午前5時〜午後1時
ノビタの釣り天国



     カンパチはいた!
   

                          
               雨模様
秋の海
まだ港は夜の底にあり、深い眠りについていた。
港内からの弱い光線が道を白っぽく表し、足元を照らす灯りがなくとも歩けそうだ。
暗い堤防を、一歩、一歩、用心しながら歩いて行く。
雲の割れた夜空に、バナナのような黄色い三日月が鮮やかに浮かんでいる。
その隣りで明けの明星が、他を圧して白く輝いていた。
地上は虫の大合唱。
どんどん秋が深くなる。

「未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢
 階前(かいぜん)の梧葉(ごよう)已(すでに)に秋声 」
                  (『偶成』by 朱子)
海に近づくと虫の声が消え、潮騒の音が高くなってきた。
冷んやりとした西風が吹いている。
堤防の先で、ヘッドランプの明りが2〜3個、点滅していた。
誰よりも早く来たつもりだったのだが・・・今日も出遅れたようだ。
先客は3人。

今日は、一か八かの大勝負。
はじめに豆アジを釣り、それを泳がせてカンパチを仕留めるのだ。
この釣りは、豆アジ釣りが第一ステージで、これをクリアしなと先に進めない。
ほとんどの釣り人は、第一ステージで落伍する。
第一ステージをクリアした者のみ、第2ステージに進む事が出来るのだ。
そして、第2ステージでカンパチを手にした者こそ、選ばれし者なのである。
「男ならやってみろ♪」の華麗なる戦いだ。

 
豆アジ用サビキ
第一ステージ
午前5時。
真っ黒な足元の海に、浮子のついていないコマセ籠を付けたアジサビキを、ポチャーン!と投入。
仕掛けを海底近くまで落とし、シャクッた。
いきなりドドド・・・・と暴走族のアタリ。
ーこりゃサバだ!
はじめの1匹は25センチと小ぶりなサバ、招かれざる客は大暴れしてサビキをグチャグチャにした。

空が白んできたが、釣れるのはサバだけ。
すっかり夜が明けた午前5時半、待望の豆アジが1匹。
このあとパタパタと、豆アジが15〜6匹釣れた。
これだけ餌があれば充分である。
ー第一ステージクリア!
この瞬間、未来が急にバラ色に輝いたのである。
そして第二ステージへ。

大物との戦い
釣った豆アジは、ブクブク(酸素作成装置)の入ったバケツに入れ、生かしておいた。
5.3メートルの磯竿2号を、2本出した。
仕掛けは、誘導式浮子3号を使用し、錘3号下にハリス3号3メートル付きTwistHook金マダイ9号針をつけたもの。
その針を豆アジの背に刺し、海の中層を泳がせて釣る。
準備は昨日、傾向と対策を考え用意万端遺漏がない。
                                              
カンパチ用針
下げ一杯(干潮)は、午前8時15分。
潮が動き出す9時半〜12時が勝負時と見た。
カンパチ釣りを開始してから2時間、何事もなく時は過ぎる。
堤防には25〜6人の釣り人が、ルアーや、投げ釣り、浮子釣りをしていた。
それをぼんやり眺めていた時だった。

・・・と!
足元で、
「ガタ、ガガガ・・・」
と竿が引かれた。
ーキターーー!
心臓が、ドドーン、ドドーン、ドドーンと大騒動。
竿を掴み、魚に持って行かれないように結わえていた紐を外した。
ゆるめのドラグから道糸が、ジージージージー・・・と飛び出していく。
ドラグを締めながら竿を持ち上げると、異様な重量感が。
そのまま海に引き摺りこまれていきそうな怪力である。

      
カンパチの餌
隣りにいた見知らぬ人に「SOS」。
彼は、タモを探しに脱兎の如く走った。
人情紙風船のなか、ありがたい。
いつの間にか、ノビタの周囲には7〜8人のギャラリーが集まっていた。
敵はやや斜めに潜ったまま、左右に走らない。
竿が、バシッ、バシッ、バシッと何度も、何度も、張り倒された。
ギャラリーは、この間、息をひそめて声もなし。

この猛獣のような敵とのやりとりは40分ほど続いた。
結局、海底にあるロープのような物に道糸が絡み、痛恨、落涙、号泣のバラシ。
風がヒューヒュー吹いていた。
「かなしさや 釣りの糸吹く 秋の風」
         (与謝蕪村)
ギャラリー全員が、ノビタと同じようにガッカリ。
揣摩臆測(しまおくそく)だが、逃がした大物はヒラメかも、いやそうであろう。

そしてはじめの1匹
午前9時半。
雨がパラパラと振ってきて、堤防に残っている釣り人は7〜8人になった。
右側の竿が、大きく揺れている。
「・・・・・・?!」
ー前アタリだ!(豆アジが天敵が近づいたので逃げようとするアタリ)
そして、竿が引き込まれた。
                                  
水入りバッカンがロッドキーパー
ー今だ!
と、竿を振り上げたが、合わせが早すぎたのか手応えなし。
海面に、豆アジを追って来たカンパチが浮上してきたので。
そのまま餌を沈めたが、食いつかない。
餌を引き上げると、豆アジはショックで仮死状態になっていた。

急いで元気なランナー(豆アジ)と交換し、ふたたび仕掛けを海に投入すると。
直後に、いきなり竿がギュイーーン!と湾曲し、そのまま海へ引き込まれた。
大物との格闘で感覚が麻痺したのか、引きの強さはさほどに感じず、一気に海面からゴボー抜き。
熱烈歓迎のはじめの1匹は、36センチのカンパチだった。

納竿
午前10時50分に、同サイズの2匹目をゲット。
雨降る堤防に残っている釣り人は4人、貸切状態だったが・・・カンパチも何処かに消えてしまった。
午後1時、納竿。
「聖人は微を見て以って明を知り、端を見て以って末を知る」
                (『韓非子』より)
さて今日のカンパチは「明」を意味するのか、「末」を意味するのだろうか・・・。
ともかく今日も、
「色即是空 空即是空 日々是好日」

本日釣果
 カンパチ  36センチ  2枚
 サバ    25センチ  4匹
 豆アジ   10センチほど  15〜16匹



















The END
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