2007年12月18日(火)  日立港周辺
                昼過ぎ〜午後5時半
ノビタの釣り天国



        ボーズの日
   
                                       
雲多き冬空
なんと言う結末
消えた。
鉄の塊を引き上げてくるような重量感が、一瞬にして。
その瞬間、夢や、希望、期待など、パワーの源が全てブラックホールに吸い込まれて行ったような巨大な喪失感が・・・。
主を失った道糸が、風にユラユラ揺れている。
ーくそーーー。
泣きたくなっちまったゼ。

凍風と、時おり降る氷雨のなか4時間待ち、やっとタコが掛かり。
それから1時間、タコと綱引きをし、とうとう海底から10センチほど持ち上がったところで獲り逃がしたのだ。
道糸が根に擦れて切れていた。

かなりのものだった。
3キロは有に超していただろう。
しばらくボーゼン、唖然、失意のどん底に。
夢破れて抜け殻、くやしくてくやしくて・・・。
もうやってられない。
このまま雨にうたれて死んでしまいたいようだった。

アタリ無し
釣りを開始したのは昼過ぎ。
ナメタガレイ狙いの竿を3本、それとタコ狙いの竿を2本出した。
昼前は晴れていた空が、昼過ぎには一面灰色の雲に覆われ、北からの冷たい風が吹いていた。
鼻水を垂らしながら、1時間、2時間、3時間・・・、ジッと竿の先に付けた鈴が鳴るのを待っていた。
いつまでも頑固に、冷酷に、傲慢に、竿先は天を仰いだままだ。
「女が男を待たせるのは、もっと期待をふくらませてあげたい一心からなの」
             (ドイツの女優ヘネローレ・エルスナー)
お魚ちゃんだって、きっとそうにちがいないと。
ただひたすらその時を待ち続けた。
                                         
  返品
はじめの1匹
と・・・。
その時、
「リリーン、リリーン、リリーン・・・」
1000円で買った全長2.7メートルの投げ竿に付けた鈴が、澱んだ静謐を破る。
心臓が、跳ね上がった。
ーナメタだ!
 あせるな、あせるな、もっと待て、畳の目を数えるのだ。
 しっかり餌を咥えろ、針を胃まで呑み込め。

と胸の中で呪文を唱へながら。
もう充分と獲物を引き上げると。
ーああ。
釣れたのは、20センチ強のドンコ。
「世の中に、魚(原文では人)の来ることうれしけれ、とはいうもののお前ではない」
     (内田百けん)
注文した品とは違う、と海に返品したよ。

納竿
午後5時半。
やっと掛かった大タコをバラシ、やる気をすっかりなくして納竿。
堤防は、すっかり闇に包まれていた。
凍風がヒューヒューと吹き荒び。
一度も使うことのなかったタモが風に飛ばされ、堤防の上をズルズル這っていた。

今日ここで会ったのはKAさんと、栃木から来た若い人。
KAさんからハンドルネームを教えてもらったけど、大タコを逃がしたショックで忘れてしまった。
KAさんも栃木の若い人も、それぞれタコを1杯ゲットしてすでに帰っていた。
今日は、8人の釣り人がカレイを狙ったが、堤防全体で釣れたのは20センチ前後のドンコ数匹と、20センチ前後のサバ数匹と、KAさんと栃木の若い人が釣った1s前後のタコ2杯だけ。

                                    
この時、くやしいドラマが
帰り道、重い足を引き摺るようにして帰ってきた。
ーもう釣りは止めた!
 竿はみんな捨てるぞ!
と、今日も心に誓う。
でも、そうは言っても俺の行く道はこれしかない、
「やるぞみておれ 口にはださず
 腹におさめた 一途な夢を
 曲げてなるかよ くじけちゃならぬ♪」
      (『出世街道』作詞 星野哲郎)
ーガンバロー!

本日釣果
 ボーズ

The END
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