2008年1月22日(火)  湊寄りの堤防
              午後4時55分〜午後7時半
ノビタの釣り天国



       メバルは健在!
   
                                   
     まだ早い
青イソメが虫の息
クーラーボックスを開き餌箱を覗くと、青イソメが団塊になっていた。
おそるおそる指で塊を突っつく。
と・・・・・・。
わずかに動いた。ーホッ。
勇気が少し湧いてきて、指で固まりを突っつきまわすと。
全体がモゾモゾと動いた。
ー大丈夫だ!

この青イソメ。
2週間ほど前に2パック買い、そのまま氷の入っていないクーラーボックスに入れ、放置していたのだ。
この間、青イソメは飲まず食わず、ひたすら飢えと寒さに耐えてきたのである。
その健気さ、恐るべき生命力。
とは言へ、さすがの青イソメも虫の息、余命幾ばくぞ、のようだ。

このまま死ねば、青イソメも犬死にである。
すべてノビタが悪い。
寒さに負け、コタツでぬくぬくしているうちに、
「怠惰はあらゆる情熱の覇者である」
   (ラ・ロシュフコナ)
と、釣りへの情熱を失っていたのだ。

これから延命処置をしても、もう手遅れ。
この際、早く青イソメに、その使命を与えるしかない。

            
戦闘開始
弱気の虫が
そして、とうとうノビタは今日。
なまけ心を、コラッ!と張り倒し。
ロシュナンテに跨り、家を飛び出したのである。

海に向かう途中、弱気の虫が、
「どうせ行っても釣れないぞ。引き帰せ!」
と何度もささやいたが、
「男は負けると分かっていても、どうしても戦わなければならない場合がある」
   (バイロン)
たとへ。
”オール・アウト(100発100外れ)”になろうとも。
と、弱気の虫を押しのけてきた。

メバルがいた!
釣りを始めたのは午後4時55分。
風が弱いせいか、思っていたほど寒くはない。
東の空の裾に、雲が群れる。
その一つ一つの上部が淡い桃色に染まり。
西の空は、青い雲の切れ目が琥珀色に染まる。

いつか東からの風が、風ともいえない空気の流れに変わり、そして止まった。
入日の光線を受け白く輝く海面は、無数にあった波皺が消へ、鏡のような真平らに。
まだ大分明るい。
堤防の先に、派手な防寒服を着た釣り侍が3人。
時々、彼等の笑い声が空気を震わしていた。

午後5時15分。
夕焼けの赤い空が、西の空を桔梗色に染め、遠い山並みに消えようとしている。
その時だった。
うす闇が這う海面を漂っていた電気浮子が、一瞬にして海中に消えた。
初めに釣れたのは、20センチほどのまずまずの本命。
敗北止む無しの覚悟だったので、欣喜雀躍の1匹だった。

                                       
   オーレッ!
闇が濃くなってきた午後5時35分。
また、電気浮子の赤い灯りが、黒々とした海中にズボッ!と潜った。
リールを巻き道糸の弛みを取っていると。
沈んだ電気浮子が、海中を赤く染めながら流れ星のように左から右へ、1メートル、2メートル、3メートル・・・5メートルと走る。
「待てーー」
とばかりに、ビシッ!と、磯1号5.3メートルの竿を、逆に払うと。

タタン、タタン、タタン、タ、タ、タ、・・・・・・と、フラメンコの踊り子が、床を靴で打ち鳴らすような振動が、竿先から手に。
リールを巻くと、カタ、カタ、カタ・・・と今度は、カスタネットを連打するような振動に。
とんでもなく元気が良い。
思わず、
「ガンバレーーー」
と声を出さずに叫んだね。
岸辺に寄せると、強く潜り最後の抵抗をしたが。
そのまま、
「オーレッ!」
と堤防の上へ。
薄暗い堤防の上で、無念そうに跳ねたのは、さっきと同サイズの本命だった。

今夜も・・・
午後6時過ぎ。
この時間帯、空は飛行機のラッシュ・アワーのようだ。
今夜も、飛行機が北から南へ、南から北へ、赤や緑のランプを点滅させながら、次々と飛んでいく。
「ゴーーー」
と巨大な爆音を地上に落としながら、凄い速さでジェット機が南から北へ飛んで行った。
雲を透かして、ぼんやりと白い月が東の空に浮かび。
時とともに雲が夜空に溶け月がその輝きを増し、その月光を受けて港がその姿を露にする。
北西から凍風が吹いてきた。
気温が急激に下がり、冬がベッタリ体に張り付いたような寒さが。
露出していた手がかじかんで、竿を持っていられなくなる。

          
月が東に
今夜も、沈んだ浮子が2〜3秒で浮上する、線香花火の火花のようなチビメバル(10センチ以下)のアタリは多いが、合格品はなかなかきてくれない。
餌が悪いのだろうか。
確かに、餌の青イソメは半分死にかけている。
上半身は死後硬直し、下半身はまだヒクヒクしているが、その末端はすでに体が溶けている。
ーこれでは・・・。
ーいくらなんでも・・・。
「ハァ 貴方まかせの
 貴方まかせの 夜だから ♪」
でも、あなたは振り向いてもくれないのか。

それでもなんとかこの後、合格品を2匹追加。
却下したチビメバル8匹は、海に返品。
午後7時半、納竿。

帰宅
家に帰って来ると、ミーがコタツでゴロンと横になりテレビを見ていた。
そして、
「どうだった?」
「大きいのか?」
「何匹?」
と聞かれ、それに答えると。
彼女特有の、ワッが一つで、そのあとにハが4つ、それを3度繰り返す、
「ワッハハハハ、ワッハハハハ、ワッハハハハ」
の笑いを、全身に浴びせられてしまった。

毎度のことだから傷つきはしないが。
釣りの真髄を知らない彼女には、所詮分かってもらえないのだと弁解もしない。
開高健曰く、
「大きいのでも1匹、小さいのでも1匹、1匹は1匹、
女は女や、からすると今日はモテ、モテや」
 (『オーパ、オーパ!!(アラスカ至上編 コスタリカ編)』)
ではないか。ーん?

本日釣果
メバル 18〜21センチ  4匹
チビメバル 10センチ以下 8匹(全て海へ返品)















The END
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