日立沖は鯛が満開♪ 夜明け 寒い朝 午前5時。 下着にホッカイロを貼り、防寒服を着、ブーツの下敷きもホッカイロ。 完全武装である。 玄関から外へ出ると、途端に空気がカチン、カチンと音を立てて凍っているような寒さ。 思わず身震い、吐く息も真っ白だ。 空には、点々と銀色の星。 まだ世の中は夜の底である。 車庫に行き。 ロシュナンテを覆っていた防寒対策の毛布を剥ぎ、スタータをオン。 すると、 「ダス、ダス、ダス、タタタタタタタ・・・・(待ってましたご主人さま)」 と勢いよく身を震わせ、一発で応えてくれた。ーホッ。 ロシュナンテは人間で言ったら70歳位のご老体。 夜間、この毛布を掛けていないと早朝、エンジンが掛からないのだ。 今日もロシュナンテとノビタは寒さをものともせず、老体にムチ打って、凍てつく道を日立港に突っ走ったのである。 午前5時15分。日立港第5埠頭。 思わず、ギョ! 龍翔丸の灯りが点いていない。 ー今日は中止? いつもならすでに煌々と船のライトが輝いている時間なのに・・・。 日立フイッシングセンターサウス店に行き、Eー子さんに聞くと船は出ますよ、と言われホッ。 それから3分もしないうちに龍翔丸のライトが点灯。 うねりあり 今日は、ノビタの定席である右舷操舵室前に釣り座を確保した。 ロッドキーパーを船縁に固定していると、ミタ船長が側に来て、 「今日は一束はいかないと」 と話しかけられた。 ー? 一瞬、なんのことやら理解に苦しむ。 この間、おそらく間が抜けたような顔をしていたのだろう。 「一束だよ、一束」 とミタ船長に念をおされ、やっと分かった。 一束とは、100匹の意味である。 無理だよと応えると、ちゃんとシャクレば釣れるよ、と言いながらミタ船長は操舵室に消えた。 久々に聞く船長の自信たっぷりの言葉。 時々、大きく外れるが。 ひょっとすると今日は・・・、と胸の中にデッカイ希望の白い雲が、みるみる湧き上がってきたヨッ。 ルイ・アームストロング この素晴らしき世界! 午前6時10分。 ドラゴン(龍翔丸)は、日立港第五埠頭を離岸し、暁の海へドドドドドド・・・・・と出撃して行った。 まだ日の出前。 海岸線に沿い屏風のように連なる黒々とした山並み、その裾に伸びる街の灯りは、青、黄、赤、橙、とまだ色とりどりに輝いていた。 水平線上に、青黒い雲が帯状に横たわり。 雲の上は紅く染まり、その紅が琥珀色に変化しながら青々とした空に薄く溶けていく。 快晴。大潮。風も穏やか。 ー釣り日和だ! どこからか、ルイ・アームストロングが歌う「この素晴らしき世界!(What a wonderful world !)」が聞こえてきそうな夜明けだ。(この歌は、ホンダのCIVICのCMにも使われブレーク) スペースシャトルから 2月6日(水)の深夜(2月7日0時10分〜0時59分)、NHKスペシャルの「ウェイクアップコール〜宇宙飛行士が見つめた地球」の再放送を見た。 スペースシャトルにいる宇宙飛行士たちは、ヒューストン管制センターから送られてくるウェイクアップコール(目覚ましの音楽)で起きる。 曲は宇宙飛行士自らのリクエストや、家族や友人、地上スタッフからのプレゼントなどで、これまで宇宙に流れた曲は1000を越えるそうである。 その中で最もリクエストが多かったのが、ルイ・アームストロングが歌う「この素晴らしき世界」だったそうだ。 スペースシャトルから地球を見て聞くなら、やはりそうであろうかと納得する歌である。 ルイ・アームストロング(愛称サッチモ)は1971年に亡くなっているが、その生前の録画が見られる。 こちら=>ルイ・アームストロング『この素晴らしき世界』のビデオ 歌詞は下記。 「I see trees of green 木々の緑 red roses, too 赤く萌える薔薇 I see them bloom あなたとわたしのために for me and you 咲き繁る And I think to myself そしてわたしはひとりつぶやく "What a wonderful world !" 「なんて世の中は素晴らしい!」 I see skies of blue 紺碧の空 and clouds of white 純白な雲 On the bright sunny day, 輝くように晴れた日も or in the dark sacred night 神秘的な夜も And I think to myself そしてわたしはひとりつぶやく "What a wonderful world !" 「なんて世の中は素晴らしい!」 I see the colors of the rainbow 七色の虹が so pretty in the sky 空に美しく映える And also on the faces 通りゆく人々の上にも輝く of people going by 握手を交わす人々 I see friends shakin' hands 「はじめまして」と sayin' "How do you do?" 挨拶を交わしている I know they're really saying だけど本当は「愛しています」と "I love you" 言っているのさ」 (『この素晴らしき世界』 by G.P.Weiss/G.Douglas) この歌を聞いていると、「人類皆兄弟、愛こそ全て!」 と叫びたくなるような・・・。 ヒラメか? ミタ船長が・・・ 釣り開始、午前6時40分。 紺色の海は大きくうねリ。 ふくらんだ波が、次々と船の下に沈んで行く。 その度に船が左右に大きく傾いた。 仕掛けを投入するとすぐから、あちらで、こちらで、喜悦の声が上がり始めた。 ノビタには、いつものようにまだ来ない。 それでも、 「梅は咲いたか 桜はまだかいな 柳なよなよ風しだい 山吹きゃ浮気で 色ばかり チントンシャン♪」 とお花見気分で竿をシャクッテいると。 突然。 「オエー、オエー」 と右舷大トモの方から動物のような唸り声。 ー何だ、何だ? 船釣り初心者が、花見が始まったばかりなのに酔ってしまったのか、と振り返ると。 見てビックリ、思わず笑える光景がそこに。 船縁に両手をつき「オエー、オエー」をしていた船釣り初心者とは。 ナンタルサンタルチア、ミタ船長だった。 船長が船に酔うなんて、前代未聞じゃないですか。 まるで「サルも木から落ちる」「弘法も筆の誤り」「百足(ムカデ)も転ける」、の実例を見たような気がしたよ。 ーしっかりしてよ船長さん。 さすがにミタ船長、この後は立ち直ったけど、一時はどうなることやらと、こちらまで焦ってしまったよ。 入れ食いだったけど・・・ 午前7時。 竿を上下しながら、 「応答せよ。応答せよ」 を繰り返すも、まるで応答なし。 ー生存者は一名もいないのか? と少々焦ったが”待てば海路の日和あり”。 とうとう、 「ククッ、ククッ、ククッ」 と待ちに待った応答が手元に。 「生存者発見!」 の報せに、現場は一気に活気ずく。 初めに海から引き上げたのは、20センチ前後の花鯛のダブル。 この2匹を皮切りに、入れ食いが始まったのだが。 「無いと思うな、運と災難」 である。 それも、運と災難が1セットで押しかけてきたのだ。 花鯛を数匹釣って喜んでいると、なんと左舷側の釣り士と派手なお祭りを。 このお祭りは、全治30分ほどの重症だった。 自分のPEラインを切って相手の仕掛けを離したのだが。 そのPEラインをインターラインの竿から抜き取ってしまい。 ーしまった。 と思ったが、あとの祭り。 揺れる船の上で、 「チャンスが二度、扉を叩くとは考えるな!」 (シャンホール) と焦りながら復元に汗を流したのだが、結局、復元に30分ほどを費やしてしまったのだ。 一難去ってまた一難、潮の流れが速いこともあり、このあとまた2回ほどお祭りをしてしまった。 それでも今日は、切れ目なく入れ食いが続き、幸いかなチャンスは無限で。 花鯛が一荷で上がって来るたびに、 「千客万来、熱烈歓迎」 の幟を、頭の上で振り続けているような気分だったヨ。 ミタ船長の意のまま各戦場を転戦したが、どの戦場でも花鯛は入れ食い。 まさに今、日立沖の海底は花鯛が満開のような様相だった。 欲を言えば、出来たら真鯛や外道のホーボーも釣りたかったのだが・・・最後の最後まで、そのチャンスは訪れなかった。 船中では良形真鯛や、50センチ級ホーボーが数匹上がったのだが。 沖上がり 午後1時、沖上がり。 形は今一だったが、魚が涸れるこの季節に入れ食いは嬉しい。 「大きいのでも1匹、小さいのでも1匹、 一匹は一匹、女は女や、 からすると今日はモテモテや」 (開高 健) 本日釣果 花鯛 16〜22センチ 58匹 沖メバル 18〜24センチ 2匹 The END |
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