2008年8月20日(水)  日立港
              午前5時〜午前8時半
ノビタの釣り天国



        泳がせ釣り第4戦


                               
         静かな朝
月と星の下を
『真吾十番勝負』ではないが。
『ノビタ十番勝負』の今日は第4戦目。
家を飛び出したのは、まだ世間が寝静まる午前3時40分だった。
ロシンナンテに跨り、まだ夜の底のような舗道を駆け抜ける。
半月に近い楕円の月が輝く群青の夜空、その周りに白い星が砕け散っていた。
今夜は、まるで落語の小咄にでてくるような夜空だ。

殿様が三太夫に聞く。
「お月様は出たか?」
「恐れながら申し上げます。
お月様とは下々の申すこと。
殿はご大身ゆえ、月は月と呼び捨てがよろしいかと存じます」
「さようか。しからば月は出たか?」
「一点隈なく冴え渡ってございます」
「そうか。して星めらは?」
そんなに威張るるこたぁないんで・・・、と噺家が軽くツッコミを入れて小咄は着地する。
夜空の主役の月を呼び捨てにしていいのなら、まわりの星たちは家来のようなものだから、「星めら」でいいのだろうと考えた殿様の鷹揚さが、たまらなくおかしい。
  (『まあ、そこへお座り』by 山藤章二 より)
                                           
  ノビタ愛用仕掛け
中国から来た留学生と
東の空は、赤から群青へとグラデーションが広がっていく。
まだうす闇が溶ける堤防で。
ヘッドランプの灯りをたよりに、サビキ釣りの準備をしていた。
ノビタが、ハナダイ釣りに愛用するサビキは右図。
この仕掛けは限定生産なので、日立フイッシングセンターにある在庫のものしかないらしい。
パタパタと吹いている北西の風が、体から汗を拭き取ってくれた。
空に雲薄く、今日も暑くなりそうだ。
海はベタ凪だった。
準備を完了したころにはすっかり夜が明け。
堤防にいるザ・釣り士6〜7人が、その姿を明確にした。

と・・・。
「おはようございます。おひさしぶりです」
と、ニコニコと近づいてきた2人の若者がいた。
誰だったか、その瞬間思い出せなかったが。
2〜3秒して、−アッ!と記憶が蘇った。
先月の10日、ここで初めて会った中国から来た留学生だ。
彼らは6年前に日本に来た、日立市にいる大学院生の張さんだ。
2人とも好青年である。
かつ、みなとさんの教え子だ。

   
   今回の仕掛け
もう一人の彼の友人の名前は思い出せない。
ルアーもやってみてはと先月会った時に話したら、ちゃんと今日はルアーの用意もしてきた。
彼らに、みなとさんと釣りの話しをしたか聞くと、まだ話していないと言う。
どうも私的な話しをするには、まだ敷居が高いようだ。

午前5時餌釣り開始。
ノビタから、20メートルほど離れた隣りで泳がせ釣りをしていたアツシさんが。
くやしそうな顔をしてやってきた。
今、カンパチをバラしたと切歯扼腕。
時計を見ると、午前5時15分。
こんなに早くカンパチが来たのかと、ノビタも餌釣りを中断し泳がせ釣りの準備を始めた。
この時点で、餌用のハナダイを6匹、やや大ぶりなアジ3匹を確保していた。

釣り開始直後から
泳がせ釣りを開始したのは、午前5時半。
2本目の竿の仕掛けを海に投げ込むと同時だった。
「ヤヤヤヤヤ・・・・。タイヘン、タイヘン」
と張さんが叫んだ。
この叫びが、光芒燦然たるカンパチ戦の合図となった。

         
標準サイズ
見ると。
初めに仕掛けを投入したノビタの竿が”へ”の字でバウンドし。
そのまま竿が”の”の字に変化し、そして海面に突っ込んで行った。
「マテーーー」
と叫びながら竿を掴み、問答無用と強引に堤防の上へ。
そして、釣ったカンパチの針を外そうとしていると。

また、
「ヤヤヤヤヤ・・・・。タイヘン、タイヘン」
と張さんが叫んでいる。
ーん・・・。
振り向くと、2本目の竿が堤防から落ちて、ロープごと宙釣りに。
「オーーーッ」
と叫びながら竿を掴み、カンパチの引きを制して2匹目を。

エビ釣りをしていた”みちよさん”が戻ってきた。
今日は、エビ釣りを午前3時からと出遅れたので駄目だったらしい。
彼女もアツシさんと一緒に、カンパチ釣りに参戦。

ノビタは、このあとも力闘また力闘。
そして、ノビタの竿が逆立ちする度に、
「ヤヤヤヤヤ・・・・。タイヘン、タイヘン」
と、みちよさんの、
「凄い、凄い、凄い」
の合唱が空気を震わせた。
突然、
「カンパチが絶滅してしまう!」
と張さんが、本音のような悲鳴を。
これには一瞬、ドキリ。

午前5時半〜午前6時までに7匹フイッシュ・オンし、1匹バラシ。
この間に、張さんも生まれて初めて1匹ゲット、彼はそのあともう一度ヒットしたがバラス。

納竿
午前7時に1匹バラシ、その直後に1匹ゲット。
午前7時半に1匹追釣。
午前8時、アツシさんとみちよさんが、ダブル・ヒット!。
張さと彼の友人は、8時に帰って行った。
ー今度は、みなとさんと一緒に釣りに来なさいよ。
とその背に、声を出さずに声をかけたけど・・・。

餌(ハナダイ)がなくなり、
「ハイそれまでよ!」
となったのは、午前8時半。
「この一滴の燦爛に乾杯!」
と声を出さずに叫びながら、堤防を後にした。
さて今は、発展途上なのか、発展衰退なのか。

本日釣果
  カンパチ  30〜31センチ  8匹


















The END
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