2008年8月31日(日)  日立港
              午前5時20分〜午後1時
ノビタの釣り天国



        泳がせ釣り第6戦


                               
    雨が降っていた
男の約束
午前3時起床。
耳をすますと、屋根から落つる雨音が、シト、シト、シト・・・と聞こえてくる。
とにかくトイレに行き、オシッコをし。顔を洗った。
こんな日に。
よりによって・・・。
昨夕、アジさんと電話で約束したのである。
男子に二言はない。
行くしかあんめェ。

外に出ると。
雨は上がっていたが、空は鉛色の雲に覆われ、今にも泣き出しそうだ。
路面が、街灯の下で白く光っている。
ロシナンテのスタータをオンすると、
「トトトトトト・・・・・・」
と一発でエンジンが懸かった。
「Hey Hey Baby
 エンジンはピンピンだぜ
 いつものようにキメて ぶっ飛ばそうぜ♪」
  (『雨あがりの夜空』 by 忌野清志朗)

雨ニモ負ケズ
雨に濡れた舗道を、水しぶきを上げながら走っていると。
「ルルルル・・・・・・」
と携帯電話が鳴った。
ロシナンテから降りて、携帯を覗くと。
アジさんだ。
港の駐車場からだと言う、まだ港は雨が降っているらしい。
ひるむ気持ちを張り倒し、
「思い込んだら 試練の道を
 ゆくが男の ど根性♪」
と、闇の中へ真っしんぐら。
海が近づくにつれ、雨に全身を洗われ濡れ鼠。ーああ。

白んできた堤防をアジさんと、現場に急いだ。
近づく堤防を見ると。
この雨と風の中、天下無敵の釣りバカが、20人ほど堤防に群がっていた。
彼らから遠く離れた所に、荷物を下ろした。
釣りの準備をしていると、
「おはようございます」
振り返ると、tommyさんだ。
思いがけない援軍である。
彼が来た時には、堤防はすっかり白んでいた。

    
やっと希望の匂いが
餌が・・・
午前5時20分、餌釣り開始。
エサ(ハナダイ)が釣れません。
まるで釣れません。
どうしたのでしょう?
10分、20分、30分・・・、1時間、2時間。
目の前でカンパチが、バシャ、バシャ、バシャと運動会してます。
どうにもなりません。
ただ指を咥えて見ています。

ーハナちゃんは、どこに?
海に問いかけると。
「一寸前なら憶えちゃいるが
体がピンクの女だって ここにゃ体が黒いのしかいねェヨ
ワルイなぁ 他をあたってくれよ
・ ・ ・ アンタ あの娘の何なのさ
 港のハナチャン・ヒタチ・ミナトーーー♪」
(『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』
   作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜道)

初めの1匹
午前7時半。
エサのハナダイが、やっと3匹釣れ。
早速、アジさん、ノビタ、tommyさんと分けあい、カンパチ戦開始。
海は、モスグリーンに茶色を混ぜたような色に濁っていた。
あまり海況としては、よろしくないのだが・・・。

午前8時半に、本日初めの1匹はアジさんがゲットした。
その1匹が、仲間を数匹釣れて来ていると言う。
次はノビタだと緊張したが、ノビタの竿はユラユラと風に揺れているだけ。
ーおかしい?
と、海中から仕掛けを回収すると。
ナント!エサのハナダイが、針についていない。
針はスッポン、ポン。
「出血大サービス、ストリップ劇場『秘密の花園』!」
である。
これではね、いくらなんでも・・・。
                                    
  浮子は波に
慌てて元気なハナダイを付け直し、ポチャ−ン!と再チャレンジ。
そのまま竿を放置し、そこから20メートルほど離れたところで、またハナダイ釣りに専念していると。
「キタキタキターー!」
とアジさんがノビタの竿を掴み、大声で呼んでいる。
ハナダイ釣りの竿を放り投げて走り、やったりとたっりして引き上げたのは30cmとやや小ぶりなカンパチだった。
アジさんは、用事があると午前9時半に帰って行った。
このあと、午前10時50分に32センチを1匹追釣。

tommyさん初カンパチ
昼の12時を廻った。
潮の上げ3分、そろそろ時合である。
午後12時15分。
「あれは、前アタリではないですか?」
と、tommyさんがノビタの竿先を指した。
ノビタの竿先が、明確に上下運動を繰り返している。
「・・・・・・?」

前アタリにしては弱いな〜と、言いながら竿を見ていた。
期待外れ、いつか竿の上下運動は収まってしまった。
ーう!
今度は、ノビタの隣りのtommyさんの竿先に揺れが伝染。
勢いがある。
「前アタリだ!、竿を持って、そのまま待って」

それから数秒。
tommyさんの竿が下方に沈んで行った。
「まだまだまだ・・・、今だ!」
tommyさん、竿に全身でしがみつき仰け反った。
でも水面まで持ち上がらない。
しばらく魚に翻弄されていた。
なんとか、発汗激闘の戦いを制し上げたのは、35センチのカンパチだった。

    
このバケツと洗濯バサミを
ノビタの竿が
tommyさんが、釣ったカンパチの針を外しながら、
「アッ!」
とノビタの方を見て叫んだ。
と同時に。
「バッシャ!」
とノビタの足元で異様な音が。
竿の上に、重しがわりに海水を満タンにして載せたバケツが、ひっくり返ったのだ。
そして、そこにあった竿が、ナイ!
この時点では、さほど驚かなかった。
竿に、ライフラインを結わえているのだと。

そして、余裕で堤防下を覗くと。
「オー・マイ・ギョ!」
ーナント!
空中で、宙ぶらりんこになっているはずの竿が。
逆さまになって海中に、沈んで行ったのである。
世の中は寸善尺魔、一寸の幸福の尻尾には、一尺の悪魔がくっついている。
賢い釣り士は、予めリールのドラグを緩めておくのだが・・・ドラグは目いっぱい締めていた、「男子一生の不覚」であった。

海神現る!
ボーゼンと海を見ていると。
海から白い髭を生やし、白髪を肩まで垂らした爺さんが現われ、
「ワシハ海ノ神、ポセイドン」
「オ前ノ竿ハ4万円以上アルカ?、1万円以上アルカ?、1万円以下アルカ?」

と外国語なまりの日本語で問う。
正直に答えると。
「正直者ヨ。ナラバ返ス。海ニ竿ガ浮カンダラ、スグ飛ビツクヨロシ。ホナ、サイナラ、サイナラ」
と海に消えて行った。

そして、数秒後。
竿が海面に浮上。
tommyさんがメタルジグを投げて、ノビタの竿を引っ掛け無事回収してくれた。
魚はいなかった。
「ノー・アイ・ナーダ(何もないったら何もない)」
関西風に言うと、”ありがた涙の尻もちつきヤデー”。

それにしても、新品のシガーエース3号のハリスを、チモトから切った奴とは?

納竿
落胆をリセットし、再挑戦しようとしたけど。
ノビタの情熱というのは一定量のようで、この戦いにその全部を使い果たしのか、以降、まるでやる気を失せてしまった。
遠藤周作も言っている、「明日できることを 今日するな」と。

午後1時。
空からまたポツリ、ポツリと雨が降って来たこともあり納竿。
tommyさんと一緒に帰って来た。
西の空は鼠色の雲で覆われていたが、東に伸びる白い断雲を透かし陽射しが暑い。
湿度も高く、歩いていると下着が汗でベトベトになって肌に貼り付く。

今日も、
「明日は明日の風が吹こう
 今日は今日の風に任せる
 好日、好事だった
 ありがたし、ありがたし」
    (山頭火)

本日釣果
  カンパチ 30〜32センチ  2匹

















The END
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