2008年9月14日(日)  日立港
              午前4時半〜午後2時
ノビタの釣り天国



        泳がせ釣り第11戦


                               
       雲が裂けて青空が
釣りの醍醐味
炎天下、アジさんとジッと竿を見ていた。
涼しい北風が救いだ。
無数の皺に覆われたモスグリーンの海面に、ノビタの浮子が漂っている。
まるで、波があくびをしているような昼下がりだった。

竿は2本出していた。
アジさんは浮子なしの泳がせ釣り、ノビタは浮子を付けた泳がせ。
アジさんの餌(生きアジ)は、堤防スレスレを泳いでいたけど。
ノビタの浮子は、岸から14〜5メートルほど沖を漂っていた。
これが良かった。

一度目のヒット
と・・・。
「アレッ?浮子が消えているよ」
とアジさん。
見ると、左側の竿が『へ』の字に曲がり、上下に振動している。
「大きいアジだから元気が良いんだよ」
と言いながら凝視していると。
竿が『の』字になり弾み出した。

ー前アタリだ。
「まだだ、まだだ!」
とアジさんが叫んだ。
そのまま竿が真っ直ぐ水面に傾いた。
「ソレーッ!」
と振り上げると・・・、手応えなし。
「バレタ!」

           
ベタ凪
二度目のヒット
その直後。
「そっちの竿に来た!」
と、アジさんが指差す。
振り向くと、右の竿が『へ』と『一』の字を繰り返している。
その振動の幅が大きくなってくる。
「まだだ、まだ、まだ」
「まて、まて、慌てるな」
「まだ、まだ、まだ・・・」
いつの間にか隣りにギャラリーが立ち、アジさんんと一緒に叫んでいる。

「エサが大きいから呑み込めないのか?」
と焦れながら竿を握っていると。
竿先が真っ直ぐ伸びてしまった。
「逃げたか?」
「いや、まだいるはずだ」
「・・・・・・?」

と束の間、竿が静かになっていたが。
また竿が『の』字に曲がった。
そして、そのまま沈んで行く。
「まだだ、まだだ、まだだ」
「まだ、まだ、まだ」
と、またアジさんとギャラリーの合唱が。

刹那、竿を持つ手に電撃が走った。
そして、竿が海面まで張り倒され。
リールが「ジージージー」と悲鳴を上げ、道糸がシューッと吐き出されて行った。
「まだまだまだ」
とアジさんが叫んでいる。
そして、
「イマダーーー」
の檄が飛んだ。

ドラグを締め、竿を振り上げたが持ち上がらない。
敵は堤防に突進し、そのまま道糸が堤防に沿って走る。
「道糸を離せ、離せ(堤防から)」
とアジさん。
堤防に張り付いた貝類の縁で、ハリスが切られるからだ。
竿を堤防から引き剥がそうとするのだが、なかなか離れない。
このままでは・・・。
まさに一縷千鈞(いちるせんきん)の危うさ。

これは手強いと思ったかアジさん、
「タモを持っている人はいませんか?」
と、堤防にいる釣り人に呼びかけている。
呼びかけに反応なし。

「大丈夫だ、抜けるよ」
と叫びながら、
「ソレーーッ!」
と堤防の上に引き抜いた。
ドタッ、ドタッ、ドタッと堤防の上で。
釣りの醍醐味の産物、釣り士の夢の結晶が跳ねている。
34センチと小ぶりだったが、強敵だった。ーホッ。

早朝
話しを戻す。
釣り場に着いたのは、午前4時15分。
アジさんと、昨夕約束した時間より15分早い。
堤防はまだ、「右も左も真っ暗闇じゃござんせんか」の闇の中。
竿の先のケミホタルの灯りや、ヘッドランプの灯り、海に浮かぶ電気浮子の灯り、が賑やかに踊っていた。

東から西へ風ともいえない空気の流れがあり、湿気が重く澱んでいた。
雲に覆われた空から、時おり雨雫が落ちてきて顔や手を濡らしたが、気にするほどではなかった。
先日、37〜38センチのカンパチを釣った所に荷物を下ろし、準備をしていると。

「オレだよ、オレ、オレ」
闇の中から、オレオレ詐欺がやって来た。
しつこく、
「オレだよーーー、オレ」
と叫んでいる。
その声、聞き覚えがある。
ーアジさんだ。
闇の中で大きく手を振ると、気がついた。
                                          
使用したサビキ
カンパチ釣りの難しさ
今日は。
午前9時16分が干潮。
満潮は午後15時56分。
潮が上げに向かう午前10時半から午後3時が狙い目だ。
だから、カンパチを釣ることだけを考えるならば、朝の4時から出撃して来る必要はないのだが。
餌となるアジやハナダイは、払暁にしか釣れないのである。
時間には関係ないが、もう一つ問題がある。
この時期、アジやハナダイが大きくなり過ぎて、餌に相応しいサイズものが稀少であること。

釣りは賭けだが、餌を現場で確保しなければいけないカンパチ釣りは、中でも一番賭博性が高い。
餌が釣れるか否か、かつ餌は釣れてもカンパチがいるか否か。
まさに「Play for all or nothing!(のるかそるか)」である。
それ故に釣れた時の感激も一入なのだが。

場所移動が功を奏す
午前4時半、餌釣り開始。
釣り初めて10分ほど経過してから、ポツリ、ポツリとアジが釣れたけど、全て人間の餌サイズ。
大きめだが、この際贅沢は言ってられないと2匹確保し、カンパチ釣りを開始したのは午前5時。
午前5時半、本日初めの1匹が釣れた、サイズは30センチと小ぶりだった。
この間に、大きめだが止む無しの餌アジを6匹確保。

このあと。
午前11時半、アジさんの意見で釣り場を変更。
これが良かったようだ。
午前11時45分、アジさんが35センチのカンパチをゲット。
午後12時40分、アジさんとノビタが、同時に30センチオーバーをゲット。
午後1時15分、ノビタが30センチオーバーをゲット。
午後1時半、前述の34センチをゲット。

納竿
午後2時。
堤防全体にカンパチの気配がなくなったところで、納竿。
道具を片付けていると、tommyさんが登場。
これからカンパチ釣りをやると言うので場所を譲り、既に用済みの生き餌(アジ)を1匹進呈した。

カンパチ釣りも、そろそろカウントダウンの時期。
今日も釣れたけど、消えようとする火が一瞬明るく燃え上がったようなものだったのか。
「これっきり これっきり
 もうこれっきりですか〜♪」
まだまだ発汗激闘の大勝負には未練が残るよ。

本日釣果
 カンパチ  30〜35センチ  4匹
 ワカシ   30センチ     1匹























The END
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