2009年2月12日(木)  日立沖のカレイ釣り
             午前6時20分〜午後0時半
ノビタの釣り天国



    日立沖のカレイ釣り♪

                                       
   戦闘開始

海はまだ就寝中?

午前6時15分。
龍翔丸は、まだ暗い戦場に到着した。
水平線に向伏す雲上は淡い紅色に染まり、西の空には薄い和紙を切り取り透かしたような白い月が浮かんでいた。
風は弱かったが、空気は冷たい。
まるで冷凍庫から噴出したような空気だ。
無数の小波が立っていたが、凪に近い穏やかな海だった。
本日は、まずまずの釣り日和である。

「プップー」
の合図で釣りを開始したのは、午前6時20分。
龍翔丸に乗った同船同夢の釣り士が。
黎明の海に、
「ドボーン、ドボーン、ドボーン・・・」
と一斉に、一振り入魂の第一投。

  
天秤付仕掛け
全員、10分、20分、30分・・・、モクモクと竿をシャクリ続ける。
音無く、匂い無く、気配の無い、沈鬱な時が過ぎ。
凛冽たる寒気が身に沁みてくる。
まるで、石川さゆりの「津軽海峡冬景色」の光景である。
「カレイを釣る人の群れは
 誰も無口で
 海鳴りだけを聞いている

 私もひとり 龍翔丸に乗り
 こごえそうなかもめ見つめ
 泣いていました
 ああ 日立の海は 冬景色♪」



初めの1匹
やがて日が昇った。
本日はもったいないくらいの快晴。
春のような豊かな日射しが、海上でキラキラと弾けていた。

と・・・。
午前6時55分。
「キタキタキタ・・・」
とミタ船長の声がスピーカーごしに弾んだ。
暗い谷間に、一条の朝日が射し込んだような一声だ。
大トモにいる釣り士が、慎重にリールを巻いている。
龍翔丸のスタッフ佐藤さんが、タモを持って駆けて行く。
そして無事、船中初めの1枚がタモ入れされた。
形は遠目にも40センチを超えていた。
                                  
名竿”シードリームワン・カレイ”
ーヨーシ!
気分をシャッフルし、
「ファイトいっぱーつ、ワイルドで行こう!」
と心の中で叫びながら、名竿”シードリームワン・カレイ”を握りしめた。
”シードリームワン・カレイ”は、全長165センチ、重さ134グラム、細身だが腰が強く先調子。
カレイを釣るためにだけ生を受けた名竿である。
この”シードリームワン・カレイ”が、カレイの血に飢え。
悍馬の如く、いきり立っていた。

午前7時。
40メートル下の海底を、50号の錘で小突き続けた。
海底は砂地なので、応答はドス、ドス、ドスと鈍い振動が伝わってくる。
と一瞬。
ヒクヒクヒクと竿先が、三度軽くお辞儀をした。
疑問符が頭上に飛び散る。
ーナンダ、ナンダ?
と脳味噌が揺れた。

竿先をソーッと海面まで下げ、下げた分だけ竿を持ち上げると。
またヒクヒクヒクと竿先が三度お辞儀を。
ーん?
これがカレイのアタリだった、この時点でしっかり針掛かりしていたようだ。
何せ、船のカレイ釣りは2年ぶりなので、カレイのアタリを忘れていた。

「アタリか?」
とミタ船長の声が、後ろから飛んできたが。
首をかしげながらリールを巻くだけ。
「かかってる、かかってる」
とミタ船長が、操舵室からこちらを見ながら叫んでいる。
ほんとかいな?と、本人はまだ半信半疑だ。
「しっかりしてよ、サトウさん」
とミタ船長のため息が。
半信半疑で釣れてしまった初めの1枚は、45センチのマコガレイ。
これが、船中、2枚目だった。

      ゴールデン・タイム突入!
海が沸騰
この後、あっちで1枚、そっちで1枚、こっちで1枚と、次々と良形のカレイが船上に上がってくる。
今、まさにゴールデン・タイムに突入したのだ。
1枚目を釣り上げてから5分後、ノビタに2枚目がきた。
2枚目もヒクヒクのデリケートなアタリだったが、今度は迷わなかった。
ミタ船長が側に来て。
「今日は7、8枚は釣っていきなよ」
と檄を飛ばす。
ーまかしてよ。
自信は200パーセントあった。
なんせ、ノビタには天下無敵の名竿”シードリームワン・カレイ”がついているのだ。

午前7時半までに良形4枚を釣り、目標の7、8枚が、かなり現実味をおびてきて。
ますます竿をシャクル手に力がこもる。
燃えた。
燃えて、燃えて、燃えまくる。
歌は石川さゆりの「天城越え」に変わった。

「誰かにとられるくらいなら
 カレイを殺していいですか
 
 舞い上がり 揺れおちる竿の向こうに
 あなた・・・・・・海が燃える
 何があっても もういいの
 くらくら燃える 火をくぐり
 釣りまくるゾー マコガレイ♪」

ナント!
午前7時40分。
またアタリが。
リールを巻いて来る途中、今までにない強烈な引き込み。
ー重い!
側でスタッフの佐藤さんが、タモを持って、ジッと見守っている。

                                     
樽の直径は40センチ
「おお良い引きだ!」
とミタ船長の声が、また飛んで来た。
今日はミタ船長に徹底してマークされているような・・・。
なかなか獲物が上がって来ない。
「ドラグの締めがゆるくないか?」
と佐藤さんが、リールを覗き込み、
「大丈夫だ!」
そして・・・。
とうとう水面に。
「アンビリバボー!」
大きな団扇を重ねたような、44〜5センチのマコガレイが2枚、海面に浮上したのだ。
奇跡と、偶然と、まぐれが、一丸となって押し寄せてきたような出来事だった。
これで累計6杯。

ノビタの心は宙返り。
これはもう、『有り難や節』でも。
「ありがたや ありがたや
 ありがたや ありがたや
 金がなければ くよくよします
 女にふられりゃ 泣きまする
 腹が減ったら おまんま食べて
 命つきれば あの世行き♪」
    (浜口庫之助 作詩)

おまけ
このあと、午前9時までに2枚追加する。
9時10分。
疲れたのでしばし休憩と、ロッドキーパーに竿を置き、魔法瓶の熱いお茶を飲んでいると。
竿先が、やけにバウンドしている。
「・・・・・・?」
錘が海底を叩いているバウンドにしては、ハデ、ハデな、その動き。
半信半疑で竿を掴み、竿先を持ち上げると。
いきなりビシ、ビシ、ビシと、竿先をムチ打つような引き。
                                    
    45センチ!
「ソレーーッ!」
とばかりにリールを巻いた。
ガクン、ガクン、ガクンと、敵の追撃は最後の最後まで続く。
バレルのではないかと、ハラハラドキドキしながら船上に引き上げたのは、45センチオーバーのアイナメだった。

そして、午前10時5分に、40センチオーバーのカレイを追釣したが。
このあと。
「あの素晴しいストライクをもう一度
 あの素晴しいストライクをもう一度♪」
と、海底をトン、トン、トン、トン・・・小突き続けたが。
手がかり無し。
天下無敵の名竿”シードリームワン・カレイ”に恐れをなしたのか。
カレイはノビタの前から姿を消してしまった。

沖上がり
午後0時半、沖上がり。
今日は類い稀な日であった。
特筆大書すべき日であった。
ー今度は”つ”抜けだ!
「今日の日はさようなら また会う日まで♪」
(チャン、チャン)

本日釣果
  マコガレイ  40〜47センチ  7枚
    々     35〜36センチ  2枚
  アイナメ   45センチ     1匹
















The END
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