2009年7月6日(月)  某堤防
              午前3時20分〜午前5時半
ノビタの釣り天国



        良形アジ入れ食い


                                       
 暁の攻防
穏やかな朝
灰色の靄が夜空を覆い。
星が3つだけ、遠く離れて瞬いていた。
西からの弱風が、汗ばむ体に心地良かった。
海はゆったりと波打ち、
「ザザーーッ、ザザーーッ」
と堤防下で白く砕けている。
闇の向こうで、ヘッドランプが一つ揺れていた。
人の気配はそれだけ。

始めの1匹
午前3時20分。
準備完了。
15メートルほど沖に、一振り入魂の第一投。
「ポチャーーーン!」
と赤い電気浮子が闇に落ち。
そのままユラリ、ユラリと揺れている。

「モ〜シ、モ〜シ、コチラノビタデス、
アジスケドノ、ムダナテイコウ、カンゲイシマス、オウトウセヨ。」
と呼びかけるも応答なし。
ノビタを恐れているのだろうか?
賢明な判断だけど、サビシイ。
                                                 
仕掛け
電気浮子の赤い灯りが、空も海も区別がつかない闇の中で。
ウンパッ・パッ、ウンパッ・パッ、ウンパッ・パッ・・・♪と、ウインナワルツを踊っている。
10分経過。20分経過。
午前3時40分。
東の空のかなり上方が、少し白んで来た時だった。

と・・・・・・。
電気浮子の赤い灯りがスパッ!と、マジシャンが黒いハンカチを被せたかのように闇から消へ。
その直後に。
5.2メートルの磯竿の先が、ググッ、ググッ、ググッと、見えない手で引き寄せられるように海へ。
「求めよ、さらば与えられん」
願いが叶った。

ー重い!
敵は死にもの狂いで、右へ、右へと潜りつつ走っていく。
それに耐えつつ、ジワジワと敵を岸に引き寄せ。
ードウダ、マイッタカ〜!
と、一気に堤防の上に。
はじめの1匹は、丸々太った30センチ近いアジだった。

入れ食い
仕掛けを海に返すと。
電気浮子が海上に立つ間もなく、そのままズボッ!
今度の奴も、元気が良い。
「ムダナテイコウワヨセ!」
と叫びつつ、慎重に岸に引き寄せ堤防の上に。
今度も尺近い。

仕掛けを海に返す。
浮子は、そのまま海中に沈んで行く。
ーアジの猛襲だ!
海が突然、沸騰し、爆発し、噴火したのだ。

好事魔多し
今や狂嵐怒涛の時、我風に乗り、雲をつかみ、天空に駆け登らん、と弾む心にハチマキを絞め臨戦態勢。
と・・・。
「ラッキーなことがまとめて続いたあとには必ずやその揺り戻しがある。
人生とはそういうものなんだ。ほんとうの話し」
 (『村上ラヂオ』by村上春樹より)
そういうことなんだ君。
                                        
団子になった仕掛け
仕掛けを遠投しようとすると、竿先に道糸が絡み足元に仕掛けがドボン!
竿先に絡んだ道糸を外しコマセを積め直し、と・・・また足元にドボン!
一度あることは二度、二度あることは三度、三度あることは四度と、果てしなく続く。

そして。
浮子がエアロビックスをはじめた。
右に倒れ、左に倒れ、そして上下運動。
この動作を繰り返す。
「・・・・・・・・・?」
いつまでも浮子は沈まない。
ー何か知らぬが覚悟しろ!
とやみくもに敵を引き寄せ、
「チエーッ、ストーーー」
と堤防に引き上げると。
ーアッ!
なんとアジが5匹仕掛けを団子状態にして上がってきた。ーああ!

それでも釣れた
午前4時。
夜が明けた。
隣りに、ご夫婦の釣り人が来た。
ノビタがトラブルと悪戦苦闘している間に、奥さんが次々と良形アジを釣っていた。
午前4時半。
コマセがなくなる。
それでも、隣りの奥さんのコマセが流れて来てコマセ無しでもポツポツと釣れた。
他人の褌で相撲を取っているような・・・と思いつつ静かに釣り続けた。

納竿
午前5時半。
ノビタの他に、4人の釣り人が近くに並んだ。
その中に見覚えのある釣り士が。
ーメトロさんだ!
久々の再会だった。
これを機に、メトロさんに場所を譲って帰って来た。

今日のトラブルは腕が未熟としか言いようのない出来事。
悔しいので、メトロさんを誘い明朝また挑戦することに。
とうとう最後の最後まで、共に闘おうと昨晩電話で話したかたさんは来なかった。
午前8時に彼から電話が掛かって来て寝坊したとのこと、彼も明日挑戦すると言っていたが・・・。

本日釣果
アジ 27〜29センチ 8匹
   25センチ前後  12匹
   20センチ前後  11匹















The END
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