2009年7月26日(日)  日立沖のスルメイカ釣り
                 午後7時20分〜午後11時
ノビタの釣り天国



       初めてのイカの手釣り


                                   
波を乗り越え戦場へ向かう
魅惑の手釣り
”イカは手釣りの方が数が伸びる”、これはイカ釣りの世界では常識。
でも不器用なノビタには無理だと、挑戦したことがなかったが。
でもやってみたい、未知の世界を覗いてみたい、といつも思っていた。
そこで一大決心をし、今回は手釣りでイカ戦に。
「一日に少なくとも一つは、自分の力にあまる事を成し遂げようとしない限り。
 どんな人間でも大した成功は期待できない」
    (by エルバート ハバード)

はじめから背水の陣を敷き、竿は持って行かなかった。
我ながら覚悟は良かった(?)。
ぼんやりとした不安はあったけど、それは頭の中で形にならなかった。
おそらくその不安を予想できたならば、100年に一度の奇跡と言われる『ポアンカレ予想』だって解けたのではないかい。

        うねりがあった
天気晴朗なれど波高し
龍翔丸は午後5時10分。
日立港第5埠頭を出港。
釣り士は、ノビタも含めて8人。
今日の海は、猛々しかった。
日立沖は小山のようなうねりが連なっていた。
その波の上を龍翔丸は波しぶきを上げて突進して行った。

釣り場に着いたのは午後6時。
明るいうちはイカは釣れないらしく、そのまま暗くなるのを待った。
大きく膨らんだ波が船の下を潜るたびに、船は右に左に大きく傾いた。
まるで50人乗りの龍翔丸が、一寸法師の乗ったお椀のように揺れる。
西の方向に黒い雲が横たわり、時々ピカッと雲が赤く染まった。
ー雷だ!
黒い雲が、それ以上大きくならないよう祈りつつ稲妻が走るのを見ていた。
青い空に、鎌の刃のような月がオレンジ色に輝いていた。

日立港の花火
午後7時。
日は落ちたものの、空は余光でまだ明るい。
薄闇が降りてきた午後7時20分。
「サトウさん花火だ、花火」
とミタ船長が操舵室からこちらを向いて叫んでいる。
見ると、黒い雲に覆われた水平線上に、指輪ほどの赤い灯りがボッと浮かび消えた。
虫眼鏡で見ないと見えないようなマイクロ花火だ。
それが、時々、ポツ、ポツと上がる。
それよりも花火の上の、黒い雲を赤く染める稲妻の方が迫力があった。

はじめの一杯
午後7時半。
空と海の区別がない真っ黒い海上に、イカ釣り船の白い漁火が点々と並んでいた。
風は弱くなり、さきほどまで感じていた寒さはなくなった。
と・・・。
ミヨシの方で、
「イカが来たぞーー。水深25メートル!」
と大きい声がした。
                                         
戦闘開始
船はにわかに騒然となり。
皆一斉に、ドボーン、ドボーン、ドボーン・・・と仕掛けを海へ。
ノビタは、まだ手釣り一年生なので、ソロソロと仕掛けを海に落とした。
道糸の色が20メートルを超える前に、道糸を掴んでいた右手に一瞬、違和感が伝わってきた。
「・・・・・・?」
仕掛けが重くなったような気がしたのだが・・・、船が揺れるのでよくわからない。
ーでもひょっとすると・・・。
道糸を手繰り寄せると。
グイ、グイと確かに引きが伝わってきた。
はじめの1杯は、35センチほどの良形のスルメイカだった。

 
 使用した仕掛け
手釣り快調
ノビタの隣りで、ミタ船長も参戦。
でも参戦して1時間、竿で釣る船長にはまだ来ない。
それをチラチラ見ながら、ノビタはポツポツだがイカを釣り続ける。
−他人の不幸は蜜の味、快感!
「毫釐(ごうり)の差は千里の謬(あやま)り」
と御満悦である。
さすが手釣り、竿釣りの倍以上のスピードで釣れる。
ところが・・・。

好事魔多し。
「ラッキーなことがまとめて続いたあとには必ずやその揺り戻しがある。
人生とはそういうものなんだ。
ほんとの話し」
  (『村上ラジオ』by村上春樹)
その揺り戻しが、ノビタに倍賭けで戻って来たのだ。
                                    使用した道糸(30号100メートル)
入れ食いの中で
イカがダブルで掛かってきた時だった。
プラズノに掛かったイカを外そうとしていると、仕掛けが途中で折れて重なり団子に。
仕掛けを解くのが面倒なので予備のものと交換した。
1度あることは2度ある。
またも仕掛けが団子に。
2度あることは3度ある。
そして、最後の予備の仕掛けまで団子に。
仕掛けの予備が無くなったので、団子になった仕掛けを解いていると。
釣れないとボヤイていたミタ船長が、
「入れ食いだ!」
と叫んだ。

      
ミタ船長にも来た
この直後、船全体が入れ食いに。
「ワン・ブライト・ミッドナイト!」
ドカーンと一発、核爆弾が爆発したかのような騒ぎだ。
「パーフェクトだ」
「6杯掛かっている」
「棚が5メートルできた」
の声が、あっちこっちで湧き上がる。


我が不幸ここに極まる
その頃ノビタは困惑悩乱し。
「神の前ではみな同じ子供ではないか。なんでノビタだけ有頂天外にする?神様、仏様」
と心の中で、呪詛の言葉を吐き散らし。
仕掛けが解けないので、とうとう仕掛けをハサミでバラバラにし、それを一つ一つ結んだのだが・・・。
満身創痍の仕掛けを海へ戻し一シャクリ、途端、道糸から重力が消えてしまった。
「・・・・・・?」

仕掛けを回収すると、
ーガーン!
仕掛けの下半分が錘もろともない。
一個しかない80号の錘が海の藻屑に。
さっき結んだ道糸が解けてしまったのだ。
”我が不幸ここに極まる”。ーああ
                                    
抓みはイカ刺があればいい
終章
なんとかボロボロになった仕掛けを、再度海に投入した時は沖上がり。
それでも3杯を追釣した。
港に帰り数えると35杯。
今日、竿で釣ったら軽く100杯は行ったろうに。
家に帰り風呂上り、まだヒクヒクしているイカの刺身を抓みに飲んだ発泡酒は効いた。
それにしても悔しい。

「女は無口な ひとがいい
 灯りはぼんやり 灯りゃいい

 しみじみ飲めば しみじみと
 未練が胸に まいもどる
 涙がポロリと こぼれたら
 歌いだすのさ 舟歌を
 ルルル・・・・・・」
   (「舟歌」by 八代亜紀)

聞くも涙、話すも涙の物語りは終るが、いつかまた手釣りに挑戦してやると心に誓うノビタだった。(チャン、チャン)
要は、イカを針から外す時に、どうすれば絡まないかだけなのさ。

本日釣果
 スルメイカ   25センチ〜35センチ    35杯




















The END
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