Gone with the wind (風と共に去りぬ) いつか真夏の空に 空しい風 「かなしさや 釣りの糸吹く あきの風」 (与謝蕪村) あき風が海から陸へ。 空しい時が過ぎていく。 青い空。白い雲。 降り注ぐ陽射しは、全てのものを焼き尽くす勢い。 堤防の上のノビタは、まるで熱いトタン屋根の上にいる猫である。 どこからか、細川たかしの『心のこり』が聞こえてくる。 「私バカよね おバカさんよね うしろ指 うしろ指 さされても カンパチだけに 命をかけて 耐えてきたのよ 今まで 秋風が吹く 港の町を♪」 ハナダイはどこに行った? 午前9時前。 堤防に向かい歩いていた。 陰々と空を覆う雲。 ほとんど無風。 湿度が高く、空気が粘っこい。 堤防は閑散としていた。 最近、この折角の静寂の秘所も浮世攻めにあい、不毛の地になるのかと心配していたのだが・・・。ー少しホッ! 遠くで、豆粒ほどの人が頭上で両手を広げたり窄めたり。 ーかたさんだ。 その手旗信号が、頭上で大きくバッ印に変わった。 ーウッソー、信ジラレナイ! すでに5~6匹のカンパチを釣っていたと思っていたのに。 彼の所へ行くと、さらに信じられないことが。 ハナダイが全然釣れないのだと言う。ーああ。 海は少し濁っていた 時々竿が弾むのだが・・・ 午前9時10分、ハナダイ釣り開始。 開始から10分、やっと熱烈歓迎のハナダイを1匹ゲット。 不思議なことに、今日はゲテモノのフグも影薄く、ハナダイと同じくらい釣れない。 午前10時、ハナダイをなんとか3匹釣ったところで、カンパチ釣りを開始。 「待てば海路の日和あり」 と、ひたすらその時を待つ。 今日は磯竿2号を2本出し、浮子を付けずハナダイを付けた仕掛けを、そのまま竿先から海に垂らしていた。 その竿先が、時々、元気にバウンド。 その度に、一瞬、心臓がパタパタとはためくのだが・・・空振り。 釣れたのは・・・ サビキでハナダイを狙っていると、いきなり竿先が強く引き込まれた。 慎重に堤防の上に引き上げたのはショゴだった。 チベットなカンパチである。 写真を撮ったあと、 「こんなものイラン!」 と海に返品。 今日はこれが、「ザッツ・オール!(全て)」であった。 いつも運を背負ってくるかたさんも、今日は形を見なかった。 カンパチは、”風と共に去りぬ”と台風と共に港から消えてしまったようだ。 撤収 午後1時半。 「皆の衆 皆の衆 無理はよそうぜ 体に悪い♪」 とかたさんを誘い撤収。 ー今日の荷はカルカッタ! 「くよくよするもんじゃない。 肝腎なことは、ねぇ。 望んだり生きたりすることに飽きないことだ」 (ロマン・ロラン) 本日釣果 カンパチ 20センチ 1匹 リリース The END |
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