2010年5月13日(木) 午前4時20分~午前6時半 涸沼川
那珂湊 水温 
16.6度 <潮>大潮 満潮  2:31 干潮  9:28
ノビタの釣り天国


       暁の攻防戦

                                      早起きは三匹の得
はじめの1匹
止まっていた川の流れが。
上流から下流に動きだしたのは、10分ほど前である。
ーそろそろ来るぞ。
朝の白い陽光に霞む竿先を、ジッと見つめていた。
まだ人家は目覚めていず、川辺は深い静けさのなかにあった。

ーと!。
午前5時5分。
「リリリーン、リリリーン、リリリーン・・・・・・」
と竿に付けた呼び鈴が、静謐を破り。
竿先が、バシッ、バシッ、バシッ・・・と宙をムチ打っている。
竿をつかみ持ち上げると。
ググググーーッ、ググググーッと敵の憤怒が手元に。
リールをギリギリギリ巻く。
と・・・。
40メートルほど先で、水面がバシャッ!とスパークし。
そこから敵が、バシャバシャバシャと首を降りながら飛び出した。

ーあわてるな!
ー道糸を張りっぱなしにしておけ!
ーリールを巻くスピードをゆるめるな!
ー竿を立てろ、決して下げるな!
ー目をそらすな!
ー敵は、一瞬の隙も見逃さないぞ!
冷汗三斗の3分、激しい攻防戦は終った。
岸に引き上げたのは、40センチオーバーのセイゴだった。ーホッ。

        
春はあけぼの
寒い朝
風は吹いていなかったが、寒い朝だった。
「春はあけぼの。
やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」
  (『枕草子』by 清少納言より)
”紫だちたる雲”が東の空の下、人家の屋根の上に横たわっていた。

今日は大潮。
川は岸辺と同じ高さまで満ち、流れは止まっていた。
川に手を入れてみるとお湯のように暖かい。
今日は竿1本で勝負することに。

                                       
午前4時半、流れは止まっていた
午前4時20分、釣り開始。
10分、20分、30分・・・。
川に流れが出てくるまでは、魚に食い気がでてこないと。
”待てば海路の日和あり”、のんびり魔法瓶に入っている熱いコーヒを飲みながら明け行く空を眺めていた。

話しはちと横道にそれるが。
司馬遼太郎の『功名が辻』のなかに、こんな記述がある。
「(信長)これほど気の短い男が、短兵急の戦いは桶狭間をのぞいてはまったくやっていない。
釣り師に似ている。
気のみじかい人ほど、いざ釣り場に糸を垂れればひどく気の長い作業をする。むろん、いい釣り師にかぎることだが」
司馬遼太郎は、”良い釣り師は気長にその時を待つ”人と考えていたようだ。
ノビタもひょっとすると良い釣り師かな。(コホコホ)
閑話休題。

    
午前6時半、激流となる
入れ食いは一瞬だった
午前4時50分。
かたつむりが這うスピードで川が下流に流れはじめた。
そして。
午前5時5分に前述の1匹目が。
針が呑まれたのでハリスを切り、新しい仕掛けと交換してそれを川に戻した直後に、2匹目をゲット。
エサを交換して3投目、その直後に3匹目をゲット。
ところが、3匹目をゲットしたあとは川の流れが速くなり、アタリも消えてしまった。

川が沸騰したのは、午前5時5分から午前5時20分までの、わずか15分たらずだった。
午前6時半。納竿。

「照る日くもる日  いろいろさ
 雨ふり 風ふき そして晴れ」
  (やなせ たかし)

本日釣果
セイゴ  38~42センチ  3匹

The END
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