2010年8月21日(土) 午後6時半~午後10時40分 日立沖
那珂湊 水温 
21.2度 <潮>中潮 満潮 15:24 干潮 20:06
ノビタの釣り天国


        月夜の晩は渋い(日立沖夜イカ釣り)


                                     それでも釣れた
何故釣れない?
午後9時半、釣りを開始してから3時間経過。
まだ1杯も釣っていなかった。
腕も肩も腰もヘロヘロ。
「お前の不幸にはわけがある」
と、風が耳元でささやきながら通り過ぎていく。
ーそのわけとは?

これまでの経験、知識、常識を総動員してもわからない。
心の中はどしゃぶりだ。
今夜は吉田拓郎の歌がよく似合う。
「疲れ果てて いる事は
誰にも隠せは しないだろう
ところが俺らは 何の為に
こんなに疲れてしまったのか
ああ このけだるさは何だ



ディープな夜
龍翔丸が、日立港第5埠頭を出航したのは、午後5時。
航程1時間半で現着。
空は晴れ、海は凪。
風も穏やかで、絶好の釣り日和だった。
釣りを開始したのは、午後6時半。

ディープな夜だった。
陸から40キロメートルほど沖、濃い夜気に包まれた龍翔丸が、
エンジン音をドッドッドッ・・・と響かせながら海上に浮かんでいる。
頭上に輝く卵形の白い月が、
小波に覆われた海上に、キラキラと白い帯を曳いていた。
いつもなら、漁火に照らされた海に魚や鳥が群がるのだが、
今夜はその賑わいがない。
ときどき飛び魚が水面を飛び、
青白い海中を、黄色い縁に囲われたサックスブルーのシイラが、獲物を求め迷走していた。

    
卵形の月が
救いの神が
ノビタが、まだかまだかと竿をシャクッていると、
スタッフの佐藤さんが、
「これでやってみな」
と、イカスッテ6本針仕掛けを持ってきた。
その時は、その仕掛けが爆発的威力を発揮するとは思いもしなかった。
半信半疑で仕掛けを交換し、ドボーン!と海中へ。

気になったのかミタ船長もきた。
そして、船長の云う水深50メートルから40メートルを。
1シャクリ、2シャクリすると途端に、ピタッ!と竿をシャクル手にブレーキが。
直後に、クィーン、クィーンと、あの官能的で、優雅な、そして甘美な引き。
ーああ。
と思わず口から桃色吐息。
旱天に雨を待つアタリだった。

この瞬間、メタボな佐藤さんと、髭面のミタ船長が天使に見えたよ。ーホント。
ミタ船長が、電動リールの巻き上げレバーを慎重に倒すと、
ドドッ、ドドッと竿先が上下にバウンドしながら、水深50メートルから獲物が上昇してくる。
そして・・・。
欣喜雀躍、狂喜乱舞、熱烈歓迎の本日はじめの1匹は、25センチほどのスジイカと、
34~5センチのゴードーイカのダブル。
ドイツの女優ヘネローレ・エルスナー曰く、
「女が男を待たせるのは、もっと期待をふくらませてあげたい一心からなの」
イカも女と同じさ、ノビタの期待を倍増してくれたのさ。

これ以降、堰を切ったような入れ食いに。
やっと長い冬が終わり、春が巡ってきたような幸せが。
結局、ノビタの不幸は仕掛けの選択誤りだったようだ。
                                           
ともかく乾杯!
沖上がり
午後10時40分、沖上がり。
船長の合図で、全員、仕掛けを回収していたのだが、
ノビタは気づかず、夢中でシャクッていると、
今までにない強い引き。
「・・・?」
ふと周囲を見渡すと、皆さん竿を片付けている。
あわてて、電動リールの巻上げレバーを高速にした。

引き上げてくる途中、竿先が何度も痛烈なアッパーを喰らい大きくお辞儀を繰り返す。
海面までくると、竿先が斜めに引っ張られていく。
ーこの引き、ホントにイカ?
と思うような引き。
なんとか船上に引き上げたのは、40センチほどのゴードーイカのダブルだった。
前半は、焦燥地獄の坩堝であったけど、終わりよければ全て良し。
最後に帳尻を合わしたような感じのイカ釣りであった。


午前1時。
家に帰り、風呂に入り汗とともに疲れを流し、
トレトレのイカ刺しを抓みに飲んだ発砲酒の美味いこと。
「お酒は冷たい 発砲酒がいい
 肴はトレトレの イカ刺身がいい
 女は無口な ひとがいい
 
 沖のかもめに 深酒させてヨ
 いとしあの娘とヨ
 朝寝する ダンチョネ


本日釣果
 イカ 25~40センチ  35匹

The END
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