2010年11月5日(金) 午前6時15分~午後0時
           那珂湊沖(タコ釣り)
那珂湊 水温 
17・4度<潮>大潮 満潮 14:27 干潮 8:49
ノビタの釣り天国


       ちと期待はずれ


                                    ちと淋しいけど・・・
いざ那珂湊へ
今日は船でタコ狙い。
飛んでイスタンブールではない、ブッ飛んで那珂湊だ。
まだ暗い夜明け前の国道245号を、ロシナンテに跨り走った。
その脇をトレーラーが、時速100キロ超で疾走する。
そのたびにハンドルを握る手が固くなり、
ーバッカヤロー!
と声を出さずに叫んでいたよ。
”狭い日本、そんなに急いで何処へ行く”だ。ーフン!

午前5時20分。
まだ暗い岸壁に、我々が乗る船がひっそりと繋がれていた。
うっすらと朱に染まった東の空。
その空に、オレンジ色をした釣り針のような月が浮かんでいる。
冷たい西風があったが、さほど寒くはない。
熱き心が、寒さを感じさせないのかな。

天気晴朗ナリ
午前6時、出航。
われわれを乗せた船は、
”丸い地球の水平線に 何かがきっと待っている”と、
波をバシャバシャかきわけていく。
碧い空に白い雲。
波間に砕ける陽光が眩しい。
やわらかく吹きすぎる風も気持ちよかった。

”天気晴朗ナレド波高シ”、
ふくれた波がきそいあって押し寄せ、船を押し上げ、押し下げていた。
ーこれが太平洋だ、騒ぐほどではない。
と思ったのだが。
船長が悔しそうに、
「昨日の3倍のうねりだ!」
と叫んでいる。
その意味をあとで、したたかに知らされるのだが・・・。
その時は、ホップ、ステップ、ランランランで、
吉田拓郎が歌う『となりの町のお嬢さん』の、明るい笑顔が波間に浮かんでいたよ。

     となりの町のお嬢さん
「 となりの町のお嬢さんが
 僕の故郷へやって来た
 都会の香りふりまいて
 夢を見させてくれたんだ
 好きになっちまったんだよ

 はじめて知った口紅の味
 僕の胸ははりさけそう
 月夜の晩に誘われて
 大人になると決めたんだ
 ながい髪は夜露にぬれて
 蒼い月がかわいい人の
 えくぼの上でゆれてるよ・・・・・・



根掛かり続発
午前6時15分。
釣り開始。
昨日作成した錘150号の3本針タコ天仕掛けを、ドボーン!と大きく揺れる海へ投げこんだ。
水深20メートル。
ゴーン!とタコ天が海底の岩にぶつかり転がった。
と、瞬時にタコ天が宙を泳ぐ。
波がふくれると、道糸が引っ張られて仕掛けが海底を離れるのだ。
道糸(PEライン20号)を出し、また底を取る。
                                         
天気は良かった
開始して10分、ガツン!と仕掛けが根に食い込んだ。
ー根掛かりだ!
船べりについている棒に道糸を巻き、ブチンと仕掛けを切り離すと、
道糸が風に吹かれてユラユラ揺れていた。
与謝蕪村も同じ目にあったのか。
「かなしさや 釣りの糸吹く あきの風」
という俳句を詠んでいた。

うねりで底がとりずらく、7時までにタコ天仕掛けを3個失う。
仕掛けは残り2個、
こうなると思いきった勝負にでれない。
仕掛けを操る腕を臆病にさせるのだ。
仕掛けが海底の岩にコツンと触れるたびに、反射的に仕掛けを跳ね上げ、
道糸を出さず仕掛けを海中に漂わせ、仕掛けがまた岩盤につくのを待つ。
これでは釣りにならない。
ようやく船長がうねりを見て、悔しそうに叫んだ意味を知ったのである。

戦う相手を変える
午前9時半。
船長からタコを止めてイナダを狙ってはどうか、と相談され即、了解。
船長から竿と仕掛けを借り、イナダ釣りを開始。
タコベイトをつけたセイゴ針15号6本の下に錘50号をつけ、それを海底まで落とし、
ひたすらシャクルだけの釣りだ。
竿を上げたり、下げたりしていると。
隣りでシャクッていた船長から、
「もっと大きくシャープにシャクレ!」
とハッパが飛んできた。
シャクリ方を直したけど、

「もっとだ、もっと!」
と船長のハッパは容赦ない。
1.8メートルの竿を120度、高さで0~3メートルほどを必死になって上下させる。
釣りはスポーツであることを、改めて知らされたね。
船長が45センチほどのイナダを2匹かけた。
ーくそ!
と、頭から汗を散布させながら、シャクッタ。
ヘロヘロになりながらシャクッテいると。
ガン!と何かを引っ掛けた。
竿先が張り倒され、グイグイ引っ張られる。
「キタキタキターーー!」
と叫びながら、ガンガンリールを巻いた。
そしてとうとうノビタも45センチほどのイナダをゲット。
このあともう1匹追釣したが、以降、釣れなくなってしまった。

最後の最後に
午前10時半。
船長がもう一度タコをやろうと言うので、了解する。
根掛かりが心配なので、仕掛けをなかなか底に落とせない。
11時半、沖上がりは昼の0時である。
残り30分しかない。
ようやく思いきった。
もう仕掛けを根に取られても悔いなし。
「あたなだけが 生きがいなの
 お願い お願い すてないで・・・」
と唱えながら、徹底的に海底を攻めた。

と・・・。
願いは通じた。
仕掛けに漬物石が乗った。
力をかけて引くと、持ち上がる。
そしてとうとう、茶色い笠が咲いたようにタコが海面に浮上。
「タコだーーー、タコタコ」
と大声で船長を呼ぶと、
「オーーー、良かった、良かった」
と船長が飛んできてタモ入れ、無事捕獲。
これが今日の最後となった。

終章
午後0時、沖上がり。
ちと結果は淋しいけど、
こんな時の下記、開高健の言葉はありがたい。
「一匹と十匹のあいだには、さほどの差はないのさ。
魚釣りは一匹つれたらそれでいいんだ。
一匹とれるのと一匹もとれないのとにひどい差があるんだ。
ここだよ。」

本日釣果
タコ  1.2キロ  1ハイ
イナダ 45センチ 2匹

The END
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