2010年12月8日(水) 午後4時10分~午後7時半
           涸沼川(セイゴ釣り)
那珂湊 水温 
17・1度<潮>中潮 満潮 16:23 干潮 23:44
ノビタの釣り天国


        幸運の女神に会った!


                                     久々の8匹!
ちと早い出撃
今日は中潮。
満潮は午後4時23分。
川の流れが緩くなるのは午後6時過ぎ。
まだ午後3時半。
川は盛んに逆流しているころだ。
そしてまだ明るい。
しばらくは釣りにならないはず。

まだ早い。
でも・・・。
風もなく雲一つない上天気。
それに、準備万端遺漏なし。
寒さ対策もOK。
とても2時間待ってられないよ。
とうとう、
「行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ」
と家を飛び出した。

街に流れるクリスマスソングが、甲斐バンドの歌う『安奈』に聞こえてくる、
「セイ子 おまえの愛の灯は まだ燃えているかい」
と。

        『安奈』甲斐バンド
「寒い夜だった つらく悲しい
一人きりの長い夜だった
北へ向う夜汽車は
俺の中の心のように すすり泣いてた
そんな時おまえが よこした便り
ただ一言だけ“淋しい”って 綴ってた
安奈 クリスマス・キャンドルの灯は ゆれているかい
安奈 おまえの愛の灯は まだ燃えているかい

眠れぬ夜を いくつも数えた
おまえのことを 忘れはしなかった
それでも一人で 生きてゆこうと
のばせば届く愛を こわがってた
・・・・・・」

静かな川辺で
午後4時過ぎ。
時間が早いのか、川岸には誰もいなかった。
すでに空気に黄昏色が溶け、民家の白壁がオレンジ色に染まっていた。
ほとんど無風。
微かに空気の流れが、寒気を運んでくる。
ガラス板を張ったような川は、民家を映しながら逆流していた。
コンクリートの護岸は水に浸り、
枯れ葉や木の端切れが、勢いよく水面を上流に向かって滑っていく。

午後4時10分。
1本目の竿を出し終わった時だった。
「どうですか?」
と女(ひと)の声が後ろから。
振り向くと、目に星が輝いているような若い女(ひと)が、
若い男と釣り道具を持って立っていた。
「こんにちは」
と若い男がペコリンと頭を下げた。
今日は仕事が休みで、釣りにきたのだろう。
服装や、その道具から、けっこう釣りの経験があるカップルに見えた。

                                     
川は勢いよく逆流していた
彼女が先陣を
二人は、水に浸っているコンクリートの護岸を、ザブザブ歩いて行き。
彼はノビタから30メートルほど下流で竿を出し。
彼女はさらにそこから30メートルほど下流で竿を出した。
それから10分ほどした時。
「バシャバシャ」
と魚が跳ねる音が。
見ると、彼女が魚を釣り上げていた。
そして、
「形がいいわよ」
と叫んでいる。
そのあと、何が可笑しいのか、ハハハハ・・・と笑っている。
なんかこちらも気分が明るくなってくる笑い声だ。

釣りを開始してから、1時間半経過。
時々、「チリリン」と鈴を鳴らす奴がいるが、針掛かりしない。
餌だけきれいに食べていく。
まだノビタには、不届き千万の餌泥棒しか応えてくれない。
西の空に、釣り針のような三日月が輝き、
夜空いっぱいに銀色の星が瞬いていた。

幸運の女神が
午後5時50分。
下から上に流れる川の勢いが、ほとんど止まりそうになってきた。
と・・・。
「釣れましたか」
とさっきの彼女に暗闇から声をかけられた。
応えると、
「これから釣れますよ」
と励まされた。
彼女は幸運の女神だった。
彼女が魚を呼び寄せたかのように、この直後。

「リリリーン」
と鈴が鳴った。
今までより勢いがあった。
「リリリーン」
慌てるな。
まだ早い。
こらえるのだ。

「リリリーン」
まだだ。
「リリリーン、リリリーン」
焦るな。
漏らすなよ。
数えるんだ畳の目を。
一、二、三・・・・。
従容不迫(しゅうようふはく)だよ。
「リリリーン、リリリーン、リリリーン」
ー今だ!
初めの1匹は25センチと、期待はずれだったが、このあと騎虎の勢でバタバタと3匹追加。
やはり彼女は、幸運の女神であった。

川の流れ
午後6時10分、
「どうですか?」
と幸運の女神が様子を聞にきたので、20分ほどの間に4匹と報告すると、私と同じと女神がコロコロと笑っていた。

ヘッドランプの灯りで、水面に浮かぶゴミの動きをチエックしていた。
午後6時20分、川は上から下に流れ。
午後6時40分、川は再び下から上に。
午後7時15分に、川は再び上から下に流れはじまり、そのまま勢いを増して行く。
この川が反復運動を繰り返す間に、30センチ以下を4匹追加した。

痛恨のバラシ
午後7時20分。
「リリーン、リリーン、リリーン・・・」
と激しく鈴が鳴り、竿が川に突っ込みそうになった。
竿に飛びつき仰け反ると。
ドドドッ、ドドドッと魚の憤怒が腕に手に伝わってくる。
かなりの大物だ。

落ち着け、落ち着け。
竿を起こしながら、ゆっくりリールを巻く。
敵が大きく右から左に旋回した。
その動きに耐えながら、竿を立てて少しずつ岸に寄せてくる。
とその時、
「バシャッ!」
と水面で魚が跳ねる音が。
瞬間。
ラインから重量感が消えた。
痛恨、落涙、号泣のバラシ。

納竿
この実らない戦いに、残っていた闘志を全て消化してしまった。
ーもうよろしい。
午後7時半、納竿。
若いカップルに挨拶して帰ろうとしたが、彼らがいた所は闇に溶け人の気配がなくなっていた。
おそらくさらに下流に移動したのであろう。
声を出さずに、
「グッドバイ」
と別れを告げ、帰って来た。

本日釣果
セイゴ 25~30センチ 8匹

The END
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