2011年1月21日(金) 午前10時~午後4時
           常陸沖(5目釣り)
那珂湊 水温 
10・5度<潮>中潮 満潮 16:23 干潮 10:52
ノビタの釣り天国


       百花繚乱の海


                          タイ、メバル、カサゴ、アイナメ、大アジ、大サバなど
本日快晴!
走る。
晴天下。
オレンジ色の竿ケースを脇に帯び、
ロシナンテは、国道245号をひた走る。
見果てぬ夢を乗せ、
陽光を弾(はじ)き、
凍てつく寒風を切り、
制限速度を超して突っ走る。
これまで捕まること3回、それでも懲りず白き流星の如く超走する。
まるで、李白が漢詩に表す趙の剣士のように。

「 趙客(ちょうかく)縵胡(まんこ)の纓(えい)
 呉鉤(ごこう)霜雪(そうせつ)明らかなり
 銀鞍(ぎんあん)白馬を照らし
 颯沓(さっとう)として流星の如し」
      (李白)
意:趙国の剣士が、呉の霜雪におとらぬ名刀を帯び、
   白馬に颯爽と跨り流星の如く疾り去る。

今日は、
マカロニウエスタンのテーマソングがバッググランドだ。YouTubeの映像は、マカロニウエスタン黄金時代のダイジェスト版。
古(いにしえ)の名スターが勢ぞろい、
リー・バン・クリーフが撃つ、
イーライ・ウォラックも撃つ、
クリント・イーストウッドが迎え撃つ、
ヘンリー・フォンダが撃つ、
チャールズ・ブロンソンが迎え撃つ、
紅一点のクラデイア・カルデナーレが慟哭する、
ユル・ブリンナーが撃ちまくる、
フランコ・ネッロが機関銃を連射する、
マカロニウエスタンは、ストレス解消の清涼飲料水だった。

ー今日はやるぞ!
と、熱い血が胸の中で火山のごとく燃え、
火の川になって血管を流れて行く。

客はノビタ一人
午前9時半。
那珂湊港の船着場に着いた。
新撰組の近藤勇のような船長が、
「いらっしゃい!」
と操舵室から、苦虫を噛んだようないつもの顔を出し、出迎えてくれた。
この顔が普通なのだ、これまで彼が笑った顔を見たことがない。
もう少し愛想の良い顔はできないものか、といつも思うよ。

「・・・・・・?」
キョロキョロと周囲を見渡したけど、客らしい人がいない。
聞くと、客はノビタ一人だと言う。
ーギョ!
一瞬、オタオタ。
近藤勇が恐いのではない、
今日のこの船の釣果は、このノビタのヘナチョコ腕にかかっていると思うと、
さっきの勇猛心が吹き飛び、その責任の大きさにタジタジしたのだ。
                                         
穏やかな海だった
穏やかな海
船は今日も、ノビタが乗船すると同時に出船。
昨日の天気予報では、波浪注意報が出ていた。
迷ったが、冬の海が荒れるのは当然、穏やかな日を待ってたら何時までも釣りに行けない。
ー行くのだ!
 花も嵐も踏み越えて、行くが男の生きる道。
と、清水(きよみず)の舞台から飛び降りたのである。

ところがどうだ?
船は港を出たが、外洋は小波こそあれほとんど真っ平ら。
波浪注意とはこういう海を言うのか?-ハン。
旧ソ連での話し、ある大臣が天気予報庁に対し、予報が外れたら責任者を首にしろと言ったそうだが、
日本も首にしなくとも予報が外れたら給料を減らしてはどうだろう?

生きエビの付け方
釣りを開始したのは、午前10時。
仕掛けは自作の胴突き6本針、針は丸海津15号、ハリス3号20センチ、錘は60号。
その針に、船が用意した生きたエビを付ける。

その付け方にご注意!
生きているエビを優しく掴み、
「ごめんな、これも世のため人のため」
と言いながら(言わなくとも良い)、
まず、その尾をサッとダメージを与えないように千切り、
ピンピン暴れているエビのお尻に、針をプスリと刺す。

この時、
エビが、お尻に針を刺されたことに気づかせないようにすることが大切。
そして、お尻に針を刺したエビがピンピン元気に跳ね廻り、
魚が美味しい餌だと飛びつくようにする。
(釣果の差はここで出ると人は云うよ)

     隣りは釣れているのか?
魚がいない
初めの戦場で20分ほど様子を見て、反応が無かったので戦場を変えた。
次の戦場も反応なし、
船は魚の居場所を探して、何度も移動した。

風も柔らかく、空は青く澄み渡り、陽射しも暖かく、
「春の海 ひねもすのたりくたりかな」
の海。
今日は、絶好の釣り日和り。
これで釣れれば言うことなしなのだが・・・。
お昼までにやっと鬼カサゴ1匹、大アジ2匹と、期待は肩すかしを喰らった感じ。
早朝出撃した船は、次々と帰港して行く。

百花繚乱の海!
今日は駄目だと、ほとんどあきらめていた。
ところが、天は我を見捨てていなかった。
                                          
樽が魚で埋まっていく
午後1時過ぎ、
暗い谷間に僥倖が射した。
魚がポツリ、ポツリと釣れ始まったのだ。
そして、
午後1時半。
突然、圧力釜が沸騰した。
仕掛けを投入するたびに、魚が食いついてきたのだ。

大アジ、鬼カサゴ、大サバ、沖メバル、アイナメ、フグなど。
青い奴、赤い奴が次々と釣れた。
『浦島太郎』のように、
「 鯛やアジの 舞い踊り
 ただ珍しく おもしろく
 月日のたつのも 夢のうち」
と、時の過ぎるのも忘れて釣っていた。

「オーーイ、釣れているか?」
と船長が心配して呼びかけている。
「釣れてるよ!」
と、大声で返す。
「良かった、良かった」
と苦虫を噛んだような顔をして叫んでいた。
この豊穣を一人占めできるとは・・・。
生きていて良かった、本当に。
「海よ、ダンケ、シェーン!」

     
戦い終わって日が暮れて
沖上がり
午後4時、沖上がり。
空気に黄昏が混じる空の下を、船は帰路についた。
今回は釣れたフグも持ち帰り、
港で船長に裁いてもらった。
クーラーボックスに入りきらなかったので、樽から移す時に25センチ以下のサバは全てリリース。

今日も、
完璧な、どこにも傷のない特筆大書すべき日であった。


本日釣果
鬼カサゴ 27~31センチ  3匹
沖メバル 18~25センチ 10匹。
大サバ 28~40センチ 10匹 
サバ  25センチ前後  15匹ほど(リリース)
アジ   28~32センチ 20匹
真鯛   30センチ  1匹
フグ   30センチ前後  4匹
ベラ  20センチ前後  3匹(リリース)

The END
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