理由なき反抗
恐いもの無し
家で一番エライ人
朝食を食べていると。
かみさんから、また放射能に関する小難しい話し、
なんやら注意しろと言うことらしい。
少々、食傷気味、
「そんなに気にしなくても良いのでは」
と言うと。
「まあ。なんとお頭(つむ)の軽いこと、さぞかし体を動かすのも楽でしょうね」
ーウッ。絶句。
そして、
「この家で一番エライのは誰か分かってるの?
ちゃんと守りなさいよ!」
と、最後にきつい一発が飛んできた。
しかたがないので、ウンとうなずく。
(何を守ればいいのか分からなかったけど・・・)
TVを見ると、可愛い女の子が映っていた。
ーウッ。
思わず、
「美人じゃない?」
と言うと。
「だれでも美人に見えるのね。あなたの審美眼救いがたしよ」
と睨まれた。
ーだから、あんたをかみさんにしたんでしょうが。
と声を出さずに、ぼやいた。
今日のBGMは『500マイル』
今日のBGMは、ピーター・ポール&マリーの『500マイル』を、忌野清志郎が日本語訳で歌う。
訳したのも忌野清志郎である。
その訳は、元の歌詞のイメージを壊していない。
福島原発事故で故郷を失った人々の、故郷への思いを歌っているような気がするのだが・・・。
「If you miss the train I'm on
You will know that I am gone
You can hear the whistle blow a hundred miles
A hundred miles
A hundred miles
A hundred miles
A hundred miles
You can hear the whistle blow a hundred miles
Lord I'm one
Lord I'm two
Lord I'm three
Lord I'm four
Lord I'm five hundred miles from my home
・・・
Not a shirt on my back
Not a penny to my name
Lord I can't go a-home this away
・・・」
この服どうかしら?
パソコンで音楽を検索していると、
いつものように、
「この服どうかしら?」
と部屋に入ってきた。
外に出かけるたびに聞きにくる。
「いいんじゃない」
と答えたが、
「やっぱり可笑しいわよ」
とまた着替えに。
「どうよ?」
また、
「いいんじゃない」
と答えた。
「これじゃ普段着すぎない?」
とまた着替えに。
俺の観賞眼なんぞ、これっぽっちもあてにしていないのに、何度も聞きにくる。
女ってこういうものなの?
家(うち)のかみさんだけ特殊なんだろうか?
また来た。
「どうよ?」
「いいんじゃない。着る物がいっぱいあると選ぶのに苦労しますな~」
と言うと。
「あなたのように着る物がない人が、うらやましいわ」
と、また皮肉玉が飛んできた。
「時間がないの、これで行く」
と言いながら、慌てて家を飛び出して行った。
”立つ鳥跡を濁し放題”、台所は洗い物で溢れ、掃除も中途半端、
洗濯物も籠に入れたまま。
今日は福祉協会の集まりらしい。
昼には帰ると言っていたが、あてなど出来ない。
The END
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